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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第7章:狂姫と天才
199/226

199.どぼじで切って来るのぉ~!?


 ぐる~ん、って視界が。


 身体の感覚が。



「死ぃん…」


「っぶねぇ…」



 ってあれ。


 視界が逆さまになったまま…戻らない!?



「イ、生きてるぅ~!!?」



 何故かワタシのカワイイお足ちゃんは天井にくっついてるねぇ不思議だねぇ!


 いやいや、これは髭おじの魔術かな?重力反転的な?というか何故いきなりぃ…って…まぁうん。



「もう一度聞く。そこで何をしていた」



 あの騎士の攻撃?を避ける為?なんだろうねぇ。



「問答無用で切り付けてくるとか躾がなってねぇな」


「え、そういう問題ぃ?」



 いやうんまぁ確かにいきなり切りつけてくるのは良く無いと思うケドね?



「は…。躾だと?」


「あぁそうだよ嬢ちゃん。アンタの上司の顔を見てみたいもんだな」



 …うっすらと身体を包む魔力を感じる。


 成程?さては髭おじ会話で防護魔術とか身体強化系の魔術を行使する時間を稼いでいるんだねぇ!


 でもさ…もうっちょっとさ…相手を刺激しないような言葉を選んだほうが良くない?ヨクナイ?



「…見たい、見たいかそうか」



 あっやばい。


 すげぇ怒ってる…。


 目に見えて怒ってるよ…アレ…。



「(やばいよぉ~…髭おじぃ!めっちゃ怒ってるじゃんかぁ…!」


「(え?そんな怒る事か…?これくらいなら術士ジョークの範疇だと思ったんだが…」



 うわっ…でた。


 ほらでた、でるでるすぐでる新しいのでる。


 どうせそんな事だろうと思いました。


 騎士ジョークの次は術士ジョークですヨ。


 ソレ何が面白いのさ!!



「殺されたよ。私の姫、私のアトロ様は……!!」




「あっ…」

「あー…」



 それは…うん…ワタシも本当に残念だと思う。


 昔アトロ様を何回か見かけた事があったけど、余りの尊さと眩しさに失明しかけた…なんてこともあったなぁ。


 きっと…この騎士様はアトロ様版のワタシ、アトロ様を失ったときの絶望は…分かる。



「その、アトロ様の件はぁ…本当に残念だし、辛いよね…。ワタシもアトロ様の事大好きだったから騎士様の気持ちは良く分かるよ…」


「……」


「でも失った人は戻らないしぃ…きっとワタシ達がこうやってアトロ様を失ったことでずっと落ち込んでちゃぁ…アトロ様も悲しいと思うんだぁ」


「(そういえば話してないんだったな」



 なんか髭おじがぶつぶつ言ってるけど無視して騎士様を慰めよう。



「だから元通りってぇ…訳にはいかないだろうけどさぁ~…元気出して?」


「…」



 う~ん…やっぱりまだちょっとどんよりした感じ。


 何か、こう良い案は無いかなぁ…というか髭おじも黙ってないで慰めるの手伝ってよぉ~…。



「あ、そうだ」



 あぁ~!いい事思いついたぁ~!



「新しく好きな人探してみたらぁいいんじゃないかなぁ~!?サリン様とかどお!?アトロ様より美しいしカッコイイんよぉ!もう最高!!三姉妹とかサリン様だけで良くねぇ~!ってなるよ!!」


「あ、まずい」


「は?」



 へ?目の前に剣が。



「殺すッ!!」


「ぎゃん!!?」



 ぎりッぎりの所で剣が防護魔術に弾かれて助かったぁ!



「どぼじで切って来るのぉ~!?」


「流石に自業自得だろ…もしかしたら…って思ったがまぁムリだったな。よし作戦変更だ!」




 怖い怖い怖いぃ!!すごい勢いで防護魔術切り刻んでるぅぅ!!


 ってちょっとまって。


 作戦変更?え?


 ちょちょちょちょ、変更って"ドコ"を!?どの部分!?



「という訳で俺がコイツ殺るからスタンちゃんは頑張って逃げな。ハイこれ」


「えっハイ了解っって背嚢重すぎぃぃぃ~!?」



 これ絶対書類以外にも色々入ってるよぉ!!



「という訳でお前の相手は俺だ、"元"近衛騎士」


「ッ!アトロ様に毒を盛ったのは貴様かあああああ!!!」


「は!?何故そうなる!?あぁ~…!もういい、ほらよっ!」



 髭おじが手のひらに黒い球のような物を創り出して、それを騎士様にぽいっと投げる。


 爆弾的な物なんかなぁ…まぁいいや、いまの…うち…に………え?



「クッ!」


「ははは、逃げろ逃げろ」



 黒い球はぽいっと投げられたのにも関わらずスイーっと進んでいって…周りの物を吸い込んで…え?ええぇ?壁とか、床とかこう…グネーって…。



「ねぇ髭おじ…なにあれ…どうなってんのぉ…」


「あー…簡単に言えば…めっちゃ質量があって絶妙にあり得ない安全な殺人魔術だ」


「なんだそれ…頭おかしいんか…」


「まぁ魔術だしな、俺も良く分かってないけど出来るからやってる」



 こわ…。


 そんなもん使うなよ…。



「というかさ…早く逃げてくんない?」


「あ、はい。ごめんなさい。その前に…地面に降ろして…」


「忘れてたわ」



 うぉっ…ととと、もっとこうドサッと落とされると思ってたけど案外優しく降ろしてくれたなぁ。


 さては優しいな髭おじ。


 よし、さっさと逃げよう。


 もうさっきから例の"めっちゃ質量があって絶妙にあり得ない安全な殺人魔術"が物凄い音たてて部屋破壊してるから怖いし。



「それじゃあ髭おじ頑張ってねぇ~!」


「スタンちゃんも気をつけてな」



 よし、久々にやるかぁ!電撃魔術による身体強化ぁ~。



「あっちょっとまってスタンちゃん」


「へ?」


「やっぱり一緒に戦ってくれない?」



 髭おじが何とも情けない感じでそう言うと例の黒い球の魔術がかき消される。


 そして消したであろう張本人がカツカツと靴を鳴らして現れる。


 魔術士の外套を纏った白髪の女…。



「視覚えのある魔術だと思って来てみれば…やはり団長だったんですね」


「…リイン」



 いや誰だよ。

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