19.綺麗なお皿ですね
赤髪の少女視点です
「サリン・シャンカ・バルトルウス・センスですわ。よろしくお願いしますわね」
サリン様は美しいお辞儀をする。
「……あっ、私はナレっていいます。よろしくお願いします…」
綺麗な人だ…。同性の私でさえ心臓が少しどきっとしてしまう。そんなサリン様はこちらを見つめるとおもむろに口を開いた。
「ねぇ、ナレ。お腹は減って無いかしら?」
「あっ…その…はい」
突然すぎて少しビックリしたが実際お腹はぺこぺこだ、もう丸2日くらいは何も食べていない筈だから。
「ちょっと待っていて下さいまし」
「…はい」
サリン様はニッと微笑むと森の方へ行ってしまった。騎士様も手伝おうとしていたが、やんわりとお断りされていた。
ー〜ー〜ー
「わぁぁっ!凄いです!こんなにお肉が沢山………」
沢山の肉料理が出てきてビックリしたが、お父さんにも食べさせてあげたいと思ったら…少し悲しくなった。もう大好きなお父さんは居ないのだから。
「さ、食べても良くってよ。味見をしていないけれど大丈夫だと思いますわ」
「ありがとうございます…」
ソース?に浸されていてテカテカしている大きなお肉を一口食べてみる。
「あっ…美味しいです」
それからはもう一生懸命食べた。何故か涙が溢れそうになったが我慢して食べた。途中騎士様が「姫様は食べないのですか?」と聞いていたがサリン様は「私達は遠慮しておきますわよ」と言ってらっしゃった。私に気を使ってくれたのだろう。
「サリン様、騎士様ありがとうございます。お二人が助けてくれなければきっとのたれ死んでいたと思います」
最後の一口を食べ終えて感謝を述べる。
「気にせずとも良いですわ、それよりお皿を洗うのを手伝って頂けると助かりますわ」
そういえばこの綺麗なお皿は何処から持ってきたのだろう。
「も、もちろん手伝わせていただきます!むしろ全部やります!」
即座に手元の食器とお皿を手に取る。
「あら、それは良かったですわ。では私が水を出すので慎重に洗って下さいまし」
サリン様が指で輪を作ると、その中から水が出てきた。多分魔術だとおもう。そんな事より今は一生懸命お皿を洗わなくてはいけない。
「それにしても綺麗なお皿ですね」
「あら、ありがとう。それ私が作りましたの」
「えぇ…!?あ、あぁ…魔術ですか?」
ホント魔術ってなんでもあり…
「魔術では無くってよ」
「ぇぇ!?」
声にもならない叫び呻き声を上げた。流石お姫様って感じだ。