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学生戦争  作者: 本倉庫
4/6

寮にて

「おー、ここが俺たちの家になるのか〜。なかなかに良いところじゃないか」

「そうだな。キッチンも道具こそ今は無いが備え付けの物はなかなか実用的だ」

「・・フカフカのソファーが欲しい・・」

「個人の部屋も中々広いぜ」


部屋に着きそれぞれが少し見て周りリビングに戻った時の一言目がそれらだった。

実際にこれは寮の部屋というよりかは普通の家だった。

二階建てだし風呂とトイレは別だしリビングは広いし。

1人部屋ではここまで大きく感じないだろう。


「それにしても今日は疲れたな」

「・・寮長?の所為・・」

「やめろ思い出させるな」

「いや〜、あの人は濃い人だったな〜」

「やめろと言っているだろう」

「特に雅亮に対し、ブッ」

「やめろと言っているだろう」


思いっきりゆうすけが殴られた。

腹に手が練り込むんじゃないかってぐらいの勢いで。

身体強化も使っているのではないだろうか。


「おい!お前じゃ興奮しねえ!女になって出直しやがれ!」

「・・キモッ・・」

「そんなことを大声で叫ぶな。ぶっちゃけマジでキモいから辞めてくれ、本当に」

「辞めてと言われて閉じるような扉は開いちゃいない。むしろさらに大きく開くぜ!」


こいつはもう本当にダメかもしれん。

初対面でこれ言われたらドン引きどころか通報しそうになるな。


「もうこいつはダメだから気にするな」

「そうだな、時間と気力の無駄か。それにしてもお前がそこまで嫌がるなんて珍しいよな」

「だからぶり返すな。お前と家で許さんぞ」

「悪い悪いそんなに嫌なんだな」


まさゆきが何をそんなに嫌っているかというと、この寮の寮長と思われる人が物凄い人だったのだ。



寮に入り寮長室と書かれた扉を開けた時に最初に見えたのは、筋肉の塊だった。

2メートル弱ありそうな身長に成人男性2人横並びしても遜色ないような肩幅を持つガチムチな男だ。

だがよく見てみると足は内股だ。

その筋肉の塊がこちらに気づきこっちを向いた。

その顔は少し派手目の化粧がしてあり、心霊写真よりも恐ろしい何かが俺の眼には映っていた。


「ん?アラ、ここに来てしかも見たことないってことはシェアハウスね。紙は持ってるかしら?」

「は、はい」


オカマ口調に驚きつつもなんとか言葉を発して右手に持っていた紙を渡した。


「やっぱりシェアハウスね。私は寮長の岡本淳哉おかもとじゅんやよ。気軽にジュンちゃんって読んで欲しいは、恥ずかしいならじゅんさんでもいいけどね。」


そう言うながらじゅんさんこと寮長はこちらにウィンクしてきた。

体が身震いしそうなのを抑えて愛想笑いをしながらこの異様な状況に対応しようと状況を確認する。

俺たちは寮長に鍵を貰いに寮長室に来た、寮長室に入るとそこにはガチムチのオカマがいる・・もうこの時点で狂ってるな。

なんでこんなのを寮長にしたのか決めたやつの頭は狂ってるのだろうか?


「あなた1人?1人しかいないなら鍵が渡せないわよ」

「あ、部屋の外に3人いるんで読んできますね」

「分かったわ〜。読んできて頂戴」

「では失礼します」


部屋から出て深呼吸をして他の面々を方を向いた。


「寮長ってまさかオカマ系なのか?」

「ああそうっぽいしオカマ系ってレベルじゃないなあれは」

「どういうことだよ」


勇亮は笑いながらそう言ったが、本人を見たら笑い事じゃすまないだろう。

あまり大きな声で喋ってはいないが聞こえるとまずいな。

俺は静かに、とハンドサインを出してからまた喋り始めた。


「とりあえず、早く行かないと不審がられるから行くけどお前たち見ても絶対驚くなよ。ああいうのは何か言うとブチ切れるって相場が決まってるんだ」

「人を見て何か言うなんて失礼だろ」


まさゆきがそう言うとちさがこくこくとうなずき言った。


「・・そんなに私は子供じゃない・・・・」

「分かった。行くぞ」


そう言って全員で寮長室に入った。


「あらぁ、ちょっと遅かったわね。それでこれがあなたのチーム?」


2度目だが衰えないインパクトに押されつつ俺が、そうですと言おうとした時横から。


「オーガ?」


と一言。

ちさが放った。

その言葉は少しの間部屋にやまびこのように反響した。

部屋の中に一瞬の沈黙が走った。

そして


「だれが、元々空想のものだったが最近魔界に存在することが確認されたガチムチの人型のバケモンじゃぁ!!!」


説明が丁寧!

