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7.騎士として当然の事です
「まずは合流地点となっている村へ向かいましょう」
ほかに生き残りなんていないと思うが、確認もせずに帰る訳にはいかない
「ええ。良くってよ」
姫様はニッと微笑んだ、チラリと見える白くて並びの良い歯がより微笑みを可愛らしく見せている
「疲れたり、脚が痛くなってしまいましたらお声がけ下さい。」
出来ることなら馬車や馬に乗せて差し上げたいが辺りを見回す限り生きている馬は居ない
「わかりましたわ。お気遣いありがとうございます」
「お気になさらず。騎士として当然の事です……おっと…」
昨日血を流しすぎたせいか少しふらついてしまった…姫様は俺を頼りなく思うだろうか?
不安にさせない為にもしっかりしなくては…
「…大丈夫ですの?」
「大丈夫です、行きましょう」
「…分かりましたわ」
多分俺が無理しているのはお見通しなのだろうだがそれでも俺を止めないのはきっと騎士の…いや男のプライドという物を傷つけない為にあえて見逃してくれているのかも知れない
いや…考えすぎだろうか?
騎士と姫は歩く