161.自然を破壊
閲覧ありがとうございます。
うまぴょいしてました…ごめんなさい…。
沼地を越えて鬱蒼とした森を歩く。
確信は無いがもし姫様がお隠れになるとしたら…こういった視界の悪い森の中だろうと思っての行動だ、暗くなる前に見つけられると良いのだが…心配だ。
辺りを見渡しながら歩いていると、一緒に探しに来ていたジオネに声を掛けられる。
「随分暗れェな」
「ガエリオン森林は別名"攫い森"とも呼ばれているからな」
「詳しィな」
「騎士だからな…」
攫い森、この森に来た者がまるで攫われたかのように姿を消すことからそう呼ばれている。
実際に来たのは初めてだが確かに薄暗く何者かに攫われてしまいそうな不気味さがある…まぁ俺は騎士なので迷う事はないのだが。
それに一般人の行方不明者は多いものの騎士や元騎士の遭難事故は全く無い、この程度の森で迷うなど騎士にはあり得ない事なのだ。
「恐らく姫様も迷う事は無いだろうが…心配だ」
「…サリン様ならァ最悪森を焼き払ってでも帰ってきそうだしなァ…」
「はは、ならば姫様の御手を煩わせる前に見つけなければな」
ジオネの軽口で少し心の余裕が出来た…気がする、ありがたい事だ。
彼女にはいつも励まされてばかりだな。
「普通は自然を破壊される前に、だろうがァよォ」
ジオネとそんなやり取りをしている時。
「…」
以外にも、先に見つけられたのは。
「…カロン?」
俺の方だった。
「…姫、様」
「カロンっ!」
なぜか木の上に居た姫様は勢い良く俺に飛び込んで来られた。
すかさず姫様が身体を痛められぬようにそっと抱き留める。
「…遅れて申し訳ございません」
「…」
姫様は何もおっしゃらずに俺を抱きしめられている。
隣でその様子をじっと見ているジオネの視線が少し気恥ずかしいが…姫様がそうなされたいのであれば俺がどうこうする事は無い。
「絶対に許しませんわ」
「申し訳ございません」
暫し抱きあう。
これで姫様の気が晴れるのであればお安い御用だ。
「…どうすれば、許して頂けますか?」
「…二度と」
「はい」
姫様の声にはほんの少し、ほんの少しだけ、俺にしか分からないくらいの涙声が混じっている。
「わたくしから…離れないで下さいまし」
「承知いたしました」