4.死体と眠る
整備されていない道をしばらく歩いて来たが、恐らくこの道で間違い無いと思う。
先程から貴族の死体が所々に落ちている…逃げたが追いつかれた連中だろう。
…どうやら我々騎士団の面々は無駄死にだった様だ
「…クソ」
せめて顔を覚えておかなければならない。
俺が生きて帰れれば記憶に干渉する魔術で俺の記憶から死人の顔が判るだろう。
だから気分は悪いが貴族一人一人の顔を確認しなければならない
「酷い事をする…」
顔を抉られた死体や頭が溶けている死体がある、こればかりはどうしようもない。
一応死体の記憶にも干渉できる筈だが片道5ヶ月の距離だ、正直脳が残っているか怪しい。
きっとモンスターに食い荒らされるだろうから今確認するしかないのだ。
「……」
ひたすら確認していく
「…」
ひたすら確認しながら歩いているとあたりが暗くなってきた。
今日は死体と寝るしか無さそうだ、夕飯は破壊された馬車の中で見つけたパンを齧る。
「…寒いな」
火を起こしたいが仮にもここは最前線だ、もし魔族に場所がバレでもしたら流石に死ぬ。
今日はおとなしく耐えるしか無い
道端の木に背中を預け、剣を抱いて眠る
「………」
「……」
「…」