21.あら。可愛らしいですわね
お姫様三姉妹の末っ子視点です。
お姉さまが戦争に出て何ヶ月経っただろう…本来ならとっくに魔術で知らせてもらえる筈だったのに…。気休めにしかならないけど、今日も私は教会でお祈りしてる。お姉さまがご無事であられます様に。
「アトロ様?」
私の近衛兵ユヒサさんに声をかけられてる。
「うん。大丈夫だよユヒサさん」
ユヒサさんは私が幼い頃からずっと私に仕えてくれている女性の騎士様。私の大好きな人達の一人。
「…サリン様が心配ですか?」
心臓がどくんと飛び跳ねてしまう。
「っ……はい……連絡もして頂けないなんて…」
心配で心配で仕方ない。たとえどれだけサリン姉様が疎まれていようと、私の大切なお姉さまなのだから。
「私の…血の繋がった大切な…大好きなお姉さまなんです」
「はい…きっとご無事です。きっと…」
ユヒサさんが気を使ってくれているのが分かってしまう…。長い付き合いになるとなんとなく…分かってしまう。だからきっと、お姉さまは無事では無いって事も。
「お姉さま……また姉妹3人でピクニックやお遊戯をしたいです…お姉さま…」
教会のカラフルなステンドグラスは幼い頃に見た美しい花畑を思い出させる…そう、あの時の様に…また三姉妹で…
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「おねえさまっ!みてっ!」
わたしはユヒサさんに作ってもらった花の指輪をお姉様たちにじまんする。
「ふふっ似合っていますよ!アトロっ」
メチルお姉様に褒めてもらえた!メチルお姉様は私達3姉妹の長女ですごく頭が良くて大好き!そんなメチルお姉様もお花の冠を身につけている!褒められると嬉しいから、わたしもメチルお姉様を褒めよう!
「メチルおねえさまもお花のかんむりがにあっていますっ!」
「ありがとう!アトロにも作ってあげるわ」
メチルお姉様は自分で作ったんだ!スゴイ!わたしも作れる様になりたいっ!お手本をしっかりみさせてもらって覚えなきゃ!
「これをこうして…はいっ、アトロには赤の花が似合うわ!」
見てたけど、まったくわかんない!
「ありがとうメチルおねえさま!ねぇ!にあいますか??」
「うんっ!思った通りです、可愛いですよ」
また褒められた!嬉しい!
「あら。可愛らしいですわね」
「あっ!サリンおねえさま!」
サリンお姉様にも褒めて貰えた!あっ!綺麗な柄の羽を繋げたアクセサリーを付けてる!サリンお姉様のアクセサリーも褒めてあげよう!
「サリンお姉様もその羽のアクセサリーかわいいですっ!」
「あら、ありがとうですわ」
サリンお姉様は相変わらず表情筋が死んでる!本当に喜んでるかわかんない!でもありがとうって言ってるし多分大丈夫!
「あははっ…ああっ!あれ!みておねえさま!」
「…」
「蝶々?」
白くてぱたぱたしてるのがいっぱいお花に止まってる!ちょうちょって言うのかな?メチルお姉様がそう言っているのだからそうに違いない!
「幻想蝶ですね。病気は持っていないはずなので触っても大丈夫ですよ。姫様方」
「ユヒサさん本当!?つかまえてもいいっ!?」
ユヒサさんはにっこりと笑うと「大丈夫ですよ」と言った。ならば…
「おねえさま!誰が一番つかまえられるか競いましょっ!」
「ふふっいいですよ、勝負です!」
「良くってよ」
お姉様方には勝てないだろうけど、一生懸命頑張る!
「では私が審判を致しましょう」
さすが私の騎士様!お願いする前にやってくれるなんて!
「ありがとう!じゃあユヒサさんお願いね!」
「最後に沢山持っていた方の勝利で良いですね?では、開始!」
よし!頑張るぞっ!