20.本物
毎回短くてすみません。どこかでくっつけようか迷ってます
「やっぱりお姫様は習い事とか沢山するんでしょうか?」
「ええ、それはもう沢山修得しますわ」
お皿を洗いながらサリン様とお話しする。やはり自分とは違う境遇で育ったのだから興味があるのだ、それに今聞かなければもうお話しする機会なんて無いかも知れない。
「このお皿もその…習い事の過程で作成されたのですか?」
「そうですわ。形が悪くってごめんなさいね」
「い、いえ!そんな事ありません!むしろ今まで見た事ないくらい綺麗なお皿ですっ!」
昔お父さんに目上の方がご謙遜なさったら全力で褒めまくれと言われた事があるのを思い出す。お父さんを思い出したせいでまた暗い気持ちが戻って来かけるが、何とか押しやる。
「お世辞が上手ですわね。でも世の中にはもっと凄いのが居ますわよ」
サリン様は何処か遠い目をする。何かあったのだろうか?
「姫様…どうかなさいましたか?」
騎士様は私より早くサリン様に声をかけた。
「私の姉は知っていますわね?」
騎士様は頷いて答える。
「メチル・シャンカ・バルトルウス・センス様ですね」
「そう…メチルお姉様は…本物ですわよ。本物の天才…」
サリン様の表情は一切変わらないけれど、なんとなく…悲しそうに見えた。