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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第1章:個性
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6.共に帰りますわよ!王国へ!

足音が聞こえる…


こっちに近づいてくる…?




「誰だ!?」


「ひゃぉ!?」



目を開けると視界にひとりの女性が映る。



 血液のように赤くて美しいドレスに細かい細工が施された指輪。

 サファイアの様に美しい青の瞳を並べた顔は恐ろしい程に整っている。

 美しく絹の様に柔らかそうな金髪は縦にロールされていて、蒼くて大きい可愛らしいリボンが一つ添えられている。

 胸は全く無いが余りに美しい容姿から高貴な女性だと一瞬で理解する。


 死体だらけのこの場所に相応しくない圧倒的な異質さから言葉を失う。




「……」



「…はっ!?貴女は!?」




そしてこの人物を思い出す。


この人、このお方は我らが誇り高き王国の…





「…サリン・シャンカ・バルトルウス・センス…様…!?」





我らが王国のお姫様である…


 …メチル様・サリン様・アトロ様の三姉妹はとても有名である。




「コホン…。その通りですわ。そういう貴方ば騎士団の方でお間違いなくって?」





 先程の奇妙な呻き声から一転、超優雅な声が周囲に響く。

 あまりの優雅さに言葉を失いかけるが、何とか会話を繋げる。




「………はい。私は第3騎士団所属のカロン・ヴァンヒートです」




 確か今年16歳になったばかりのお方だと言うのによくこの戦争で生き残れたな、と関心する。

 確か初陣で一番後方に控えていらっしゃった筈だから何とか助かったのかもしれない。





「ほかに生き残りはいらっしゃるの?」



「…恐らくいないかと」



「…そうでしたのね」




…沈黙が訪れる


 騎士団の皆が死んでしまった事を悲しんでいらっしゃるのだろうか?だとしたらお優しいお方だ…




「姫様。近衛を連れていない…と言うことは彼らも…?」




 騎士団の全滅(俺は生きてるが)を知った時よりも暗い表情になってしまった。

 近衛の者達とはいつも共にいたからこそ、より悲しみが深いのだろう




「…ええ わたくしを逃す為に…」




 姫様は涙を流さない、きっと我慢しておられるのだろう…


 一番後ろにいた近衛達が殺されたと言うことは、恐らくもう他の生き残りは居ない。




「…ご安心下さい。なんとしても私が姫様を王国までお連れいたします」




「まぁ!嬉しいですわ。…皆が死んでしまったのは悲しい事ですが、もう彼等は帰って来ませんわ。いつまでも此処で立ち止まる訳にはいきませんもの。共に帰りますわよ、王国へ!」




 …その通りだ、今は囮となって死んでいった皆の為にも姫様をお守りしなくては…!




「はい!お供させていただきます!姫様!」





 こうして騎士とお姫様の帰還の旅は始まったのである…

騎士は26歳、お姫様は16歳となっております

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