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3.悪い冗談
騎士視点です
「はぁ…フゥ…」
流れる血液はいつのまにか止まっていた、昔から傷の治りは早い為今もかろうじて生きていられる
「本当に…生きてる奴が誰も居ない」
見渡す限り死体の絨毯だ…
…疲れているせいか悪い冗談しか出てこない
「はぁ…呪われてしまうな…」
王国に帰るといってもここまで来るのに5ヶ月も掛かっているのだ、適当に歩いていればたどり着けるような距離ではない
まずは仲間が生きているか確認すべきだ。
一人で帰るのは危険だ、今の状態で多数の魔族かモンスターに襲われれば流石に勝ち目はない…と思う。
少しでも魔力が回復すればなんとかなるだろうが、人数は多い方が良い。
…だが
「騎士団の生き残りは…居ない…な…」
見渡す限りの死体…
どれもこれも破損が酷く、生きていない事は明白だった
ならば我々騎士団を犠牲にして逃げた貴族達と合流するしかない
「…生き残った者はここから一番近い村で合流…」
戦っている最中にそんな声が聞こえたのを覚えている
「多分…行軍時に寄った村…だよな」
そこなら貴族達が逃げていった方角と同じだ。
「…行くか」