18.気持ちの整理は
赤髪の少女視点です
…暖かい
「…ぁ」
まだ…私生きてたんだ…
薄く目を開けると外は暗くなっていて今が夜だとわかる。そして私のすぐ隣で焚き火に木を焚べている人がいた。とても重そうな鎧を着込んでいる…騎士様だろうか?
「…あ…あの」
騎士様?に声をかけてみる
「…目を覚ましたみたいだな、何処か痛むか?」
「い、いえ…大丈夫…です」
本当は足の付け根が痛むが咄嗟に嘘を付いてしまった。
「そうか…もし良ければ何があったか聞きたい」
「……はい」
…嫌な事を思い出す。今回もいつも通りの仕事になるはずだった。
いつもと同じ護衛のおじさん達と同じ道を通り、同じ町に着く…筈だった。
でも…あいつ達は現れたんだ…おじさん達は何でこんな所にあいつがいるんだって驚いていたのを覚えている。
そして…あいつ達に…おじさん達もお父さんも…みんな…殺されてしまった。
お父さんは最後の1体と相打ちだった…ボロボロになりながらも決して私を見捨てなかった…。
騎士様に事情を説明しているうちにいつのまにか涙が溢れていた。他人にこんな情けない姿を見せるのは気がひけるが、今は許してほしい。
「そうか…そんな事が…辛かったろう。今は休んでいなさい、見張りは私がやっているから」
「うぅ…ひっうぅ…ありがとう…ございます」
この鎧の人を信用できるかは正直分からない。でも今は…そんな事を気にしている余裕が私には無かった。
ー〜ー〜ー
私が泣き止むまで騎士様は何も言わずに焚き火に木を焚べていた。あえて声をかけないようにしていてくれてたのだろう。気を遣わせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「…ごめんなさい。もう大丈夫です」
「気持ちの整理は出来たのか?」
いつまでも悲しみに溺れている暇はない。ここで歩みを止める訳にはいかない。私を守ってくれたお父さんの為にも、私は前に進みたい。
「はい…私はこんな所で絶望する訳にはいきませんから」
「そうか…これからどうしたい?私達はエルザスヘイムに向かっているが…一緒に来るか?」
「…私達?」
騎士様しか見当たらない…けど。
「あら…気がつきませんでしたの?」
「きゃぁ!?」
ビッッックリした…
「お疲れ様です。姫様」
騎士様は姫様と呼ばれた人物の前に跪いた。縦にロールされた美しい金髪に、海のように青い瞳を持つその人は白くて綺麗な歯を覗かせる微笑みを浮かべていた。
「……お姫…様ですか?」