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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第1章:個性
24/226

24.今日はもう

カロン視点に戻ってます

「それは凄いですね!11歳で虫網を自作するなんて、本当に天才だったんですね」





「ええ。本当に天才ですのよ」




 姫様は自身の昔話を聞かせてくれた。まだ幼いメチル様が幻想蝶を捕まえるために虫網と虫籠を作成したという話だった。楽しそうにその話をして下さる姫様はにこやかな笑顔とは相反する様な…憎悪に塗りつぶされた様な目をしていた。




「それで、結局誰が一位になったんですか?」




 一瞬姫様の表情が暗くなった。あまり触れて欲しくない話題なのだろうか?楽しそうに振舞っているのにも関わらず…




「わたくしですわ」




「ぇえ!?サリン様が勝ったんですか!?じゃあサリン様の方が天才じゃないてすかっ!」




 ナレは純粋に姫様を尊敬しているのだろうが、姫様は全く嬉しくなさそうだ。長い間姫様に仕えていた訳ではないから詳しくは判らないが、やはり機嫌が良い様には見えない。




「ええ…そうですわね。でも姉様の方が凄いでしょう?虫網の知識なんて無いのにゼロから作るなんて…」




「確かに凄いですけど…実際サリン様が勝っているんですし、サリン様の方が凄いと思います。因みにどうやって勝っ…


「そろそろお休みになられた方が良いのでは?明日に響きますよ」



…あ、はい…そうですね」




 余りにも見ていられなかったので会話に割って入らせてもらった。姫様は先程までの暗い雰囲気を置いてきぼりにしてキョトンとしている。それから姫様は可愛らしくニッと微笑むとナレに答えた。




「どうやって勝ったかは秘密ですわ。さぁ今日はもうお休みなさい」




 …どうやらいつも通りの姫様に戻られた様だ。




「はい。えっと…おやすみなさい…です」





 …しばらくすると小さな寝息が聞こえてきた。どうやら眠れたようだった。





「そういえば…姫様。これからは夕食用の動物確保は私がやります。万が一があっては困りますから」




「…?動物なんて捕まえに行っていませんわよ?」




 …?姫様はアンデット化しないように清めてモンスターやナレの親達を埋めた箇所を指で指している……まさかあの夕食の肉はモンスターの肉だったのだろうか?確かに一部の美食家にとっては超大人気だが…




「なるほど…どうりでナレが喜んで食べていた訳ですね。私は食べた事が無いので少し気になりますね」




「共食いになるから辞めておいた方が良くってよ?」




 俺が化け物なのか、それとも……どちらにしろ答えを聞く気にはならなかった。どちらにしても、騎士としての姫様への忠義は変わらないのだが。

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