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19-9

 苦戦しながらもフロストドラゴンを撃破した俺とセレナ、クラリーチェ、それと力を貸してくれたドラゴニュートたち三人、合わせて六人はドラゴニュートの集落に帰ってきた。

 俺たちがフロストドラゴンを倒したことを告げると、集落のドラゴニュートたちは歓喜の声を上げた。


 ――これもすべてお前たちのおかげだ。


 ドラゴニュートのリーダーが握手を求めてくる。

 俺がパーティーを代表してその握手に応じた。


 ――光り輝く武器を持つ人間。お前たちは魔王を倒す勇者なのか?


「そんなたいそうな者じゃないさ」

「トキヤ、ドラゴニュートはなんて言ってるの?」

「俺たちが魔王を倒す勇者だって」

「そうよ。アタシたち、魔王と倒すために冒険してるの!」


 セレナが胸を張って言った。

 おいおい……。

 ドラゴニュートたちは俺たちを完全に勇者だと思い込んでしまい、その日の夜は集落で一番大きな家屋に皆が集って宴が催された。もちろん主賓は俺たち『勇者』であった。

 宴では今まで食べたことのないいろいろな料理がふるまわれた。幻獣の食べ物が俺たち人間の口に合うのか最初は心配で、おっかなびっくり口に入れたが、一口食べただけでそれが無用な心配だとわかった。俺たちは腹がふくれるまでドラゴニュートたちの料理を食べたのであった。


「そうだ。写真撮りましょうよ、写真」


 セレナがタブレットを手にして立ち上がる。

 そして部屋の壁際に立ってタブレットを前にかざし、シャッターを切り、宴を楽しむ俺たちの光景を写真に収めたのであった。セレナはさらにタブレットを操作して、今ほど撮った写真を添付したメールを俺とクラリーチェに送信してきた。

 そういえば、『あの子』に一度も連絡してなかったな。

 俺はふと思い立って、雪だるまの前で撮った写真や宴の写真を添付したメールを『あの子』――道具屋のココに送信した。無事にフロストドラゴンを倒したという短い文言を添えて。

 メールを送信して五分くらい経ってから返信が来た。


 ――写真ありがとうございます! 帰ったら冒険のお話いっぱい聞かせてくださいね、お兄ちゃん。


 お兄ちゃん、か。

 俺はつい、にやけてしまった。

 自分もなにか撮らねばと思ったのだろうか。メールにはココの自撮り写真が添付されていた。

 写真の中のココはちょっと恥ずかしげにはにかんでいる。

 かわいい。

 かわいい。

 正直、すっごいかわいい。愛おしい。

 俺はその写真をピクチャフォルダに保存した。

 ココとは店員と客以上の関係になった。このつながりを大事にしていきたい。

 セレナやクラリーチェとはまた違った『この子を大切にしたい』という想いが俺の中にあった。

 なんか、ホントに妹ができたみたいだ。


 ――勇者よ。お前に問う。


 宴も佳境を過ぎて静かになっていた。

 ドラゴニュートの大半がもう自分たちの家に戻ってしまっており、残っている者も酒に酔いつぶれて眠ってしまっていた。

 そんなとき、ドラゴニュートのリーダーが俺の隣に腰を下ろしてそう言ってきたのだ。


 ――我々の、この集落に住むつもりはないか。

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