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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第6章:命運
177/226

177.上手くやりましょう


「おっと警戒は無用だ。俺はサリン様を捕らえに来たわけじゃあない」


「…そう、ですか」



 無意識に手を掛けていた直剣から手を放す。


 俺も随分と薄情になっている様だ、まさか友人である筈の彼を前にして剣に手を掛けるとは。


 …色々な事があったからな、仕方が無いと言えば仕方が無い。



「という事は地上で騒ぎを起こしたのは貴方か」


「まぁな」


「一応彼らも騎士なのだがな…流石第三魔術士団の団長と言ったところか」



 ルード殿とカコルネルさんが会話をしているがルード殿の声に憎しみは感じられない、こちらも流石騎士と言った所なのだろう。


 これが一般人ならきっと怒り狂っているだろうからな。



「いや団長はもう辞任した」


「辞任したのか!?なぜ!?」


「んー…魔術士団の団長が仲間を殺しまくるとちょっと不都合あるだろ?」


「愚かな事を…」


「愚か、ねぇ」



 ルード殿に愚かと言われたカコルネルさんの表情は若干渋い物となる。


 というか辞任か…まぁ俺にとやかく言う権利は無い、俺もこんな身体になってしまったからには騎士を辞めようと思っても居たのだから。



「人間は敵が居ないと生きていけない生き物だ」


「そんな筈はない。王によって統制されれば人間は生きていける、だからまずは魔族との戦争を」


「今戦争が終わったら困るんだよ。…んでこれに気が付いてるのがそこにいらっしゃるサリン様って事だ」



 カコルネルさんはサリン様へ視線を送った後に続ける。



「戦争があるおかげで生きている奴は決して少なくない。戦争が終わってしまったら戦う事を生業としていた奴らはどうすればいい?俺達は…どうすればいい?戦うために生きて来た俺達は何処へ行く?戦争が終われば俺達は必要とされ無くなる…人の為に戦って終われば不要と捨てられる…それじゃあ憐れじゃないか…俺達が…」


「……私は…それでも王の為に……いや…少し考える」



 ルード殿は一人で階段を上がって行ってしまった。


 俺達三人だけになった階段の途中で少しの沈黙が流れる。


 戦争が終われば不要になる、か。


 そんなこと考えたことも無かった、だが少なくとも姫様が無事ならばそれでいいのかもしれない。


 どちらにしろ俺にはもうあまり時間は残されていないのだから。



「まぁそういう訳で加勢しますよ。サリン様」


「良くってよ」


「ありがたき幸せ」


「私としてもカコルネルさんが味方に付いてくれるのは心強いですね」



 カコルネルさんは拳を俺の前に出す。


 それに合わせて俺も拳を出して軽く突き合わせる。



「久々の共闘だなカロン」


「ええ、上手くやりましょう」

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