口には出さないが心の中でそうツッコミを入れた。

というか迫力がやばい。

心臓に悪い、てか普通に怖い。

オーガは見たことないが魔界の魔物よりも迫力がある。

千桜が若干涙目だ。


「・・ご、ごめんなさい・・」

「いいのよ、気にしないで。初対面でそんなこと言われちゃったからびっくりしただけよ」


千桜が謝ると怪物や一転して優しいオカマに戻った。

なんなら俺の時の対応よりも愛を感じる。

いや別に愛は感じたくなのだが。


「それにしてもアナタ髪がボサボサね。女の子なんだからちゃんと手入れしないといけないわよ!」


そう言いながら寮長はくしでちさの紙を溶き始めた。

その手つきはその巨体からは想像がつかないほど優しい手つきだった。

気持ちいいのかちさが目を細めている。


「ちょっと名前だけでいいから自己紹介してくれるかしら?」

「樋野一です」

「赤星勇亮です!」

「赤星雅亮」

「・・白銀千桜・・」

「あら、アナタ達兄弟なのね。兄弟揃ってチームって珍しいのかしら?」

「他のやつをあんまし知らないけど、チームもチームじゃないやつも半々ぐらいじゃね?」

「そうだな。俺もそう思う」

「へー、そうなのね」


なぜ、自己紹介させられたのかは分からないがまあいいや。

断る方がなんかされそうで怖いしな。


「あの紙・・」

「分かってるわよ。奥の机に紙は置いておいてちょうだい。鍵もそこにあるわ」

「あ、はい」


髪をとぐ手を止めることなく俺に言った。

まあ別にいいんだけども、鍵俺が勝手に取っていいものなのか?

まあ寮長が言いって言ってんだしいいか。

鍵を取って、ここに用もないからもうそろそろ退出しようかなと思ったら、寮長がちさの髪から手を離し、お茶を入れて持ってきた。


「少し休んで行きなさい。ちょっと気になることもあるしね」


最初断ろうとしたが、まあ別にちょっと位いいかと思い席に着いた。

それが運命を分けることになるとは誰も思っていなかった。


「あらさっきの子たちと違ってノリがいいじゃない。あさっきの子たちが悪いわけじゃないのよ」


と1人で喋って訂正を入れてから話は始まった。

因みにちさは寮長の横で俺を真ん中に左右にゆうすけとまさゆきがいる。


「アナタたちのクラスは何なの?」

「一応、Sクラスに居させて貰ってます」

「S!すごいわね。この学校って実は高校の中では上の方だからアナタたち相当な実力者なのね。じゃあ好きな食べ物は何かしら」

「和食全般好きですけど特に天ぷらですかね」

「・・サカナ〜・・」

「粉物の特にお好み焼きが好きだ」

「う〜ん・・何でも食うけど雅亮が作ったもんが1番好きかな〜。あ、好きです」


1番最初に言いそうなゆうすけが1番迷っていた。

まあ確かにまさゆきの作るもんは大抵うまいからな。

というか俺以外がまともな敬語を使っていないんだけど、俺がおかしいの?

いやなわけないか。


「あら雅亮君は料理ができるの」

「一応人並みには」

「嘘つけお前は家事全般がプロ並みだろうが!」

「いや、そんなことない」

「いやでも実際家事全般俺らの数倍上手いじゃん」

「それはお前らが下手くそなだけだ」

「いやお前がすごいだけだろ」

「すごいわね雅亮君」


寮長がそう言うと雅亮身震いした。

恥ずかしかったのだろうか?


「特技とかってあるかしら?」

「特技はカードゲームですかね。トランプとか負けたことないんで」

「確かにお前はトランプ強えよ」

「・・ていうかあれはチート・・」

「魔力使ってないんだしチートではないだろ」

「人の心を読む経験が違うだろ」


まあ確かに生まれて能力が分かってからは


「そんなに強いの?」

「・・勝ったことない・・」

「イカサマしても勝てねえしな〜。あ、です」

「俺は勝てない勝負はしない」

「だから俺とはしないってか?」

「そうだ」

「そんなに強いのね!アナタ達の特技は?」

「まあさっきこいつらが言ったが料理とかだ」

「料理ね。素晴らしい特技だとわたしも思うわ」


また雅亮が身震いした。

これは恥ずかしいじゃないな。

まさかとは思うがこの寮長まさゆきを狙ってるのか?

