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苦戦しながらもフロストドラゴンを撃破した俺とセレナ、クラリーチェ、それと力を貸してくれたドラゴニュートたち三人、合わせて六人はドラゴニュートの集落に帰ってきた。
俺たちがフロストドラゴンを倒したことを告げると、集落のドラゴニュートたちは歓喜の声を上げた。
――これもすべてお前たちのおかげだ。
ドラゴニュートのリーダーが握手を求めてくる。
俺がパーティーを代表してその握手に応じた。
――光り輝く武器を持つ人間。お前たちは魔王を倒す勇者なのか?
「そんなたいそうな者じゃないさ」
「トキヤ、ドラゴニュートはなんて言ってるの?」
「俺たちが魔王を倒す勇者だって」
「そうよ。アタシたち、魔王と倒すために冒険してるの!」
セレナが胸を張って言った。
おいおい……。
ドラゴニュートたちは俺たちを完全に勇者だと思い込んでしまい、その日の夜は集落で一番大きな家屋に皆が集って宴が催された。もちろん主賓は俺たち『勇者』であった。
宴では今まで食べたことのないいろいろな料理がふるまわれた。幻獣の食べ物が俺たち人間の口に合うのか最初は心配で、おっかなびっくり口に入れたが、一口食べただけでそれが無用な心配だとわかった。俺たちは腹がふくれるまでドラゴニュートたちの料理を食べたのであった。
「そうだ。写真撮りましょうよ、写真」
セレナがタブレットを手にして立ち上がる。
そして部屋の壁際に立ってタブレットを前にかざし、シャッターを切り、宴を楽しむ俺たちの光景を写真に収めたのであった。セレナはさらにタブレットを操作して、今ほど撮った写真を添付したメールを俺とクラリーチェに送信してきた。
そういえば、『あの子』に一度も連絡してなかったな。
俺はふと思い立って、雪だるまの前で撮った写真や宴の写真を添付したメールを『あの子』――道具屋のココに送信した。無事にフロストドラゴンを倒したという短い文言を添えて。
メールを送信して五分くらい経ってから返信が来た。
――写真ありがとうございます! 帰ったら冒険のお話いっぱい聞かせてくださいね、お兄ちゃん。
お兄ちゃん、か。
俺はつい、にやけてしまった。
自分もなにか撮らねばと思ったのだろうか。メールにはココの自撮り写真が添付されていた。
写真の中のココはちょっと恥ずかしげにはにかんでいる。
かわいい。
かわいい。
正直、すっごいかわいい。愛おしい。
俺はその写真をピクチャフォルダに保存した。
ココとは店員と客以上の関係になった。このつながりを大事にしていきたい。
セレナやクラリーチェとはまた違った『この子を大切にしたい』という想いが俺の中にあった。
なんか、ホントに妹ができたみたいだ。
――勇者よ。お前に問う。
宴も佳境を過ぎて静かになっていた。
ドラゴニュートの大半がもう自分たちの家に戻ってしまっており、残っている者も酒に酔いつぶれて眠ってしまっていた。
そんなとき、ドラゴニュートのリーダーが俺の隣に腰を下ろしてそう言ってきたのだ。
――我々の、この集落に住むつもりはないか。




