43.コレ…なのだが…
カランコロンカラン
サリンとカロンは街で一番腕が良いと言われている薬屋の扉を開く。
店の中にはいろんな草が所狭しと並べられており少々青臭い。
よくよく見ると端の方に薬らしき物が入ったこびんもある。
「お邪魔しますわ。鑑定してほしい草がありますの」
店の奥から、しわがれた婆が出て来た。
「じゃますんなら帰ってや〜。へぇっへぇっへぇっ」
スッ…
となりの騎士が直剣に手をかけるのをみて慌てて手で止める。
「カロン」
「申し訳ありません」
「あぁー〜?んで何の用だい?」
顎をしゃくり上げながら此方を睨みつける婆。
ジ…ジジ…
騎士の鎧から魔力過多時に聞こえる音が若干聴こえて焦る。
「カロン…」
「申し訳ありません…」
イライラすると鎧への魔力循環が乱れる事が度々ある。これといった悪影響はないが、騎士がこの状態で婆を小突くと婆は弾ける事になるだろう。
「はぁぁやく見せなってんだよ!!」
「コレ…なのだが…!」
騎士に渡していた草はがっつり握り潰されていた。
「なぁ〜〜んだい?このくっっちゃくちゃなのは!」
文句を言いながらも婆は草を観察する。その姿はまさに本物だった。
「あらま、これは幻想薬の素材に使われる草じゃあないか」
空気が凍った…気がした。
「幻想薬っていわゆる麻薬…の一種ですわね」
「ほおぉ?嬢ちゃん詳しいじゃあないかね。ヘェッヘェ」