209.王都中に知れ渡るのも時間の問題かと
「ふぁ~ねむ」
「お前…一番最後まで寝てた癖に…」
ワタシの隣に座ってぶーつぶーつ言っているドルティを無視して朝食…時間的にブランチ?を食べる。
魔道冷凍室にあった残り物でよくもこんなにおいしい物を作れるものだ。
…と思っていたけども、どうやらこれを作ったのはリインらしい騎士とか魔術師は料理もできるんだなぁ。
とか思いつつもさもさ食べる。
うまい。
「さて、では食べながらで良いので町の様子を報告致します」
「ええ」
暖炉の前にある席に座っていらっしゃるサリン様が相変わらず食事に手を付けずにそう反応された。
相変わらず…っていっても騎士君が作ったものは普通にお食べになっていたから…どうなんだろう?
「今朝にはもう現国王…いえ、パナシア様からお触れがあったようです、新聞や掲示板にはもうサリン様が王位を継承されることが決まったという旨の記事が載っていました。王都中に知れ渡るのも時間の問題かと」
「…そうですの」
「メチル様についてはパナシア王の名においてサリン様との正式な決闘の末お亡くなりになられたと発表されました」
「ほう、そう発表したのか。そいつは正直助かるな、こっちとしては表立って動きやすい…というか…」
みんなの動きが止まる。
そりゃあそうか、うん。
そっか。
「終わった、…勝った」
終わった。
大戦が、あの旅路が、天才との戦いが、全部。
やっと、終わった。
「おめでとうございます、サリン様」
「ま、まてよ罠だって可能性もあるんじゃないのか?」
はぁ…ドルティ…水を差すんじゃないよ水を。
とはいえ気になるといえば気になる。
「低いでしょう、わざわざパナシア様が下知されたのですから」
「じゃあ本当に…」
「終わッた、みてェだなァ」
「まじか…マジでやったんだな…」
実感が少しづつ湧いてくる。
わなわなしつつサリン様の方を見る。
「…」
にっ、とした最高にかわいい微笑みを返される。
あ、あっあっ
「よっっっしゃあああああああああ!!!!みたかあああああ!これがサリン様じゃああああ~~!!」
「うるさ!!」
発狂するワタシを見て一気に勝鬨を上げる人、ワタシの頭を叩くドルティ。
いつもより叩く力に力が入ってないなとか、勝鬨って言葉使い方あってる?とかそんな些細な事はどうでもよくて、ただ嬉しい。
失ったものはある。
でも今は喜ぶべきだ、そうでないとタラナタラスで死んだ助手や騎士君に顔向けできない。
といっても騎士君はサリン様の斜め後ろで何かを察したようにカシャカシャと拍手しているんだけどね。
そんな喜びの中、サリン様も同じく少し嬉しそうにしていらっしゃった。
でも騎士君を見つめるサリン様を見れば分かる。
きっとサリン様にとって王になる事はもう分かっていて、今喜んでいるのはきっと別の理由なんだろう。
多分だけれどワタシは察している。
サリン様が喜んでいるのはきっと…騎士君を生き返らせる為に必要な工程が一つ進んだからなんだろう。
「新たなる女王!サリン様の統べる王国に栄光あれ!!」
皆さまお忘れかもしれませんが傀儡の王様ってパナシア・シャンカ・バルトルウス・センスって名前でしたね、私もちょっと忘れてました。
5年近くたってまだ完結してないって…ヤバい…
新しく書きたい小説もあるのに…