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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第3章:光と闇の双子
98/226

98.【余談】刺されたら嫌だし…

次話より第4章に入ります。

これからもよろしくお願いいたします。

【余談】

~ケロイとアドルフのその後~




「いんやぁ~エルザスヘイムにも背の高い建物が増えてきたねぇ」



「ええ、本当に」



 一連の騒動の後、エルザスヘイムは凄まじい速度で発展し始めた。


 麻薬の売買によって金を大量に蓄えた者達が率先して街の為に金を使い始めたこともあるが、何よりも蜘蛛の民という優秀な労働力が大きかった。


 蜘蛛の民は騎士程ではないが戦闘力が高くて数も多い為、エルザスヘイム周辺に増えつつあったモンスターをどんどんと駆逐していったのだ。


 そのおかげでエルザスヘイムにやってくる行商人や旅の者がモンスターに襲われることが非常に少なくなり、人や物の出入りが激しくなった。


 そこまで環境が良くなれば勿論定住する者も増え初めて更に金の回りは良くなっていく。


 そして人が増えると稼ぎやすいので店やいろいろな施設が増える、といった感じで凄まじい発展を遂げた。


 そして今はエルザスヘイム周辺のモンスターもほぼ討伐され平和になってきた為、蜘蛛の民は優秀な高所作業員として雇用されていた。


 なんだかんだで蜘蛛の民も街の住民に受け入れられ、今では差別や偏見はほとんど無い。



「貴女にしてはうまくやりましたね」



「誰かに恨まれて刺されたら嫌だし…」



 そんな理由でここまで良い街づくりをやってのけたのか…とアドルフは少し呆れる。



「それに…」



「あん?」



「ヒェ…怖い……こんなところで死んだらこの子の顔が見れなくなっちゃうから…」



 ケロイは大きく膨らんだお腹をなでる。



「それは困りますね…まぁそうならないように…これからも俺が守ってあげますよ」



 アドルフは熱くなった顔を隠しもせずに話す。



「あッ…孕んだわ…。今ので2人目孕んだねこれは…」



「は?じゃあこの場でそのクソみたいな冗談を事実にしてやろうか」



「いや流石にこんな人目の付くところでブチ犯すのだけは許して下さい!!」



 ケロイはサッと慣れた様子で頭を下げる。



「おっお…今赤ちゃんお腹パンチした…!はぁ…もうかわいい…きっとアドルフに似たサディストが生まれるよ…!」



 ケロイはお腹をとても大切そうになでる。



「俺もパンチしていいですか?」



「いやいや!ダメだからぁ!ちょっとした冗談だよぉ!ヤサシストって言おうとしたんだよぉ!」



 アドルフはとても人間を見る顔ではない顔をしてケロイを見下し…



「ハッ」



 嗤った。



「冗 談 で す」


「こ、こ、こここここ怖ぇぇぇ…冗談怖いんよぉ…」



 ケロイはがたがたと震えてお腹を抱きしめた。



「あの~…」



 ケロイとアドルフがいつものやり取りをしていると第三者から声をかけられる。



「そろそろ開式です」



 黒いスーツの男は柔らかい笑顔でおおきな扉に手を掛けている。



「もうそんな時間ですか」



「ヤバい…緊張してきちゃ…」



 アドルフはケロイの手を優しく握る。



「ほら、行きますよ」


「うん…」



 2人は手を繋ぎ共に開かれたおおきな扉をくぐる。

 

 ケロイとアドルフの薬指には同じ宝石のついた指輪が輝いていた。



///////////////////////////////////////




【二人の結婚式は始終賑やかなものであった】




「え…なんかこのウェディングドレスおっぱいが苦しいんだけどぉ…」


「デブって事ですか?」


「デブって事じゃないですぅ…(泣」




【所々ハプニングもあったものの、当人達は楽しんでいた】




「これ、これさ…?ウェディングケーキ標高たかすぎないん?」



「嫁が一番喜ぶやつって注文したら、これでした」



「え…へへへ、なんかくっそてれるなぁ……うおっう!?おとっと!」



「あ、やったなこいつ」




【凸凹な二人だが、だからこそお互いに無いものを持っており補うことが出来る】




「ほんっとクソどんくさいですね」



「こ"へ"ん"よ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!」



「はぁ…ほらクリームふき取りますよ」



「あ"り"か"と"う"う"う"う"!!」



「そろそろ泣き止ん 「ひ"え"え"え"え"!!」 うるせえボケエエエエ!!!!!」



【その日、ケロイとアドルフは夫婦となった】



「こんなお嫁さんでごべんねぇ…これからも迷惑かけぢゃうがも…」



 結婚式が終わり陽も落ちてきたころ、ケロイは結婚式でやらかした事を色々と思いだしてめそめそと半泣きになっていた。



「そんな事どうでもいいんですよ」



「えぇ…」



 アドルフはケロイを強く抱き寄せる。



「お前が俺の傍に居てくれるなら…それだけでいいんだよ…」



 ケロイは少し沈黙した後、とても幸せそうな顔でアドルフを抱きしめる。



「…うん!それと…これからはぁこの子も…一緒にね…!」



 こうして感が鋭すぎる男と、臆病すぎる女はサリンのテストを合格し、殺されることなく幸せな道を三人で歩み始めた。

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