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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第2章:覚悟
33/226

33.わかりやすくて

「サリン様、騎士様。私商人ギルドへいって事情を話してこようと思います」



 ゴードンと別れて少し歩いた時だった。サリンとカロンは足を止めてナレの話を聞く。



「商人ギルドか、そういえばナレの父親は商人だったな」



 カロンは話しながら横転した馬車を思い出す。たしかに馬車には商人ギルドの紋章が有ったはずだ。



「父親が亡くなった事を話せば、父親の負債を貴女が背負う事になるかも知れませんわよ」



 確かにナレの父親が借りていた馬車や積荷を全て紛失してしまったのだ。それらの賠償金は相当なものになるだろう。



「はい、でも…今までよくしてもらったのに何も言わないっていうのはダメだと思いまして」




 ナレは小さい頃から父親の行商に付き添ってきた。本当に行商ギルドのメンバーにはお世話になっているのだ。だからこそ、不義理なことはしたく無いのだ。



「なかなか筋が通っていますのね。良い心がけですわ」



「ありがとうございます。お二人はこの後何処へ行くんですか?」



 カロンは少し考える。



「まずは宿探しだな。…サリン様を休ませて差し上げたい」



 エルザスヘイムでは姫様と呼ばない様に言われたのをカロンは思い出す。考えた末、とりあえずはサリン様…と呼ぶことにした。



「そうですわね。お互い休憩が必要ですわ」



 サリンは微笑みを浮かべる。



「集合場所ってどうしますか?19時くらいが丁度良いかな?って思っているんですが…」



 ナレは煉瓦造りの時計塔を指差す。この時計は魔術仕掛けの時計なので手入れが簡単でとても便利である。


 ちなみにこの世界にあるほぼ全ての時計は魔術仕掛けだったりする。



「良くってよ。ではまた19時にここで」



「はい!また後で!」



 ナレは元気よく挨拶して走り去っていく。おそらくその方向に商人ギルドがあるのだろう。



「では、サリン様。向かいましょう。あそこに見える看板に従って行けば宿屋に辿り着けます」



 街中にはよくこういった看板が立っている。これは王国でも同じだ。せっかく需要があるのに見つけてもらえなければ何の意味も無いのだから。



「王国と同じですのね。わかりやすくて宜しいですわ」



 ……これでこの宿がボロくて汚かったらどうしようか、と本気で悩むカロンだった。




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