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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第6章:命運
169/226

169.今面白い所ありました……??

閲覧ブクマ評価ありがとうございます!

PCイかれて焦りましたが何とか投稿出来て良かったです。

まぁ最悪PC買いなおしてでも投稿は続けるんですけどね!!



「あの~…」


「なんだね?」



 魔動車に腰かける騎士に話しかけると騎士は感情をあまり感じさせない口調で返事する。



「サリン様を探しに行かなくていいんですか」


「あぁ…まぁ問題あるまい」



 ドルティは騎士ジルニスと共にカロンが投擲した魔動車を引き抜いた後、その場から動かずに彼らの帰りを待っていた。


 探しに行くふりをしていただけでジルニスは実際探しになど行っていなかった。


 そして今は…ついさっきまで戦闘していた相手と突然仲良くなんて出来るはずも無く、何とも気まずい時間を過ごしていた。



「…というと?」


「彼が見つけるだろう」



 ジルニスはそう答える。


 特に考える様な素振りも見せずにあまりにも自信ありげにそういうので若干そういうもんなのか、と納得してしまいそうになるドルティだが、何とか流されずに会話を続ける。



「見つけても戻って来るとは限りませんよ?」


「戻って来るだろうよ、彼は騎士なのだから」



 論理的でない様にしか思えない返答をするジルニスに若干困惑しつつもドルティは会話を続ける。



「はあ…そうですか、何というか根拠は無いんですね」


「ん?騎士だから。それ以上の確定要素なんて無いだろう」


「あの、失礼を承知で聞きますが騎士だから何なんですか?」



 その質問に憤慨して剣を抜いたりしないかというドルティの懸念は幸いあっさり無意味と化した。



「ククク…正直な奴だな。ならば騎士としてその質問に答えよう」


「お願いします」



 ジルニスは人差し指を立てて話す。



「騎士にとって王の命令は絶対だ。王が見つけろと言えば必ず見つける」


「…」


「騎士が命令を違える事は決して無い。そして"騎士は総じて万能であり非常に強い"」



 ジルニスの言動は噓を感じさせない。


 それが当たり前であり自身の考えが間違っているとは毛ほども思っていないのが伝わって来る。



「これが答えだ。多答では無い」


「…成程」


「来るぞ」



 ドルティは先ほど大きな音がしていた森の方を見る。


 すると少ししてから森の中から三人を抱えたカロンの姿と見知らぬ二人組が歩いてきた、やっぱりさっきの音は彼らだったのかと若干引いたのをドルティは胸に秘めておいた。



「本当に来たし…」


「クク…いい事を教えてやろう」



 ジルニスは立ち上がる。



「騎士は感も鋭い」


「そ、そう…みたいですね」



////////////////////////////////////




「ジルニス殿、大変お待たせいたしました」


「カロン殿もサリン様も無事で何よりだ。後ろの二人は?…見たところ第四騎士団の者のようだが…」



 ジルニス殿はケーヴとオルシャを見てそう尋ねる。


 まぁ襲われたとはいえ同じ騎士団なのだ、ある程度角が立たない説明をしてやろう。



「こちらは第四騎士団のオルシャとケーヴ。先ほど攫い森で襲撃を受けました、一応メチル様の命という事ですが…真偽が定かでは無かったので抵抗し、無力化した次第です」


「成程…ちなみにどのような命令で?」



 ケーヴはジルニスにそう尋ねられて答える。


 何とも微妙な表情だ。



「一応…サリン様を生死問わず連れてこいって命じられたねぇ」


「は?生死問わず?む、それは…何というか…本当…なのか?」



 ジルニス殿は若干驚きを隠せていない様子だ。


 その気持ちは痛い程分かる、俺だって初めて聞いたときは耳を疑ったのだから。



「正直…私も未だに信じられません。なぜその様なご決断を…」


「むしろこの者達が何かよからぬことを考えているとしか思えないな…」



 俺たちの訝しむ目線を感じたのかオルシャは冷や汗を額に浮かべながら必死に反論する。



「違う…!私達…噓は言っていないっ…!王に誓って!」


「ああ、いや。すまんすまん、本当に疑っている訳では無い、騎士ジョークだ」


「ははは」


「…っ!笑え、無い…!」



 ジルニス殿に完全に同意だ、俺も彼女たちが嘘をついているとは思って居ない。


 そもそも騎士間で嘘を言うのは禁じられているのだしな。


 …オルシャは具合が悪いのか?顔色が悪いが…まぁ普通ならこんな必笑間違い無しのジョークを聞いて笑わない筈が無いものな。



「うっわ…」


「笑ってるのアンタらだけだぞ…」


「あぁ…その笑えない冗談は古参騎士特有なんだぁ~…」



 女性陣から冷たい目線を浴びせられるジルニス殿。


 なぜだ!?子気味良いジョークじゃないか!センスあるだろう!?



「おかしい…ガエリオン支部の皆には絶賛だったのだが…」


「最近の騎士は練度も落ちているようですし一般人同様感性が鈍いのでは?」


「なるほど…納得だな、はぁ…」


「うわ失ッッッ礼だなぁこの人達ぃ~!」


「諦めろォ、騎士ッてのはドイツもコイツもこんなモンだ」



 ふと気になり姫様をちらりと見ると何やら手で顔を半分程お隠しになりながら小さく微笑まれていらっしゃる。



「うそですよね…サリン様…今面白い所ありました……??」


「ふふ、ごめなさい。最近カロンが笑っているのを見てるとわたくしまで何故か笑ってしまうようになってしまって…」


「あ"っ"…!がわ"い"い"!!!」



 背中で暴れるのは止めてくれスタン…背嚢が落ちるから。


 そうこうしている内に遠くから騎士では無いが胸元にガエリオン大沼地支部の紋章を付けた兵士がこちらへ走って来るのが見える。



「速報ーーーッ!!ジルニスさーん!!速報だーーーッ!!」


「む、彼はウチ(支部)の者だ。警戒は要らんよ」



 彼が目の前まで走ってたどり着くと乱れた息を整えて手元の書類を読み上げる。



「読み上げます!"騎士各員!サリン・シャンカ・バルトルウス・センス様の捜索は取り消し!!」


「何っ!?今更取り消しだってのかい!?」



 ケーヴが声を荒げるが無視して彼は読み上げる。



「続けて!緊急事態につき任務中の騎士は王国へ招集せよ!」


「…」



 誰もが彼の言葉の続きに耳を傾ける。




「"停戦条約が…破棄されましたッッ!!"」


「なッ…!?」



 血の気が引くような感覚に襲われるが、それもすぐに安心へと変わる。


 腕の中にいる可憐な少女の一言によって。





「わたくしの勝ちですわ…お姉さま」



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