200.団長、返事を聞かせて下さい
いつも閲覧ありがとうございます!!
200話です!まさかここまで話が長くなるとは…おもってもいませんでした。
皆様のおかげです!ありがとうございます!
もう少し続きますので宜しくお願い致します!
「その体…本物ですか?」
「ああ」
リインと呼ばれた白髪の女が髭おじをじっと見つめてる。
さっきぶちギレていた騎士様も剣を振るう手を止めてリインを見ている。
敵か味方か判断しようとしてるんか…どうなのかは知らない。
「なぜ、こんなところに?」
「まぁ仕事だよ」
「そうですか」
リインは不用心にも目を閉じて考え事をしている様子。
髭おじが攻撃しないと思っているのか、どうなのか、でも多分そうだ。
正直さっさと逃げたいんだけどねぇ!
騎士様や魔術士様と戦って生き残れるワケないしね!!
でも下手に動けない、動いたら均衡が崩れる気がする。
「何をなさるつもりですか」
「……それは答えられんな」
「残念です。では何故私を攻撃しないのですか?」
「俺は殺人鬼じゃ無いんだぞ?」
そうは言いつつも何か魔術を行使しているのか、ワタシの体にまたうっすらと魔力がまとわりついてくる。
こういうとこホント魔術士団の団長っぽいんだよねぇ。
用意周到?ってかんじ。
「…地下牢であれだけ騎士を殺したのに、ですか?」
一瞬時が止まったみたいな錯覚に陥る。
騎士を殺した?それも沢山?なんで?聞いてない。
そんな話は聞いていない。
サリン様は知っている?騎士くんは?わからない。
意図的に隠されていたのならわかりようがない。
あれ?ワタシもしかして今サリン様を疑ってる?
駄目だ、それだけは駄目だ。
それは裏切りになる、思考を切り替えよう。
ワタシはサリン様のために生きると決めたのだから。
「あー…あれか、悲しい事件だったな。俺は関与してないから知らないが」
「…」
あれ?結局違うの?いやなんなのさ。
どうゆうこっちゃねん。
ただのウソ?かまをかけられただけ?
「そういう感じなんですね、わかりました」
「どういう感じだよ」
「別にそれが悪いとかは思いません、私は王に忠誠を誓っている訳ではありませんし」
「そういや昔からそう言ってたな…魔術士らしいっちゃらしい。良いと思うぜ?」
魔術士は騎士とは違って王に忠誠を誓わずともなれるって聞いたことがある。
詳しくはしらないけんどね。
とにかくリインは、"そう"らしいね。
「団長は昔からそうですよね。私に対して怒った事なんて一度も無い」
「俺は褒めて伸ばす人間だからな、あともう団長じゃねぇって」
「いえ、私にとっては今も貴方が団長です。そうですね…団長と呼ばれたくないなら…」
「ん?」
もう一度リインは深く考えるようにしてから「こほん」と咳払いをして髭おじに向き直る。
そして訳の分からん事をいいやがった。
「結婚してください」
「はぁ!?」
「えぇ!?」
「貴様何を考えている!」
何故そうなった!?
というかついに場を静観してた騎士様まで声を荒げちゃってるよ。
いやマジどういうことなの…。
「ま、まままて。何故そうなる、リインお前っ、いやホントなんで今なんだよ!?」
「この機会を逃したらまたどっか逃げるかもしれないじゃないですか!!」
さすがにリインも若干顔を赤くしてそう言い放った。
もちろん髭おじも露骨に照れている。
なんなんだよ…こいつら。
今やんなよ…。
「ぐ…それを言われると痛い…」
「結婚するなら、この場は見逃します。正直国とかどうでもいいので」
「貴様!!裏切るつもりか!!それがどういう事かわかっているのか!!」
「うるさいですね…!今私の今後が掛かってるんですよ!邪魔をするなら殺しますよ!!?」
うっ…と騎士様が黙る。
さすがに三対一になるとまずいと思ったのかもしれないし、単純に普段怒らなさそうな人が怒ったから驚いているのかもしれない。
まぁどうでもいい、ワタシ達には都合がいいしねぇ。
「…なんで俺なんだ」
「………言わないとわからないんですか?その、好きだから、ですよ」
くぅ~…乙女の顔しやがってぇ…!
もうなんか一周回って面白くなってきた。
「えぇ~髭おじ~どうすんのさぁ~?ねぇねぇ~」
「貴女は黙って下さい。殺しますよ」
「ハイ、すみませんでした」
こっわ…怖すぎ…おしっこちびりそう…。
なんていうの…?あれ、魔力の圧っていうの?それがすげぇの…ホント…。
「団長、返事を聞かせて下さい」
「……するかぁ、結婚」
「よしッ!ではさっさとこの場を納めましょう」
「…話は終わったか。まぁいい、裏切るのならお前も
騎士様が話している途中で氷漬けになる。
もちろんリインがやった。
さすがに魔術士様だ、ワタシの常識には無い速度と威力だ。
…騎士様についてはよくわからないし、きっと何か凄い思いがあったんだろうけど…人間死ぬときは一瞬だというね。
一人例外は知ってるけど。
もし、出会い方が違えばこの騎士様と友人になれたりしたのかな、とかそんな事を思う。
「相変わらず容赦ねぇな…」
「騎士相手に手加減出来るほど余裕無いので」
「そうかよ。…それと、リイン…お前の気持ちも知らないで姿を消し
「ええ、わかってます。謝らないでください、もう終わったことです」
氷漬けになった騎士を放っておいてそんな話をする。
私は氷漬けにされてしまった騎士様に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
あっけない、本当に、こんなものか。
人ってこんな簡単に死ぬんだなぁ。
「それよりこれからはよろしくお願いしますよ?」
「あぁ、また付き合わせちまうな」
「いいですよ、貴方と共になら」
二人はぎこちないながらも嬉し恥かし、といった様子だ。
あぁ、本当に。
この人達は人を殺しなれてるんだなぁって思う。
でも。
いっぱい殺してころして殺して。
殺しすぎて狂ってしまった後に、ほんの少し幸せになるくらい。
いいんじゃないかな、とも思った。