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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第3章:光と闇の双子
84/226

84.いやぁホント良くあそこまで

 誰もいない宿屋のカウンターを通り抜けてカーンさんと宿屋の外に出た。



「ここ…グラムレインだったんですね…」



 この街は僕が命からがら逃げだした街、グラムレイン…だ。


 この街の中心に立っている巨大な塔の根元にある研究所で僕は今の身体にさせられたんだ。


 でも…どうやら僕の記憶にある忌々しい塔とは少し様子がちがう。



「もう、塔に光が灯る時間か」



 以前の記憶と全く違うのは…



「太陽…?」



 塔の頂上にとてつもなくまぶしい光がともっている。



「あれ、あの塔を知らなかったのかい?」



 知っているも何も僕が閉じ込められていた部屋に窓は無かったし、たぶん連れてこられた時も、逃げた時も日中だった。



「えと…はい。知りませんでした」



「まぁ無理もない。私も実際にお目にかかるのはこれが初めてだからね」



 カーンさんは人差し指で太陽?を指さす。



「あれは魔学研究所の連中が作り出した……人工太陽だよ」



「あれを…人が作ったんですか…?」



 ただ、恐ろしい。


 太陽は神様の与えてくれた僕たち人間を照らす奇跡だ。


 それを人が作り出すなんて…信じられない。



「あれはモンスターをこの街に引き付けて周辺の村をモンスターから庇う役割もあるんだよ」



「じゃ、じゃあ僕がいたはずの村も…」



 僕がここまで五体満足で生きてこられたのもこの人工太陽を作りだした魔学研究所のおかげなのだろうか?



「いや、人工太陽が完成したのはつい最近らしいから関係はないと思うよ」



 あ、ないんだ…


 一瞬魔学研究所の人たちに感謝しかけたよ…



「…そういえば、僕をどこで拾ってくれたんですか?」



 人工太陽の事を考えていると心がもやもやするから強引に話を変えた。



「風の荒野だよ。いやぁホント良くあそこまで一人で逃げれたね」



 風の荒野…って…グラムレインから歩けば2日掛かるくらい離れてたと思うんだけど…。


 そんなに遠い場所から僕を担いで連れてきてくれたのか。



「す、すいません重たかったですよね…」



「いやいや、それがね。きみぜんっぜん重くないんだよ」



 いや…それはカーンさんが力持ちなだけだと思います…。



「アハハ…そんなに軽いですかね…」



 女の人にそんなことを言えるわけもなく、とりあえず誤魔化した。



「そもそも騎士である以上、馬車くらい軽く持ち上げられないと騎士団の名に泥を塗ることになるからね」



 …僕を担いでグラムレインに来る道中で、馬車を持ち上げるような機会があったのだろうか…。


 え…なんで馬車持ち上げたの…?


 うわっ、かなり気になる……!


 ん…?



「カーンさん騎士さまなんですか!?」

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