40.ハァ…厄介ですわねぇ…
「ハァ…流石に疲れますわね」
私はカロンと別れた後部屋に入ってすぐにソファーにぐったりと座り込んでいた。
「(ホント…厄介な事になりましたわねぇ…)」
ー普段出没しない危険度のモンスター
ーここら辺に巣を作っている報告のない蜘蛛の民
ー蜘蛛の民を襲ってしまうほどに理性のなくなったモンスター
3つの不審な出来事が同じ時期に起こっている。…たかが3つだけれど…用心して置いて損は無いはず。
「(…魔族絡み…かも知れませんわね)」
そもそも大戦時、魔族軍の予測戦力では騎士団が全滅させられる事はあり得ない事と思われていた。
本来ならば確実に勝てる筈だった。そもそも負ける可能性が少しでもあれば私が戦争に出る事も無かった。
「ハァ…」
やはり魔族側には我々の予測を遥かに上回る支援者が居るのだろう。そしてその支援者は今も生きていて活動している…
「…」
正直な話…エルザスヘイムが滅びようが、ナレが死のうがどうでも良い。
そこまでしてやる義理など無いし、あったとしても未知の危険がある以上実際に行動なんて起こさない。
「(ナレが勝手に死んで下されば手っ取り早いのですが)」
ただし、騎士の反感を買うかも知れない。騎士が私を裏切れば、この先帰国するのは少し難しくなるだろう。
「ハァ…厄介ですわねぇ…」
…そういえば、蜘蛛の民が薬草と言っていた葉は本当に薬草だったのだろうか?
「(葉なんて知識のない者から見れば、それが薬草かどうかなんて確かめようが有りませんわ)」
葉の形状は覚えているし。後で一度確認しに行っても良いかも知れませんわね。