いやまあ顔や仕草や動作からそんな気はしてたが、流石にと思っていたがこれはガチそうだな。

その証拠にまさゆきの首に鳥肌が立っている。


「・・速読・・」

「ああ、確かに速いな」

「十分ちょっとで分厚い本読むもんな〜」

「それで内容を覚えてるんだからすごいんだよな」

「それはすごいわね」


勇亮は気付いてないようだが、やはり雅亮は狙われているな。

雅亮もう喋らなくなったからな。


「俺はまあ我慢強さかな」

「はいはい、そうだね」

「あれ俺の時だけ辛辣!」

「いいじゃない我慢強さ!忍耐力は大事よね」

「そうだぜ」


雅亮が可愛そうなのでもうそろそろ切り上げよう。


「すいません。もうそろそろ部屋の方に行きますね」

「あら、残念ね。もうちょっとお話したかったけど、仕方ないわね」


そう言って俺たちは立ち上がり扉の方に向かった。

ちさも分かっていたのか駄々をこねずに付いてきた。

気に入った相手からは離れない時があるが流石に空気を読んだらしい。


「では失礼します」

「さようなら、また今度会いましょう。千桜ちゃんはいつでも来ていいわよ」


俺たちは退出しようと後ろを向くと寮長がぬるりとまさゆきの横に来て耳元で何かを言った。


あれはあなたもいつでも来ていいわよ、と囁かれたらしい。

まああれにそんなこと言われたら精神ダメージえげつないよな。

しかも雅亮曰く入った瞬間からずっと寮長から圧力みたいなものを感じ続けてたらしい。

大変だったなと慰めてから俺たちは部屋に向かって今に至るわけだ。


「さあこのシェアハウスの当番みたいなのを作ろうか」

「そうだな。役割分担は大事だからな」

「え〜俺たちも仕事しないといけないのかよ〜」

「・・全部まさゆきがすればいい・・」

「それは色々とダメだろ。まあ色々意見あるだろうしそれを聞きながら役割分担表を作るか」

「分担する仕事は掃除、洗濯、料理か?」

「後はゴミ捨てとかだな。これを1週間の分担を決めるわけだが、俺からの提案なんだが・・料理担当週4でまさゆきさんにしてもらえないかと」


俺からの提案はこれだ。

掃除や洗濯が雑なのはまだいいとして飯は美味いものを食いたいのだ。


「まあそれはいいがその代わりに何の仕事を減らしてくれるんだ?」

「ゴミ捨てと買い出しは俺たちがやります」

「ふむ・・ならまあいいだろう」


よっしゃ、恐らく雅亮もまずい飯を食いたくないはずだし、仕事を減らしてもらえて自分の好きな物を作れるなら乗ってくれると思ってたんだ。

一番はあいつの料理を食いたくないだけだからな。


「それじゃあ決めていくか」


この後順調とまでは言わないが役割と順番が決まった。

途中ちさがやりたくなと駄々をこねたがまさゆきがちさの飯だけレンチンにするぞ脅すと駄々こねをやめた。

まあやっぱりまさゆきの飯は食いたいよな。


後買い出しとかで買ったものは基本的に全員で割り勘して、リビングやキッチンに置くものも同様にして個人の部屋に置くものなどは自己負担になった。

掃除は毎週月曜日にすることになった。

結局俺とまさゆきの仕事量が増えたがまあ雑にされるよりは自分がやったほうがいいだろう。

飯を外食などする場合は当番の人のおごりになる。

これが決まり外食は極力さけないといけなくなった。

ゆうすけはいつも大量に食うし、ちさは絶対に一番高いものとかを食うのが目に見えてわかる。


今日は月曜日の料理当番は雅亮だ。

どんな料理が出るのか楽しみにしておこう。

俺は備え付けてあるベットに横たわった。

明日になったら物を買いに行かないとな、そう思ういながらベット以外何もない部屋を見回す。

最高と言っていいほど良い環境のこの場所で明日からは本格的に訓練を始めようか。

今チームができているアドバンテージを活かさないほど俺たちは馬鹿じゃないからな。

そう思いバックからノートとペンを取り出し、床に寝そべった。

書くことは明日以降について。

さらに上に行くための方法をさらさらとノートに書き綴った。




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