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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第6章:命運
175/226

175.おい備品はもっと大切にだな…



 先ほどの決闘のせいで重装鎧が焼けるように熱い。


 重装鎧は非常に頑強に作られている、それこそヘルエス様の魔力の全放出をまともにくらっても崩壊しない程の強度だ。


 とはいえどれだけ重装鎧が頑強であっても中身の人間が死んでしまえば意味はあまりない、そしてそれこそが重装騎士を倒す為の最善策だ。


 となれば恐らくルード殿も中身を殺すように動いて来るだろう、さもなければ中装騎士が重装騎士を倒す事なんてほぼ不可能なのだから。



「…まさか重装騎士と闘う機会があるなんてな」


「同じく…中装騎士と決闘するのは初めだ」



 大盾を前方に構えたままにらみ合う。


 焦ってはいけない、そもそも重装騎士は中装騎士10人分ともいわれているのだから冷静に考えて負ける可能性は薄い。


 だが相手は第一騎士団の騎士だ…可能性は薄いが無い訳じゃない。



「フゥー……ッ!」


「…!」



 ルード殿は鎧に魔力を込め、尋常ではない速度で刺突を繰り出す。



「…ッ」



 大盾で刺突をいなして直剣で足元を払うが、躱される。


 だが予想通りルード殿はその場で飛び跳ねる事によって足元への攻撃を躱している…つまりは今は刹那ながらも宙に浮いており隙だらけという訳だ…!



「はァッ!」



 大盾の縁を思い切りルード殿に叩き込む…が、手ごたえは無い。



「おっと」


「……流石第一騎士団」



 ルード殿は大盾の縁を咄嗟に蹴って跳躍し大幅に距離を取ったのだ。


 いくら大盾の縁といえどそこまでの厚みは無い、せいぜい拳一つ分くらいだろうに…それを足場にするなんて重装騎士の俺では思いつかない回避方法だ。


 とはいえコレで振り出しに戻った訳だ。



「カロン殿、コレはどういう事だ」


「…」


「重装騎士にしたって一撃が重過ぎる、君は本当に…人間なのか」



 ルード殿の中装鎧、その脚部が乾いた音を鳴らして少し砕ける。


 立ち姿も先ほどとは違い重心がずれている様に見える、もう左足はあまり使えない状態だろう。



「…わからない…な」


「ふむ…これでは勝ち目がないな」



 ルード殿は少し考えた後直剣を放り捨てる。



「降参だ、ここで死ぬ訳にはいかないのでな」


「なんと…それは…拍子抜けというか…」



 ルード殿はヤレヤレと言った様子で事情を話す。


 何というか所作に苦労人がにじみ出ている。



「サリン様をお連れするよりも重要な任務があるのだ、見逃してくれ」


「それは…まぁ構わないが。姫様の事は…」


「案ずるな、それは上手く誤魔化す。そもそも三姉妹のお一人だぞ?俺だって無事でいて欲しいと今でも思って居る」



 ルード殿がそう発した瞬間にここから真上、つまりは地上から凄まじい爆発音が鳴り響いた。


 咄嗟に姫様を抱きしめていつでも守れるように構える。



「失礼いたします」


「んうっ!?」


「…今度はなんだ?」



 そのまま姫様を抱え上げて大扉を蹴り破る。


 俺に蹴られた大扉は歪な音を立てて奥の壁に衝突する。



「おい備品はもっと大切にだな…いや、今はそれどころでは無いか」


 

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