60.私は…
…騎士は王国の為に剣を振るう者だ
……例え目の前に救える命があろうと王国を優先しなければならない
………例え大切な存在であったとしても王国に仇なすものは粛清しなければならない
…………例え理解のできない命令だとしてもそれを己を殺して命令を遂行しなければならない
これは騎士ならば誰でも知っている事だ。
そしてこれを本当に守り続けたからこそ王国は人類を統一し、魔族に対抗出来た。
騎士は王国にしか存在しない。
何故なら他の国にはそこまでの覚悟を持った人間がほとんど存在しなかったからだ。
人類を統一するまでの間、騎士はその老若男女問わずに命令一つで殲滅する残忍さから本気で悪魔だと思っているものまでいた。
大の大人10人がかりでも勝てない存在が同じ人間だなんて思う者はあまり居なかったのだろう。
…だがそう恐れられている騎士だって本当はただの人間だ…数時間に渡り魔術を受け続ければ生き絶えるし、心が壊れ廃人と化した者だって居る。
だからこそ…騎士達は信じるものを同じとする仲間を大切にし、お互いに助け合い戦ってきた…
そう
全ては王国の為に
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「私は…」
「目が覚めたか」
深い昏睡から目覚めたカーンは自分と同じ紋章を付けた重装騎士がとなりにいた事に安堵した。