155.おわおわおわおわおわおわおわ
投稿が遅れて申し訳ありません。
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「少し話がありますの」
サリン様がそう言ってから騎士君と車を出てから、ワタシとドルティは車の中でぼーっとしながら待っていた。
そして沈黙に耐えかねたワタシはとりあえずドルティに話しかける事にした。
「サリン様なんの話してるんだろうねぇ~」
「さぁ?サリン様の考えてることなんかわかんねぇよ」
「そ、そうだねぇ…」
「…」
…あ、ヤバイ…話が続かない…すんごい気まずいなぁ。
なにか話のタネになりそうなこと…なりそうなこと…あ…そういえばドルティはサリン様となにやら顔見知りっぽい様子だったなぁ、ちょっと聞いてみる事にしよう。
「そういえばぁ…さ、ドルティはサリン様とお知り合いなんだっけ…?」
「あぁん?言ってなかったっけ?これでも一応私は昔貴族だったんだよ」
はぁ!?ドルティが!?うそこけ!!!
…いやまてよぉう…だとしたらサリン様と昔会ってたとしても可笑しくないよねぇ。
「へ、へぇ…そうなんだ…」
「あぁ、昔のサリン様は…」
「へぇ!?聞きたい!!聞きたい!!!」
「うわでっけぇ声」
幼少期のサリン様!?そんなのサリン様推しのワタシが聞かないわけには行かないよね!?
ワタシの知ってるサリン様は、まだワタシが王国勤めだった頃からだから…その前どんな様子だったんだろうねぇ!?
「まぁいい、幼い頃のサリン様はなぁ…こう…なんていえばいいんだ」
「うんうん!」
「う~ん…あ、そういえばパーティーに参加した時な、つまらな過ぎて王城を探検しようと思って適当にぶらついてたんだけどよ」
「え、えぇ…」
「そしたら入ったことの無い部屋があるのを思い出してな、その部屋に行って扉を開けたんだ」
ドルティは少し得意げに話を続けている。
いいなぁ私も一目でいいから幼いサリン様を見てみたかったなぁ。
「そしたらよ、真っ暗な部屋の真ん中で椅子に座ったサリン様がこっちを凝視してたんだよ」
「えぇ!?かわいい…」
「いや、怖かったんだぞ!?真っ暗な部屋で…本当に初めは人形かと思ったし」
椅子にちょこんと座った幼いサリン様を想像すると…あああああああああ!!がわ゛い゛い゛!!
「それは…超いいね…」
「…は?」
そんなこんなで話していると外にサリン様を抱き上げてる騎士君がこちらに歩いてくるのが見える。
ああっ!!!抱っこされてるサリン様…!やっぱりかわいい…!!
ガチャ
騎士君は車のドアを器用に開ける。
「カロン!話を聞いてくださいまし!カロン!」
何やらサリン様の様子がおかしい、だけど騎士君はそれを気にしない様子でサリン様を後部座席へそっと降ろした。
「え、ええぇ~!?何!?何があったの!?」
「おいカロン、どうしたんだ!?」
そして騎士君は私に問う。
「運転はできますね?」
その言葉を聞いて察した、きっと騎士君は私に運転しろと、そう言っているのだろう。
私は急いで助手席から運転席に移動して事情を聴く。
「で、できる!できるけどぉ~…なにがどうなって
「では姫様を任せます」
騎士君は開いていたドアに防護魔術を行使した。
「ちょっっっとまって!!??騎士君!?!?!?」
「お前何する気だ!?」
「カロン待ってくださいまし、カロン!」
騎士君はそのまま車のドアを閉じてしまった。
ワタシやドルティはともかくサリン様を無視してドアを閉めるってことはきっとさっきの防護魔術のせいで声はまともに届いていないんだろうなぁ。
そしてそのまま騎士君は先ほどまでドア部に行使していた防護魔術を霧散させ、新たにこの車自体に防護魔術を行使したみたいだ、外の音が全く聞こえなくなったのがその証拠だしね。
「くそ!!ドアが開かねぇ!!あいつ何してんだ!?」
「カロン…駄目ですわ…」
「あれ?というかワタシに運転させる気なら何で防護魔術を車の全体に行使したんだろぉ…」
防護魔術に囲われているとワタシが運転したところでこの車が前に進むことは無い…
「おわっ!?!持ち上げやがった!!」
「…」
「あっ…そういう事かぁ~!」
多分騎士君は車を防護魔術で囲ってから何らかの手段でこの車を移動させるつもりなんだぁ!確かにそれならサリン様も安全に…ん?目線が高い…。
「え、え、え、ちょっと。まさかまさかまさか!!!??」
その瞬間、すさまじい勢いで車が投飛ばされた。
みるみるうちに変わりゆく景色と浮遊感すら感じない速度。
「きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!?!?」
「うっ…!カロン…!」
「おわおわおわおわおわおわおわおわおわッ!?!?!」
バックミラーで後ろを確認するとサリン様に抱き着いているドルティとさっきまで居た街を見続けているサリン様。
ずるいー…いやそんな事よりこれ無事に着地出来るん!?!?着地の衝撃で死なない!?
「ああああああああああああああ!?!?」
「…」
「おわおわおわおわおわおわおわ!!」
「あああああああ」
「…」
「おわおわおわ」
「あああ…」
「…」
「おわっ…」
「…けっこう飛ぶなぁ」
「…」
「まだ上昇してるねぇ…」
ワタシ達が乗っている車はまだ斜め上に飛んでいた。
ついで丁度今すごく下の方に街が見えたりした…これ何処まで行くんだろうねぇ。
「一体なにがしたかったんだあいつ?」
「…」
「さぁ…?でもそうとうヤバイ事でもあったんだろうね…」
そしてふとラマルラの方角を見た瞬間、そのラマルラを中心に凄まじい光がぶちまけられた。
「今度はなんだぁ!?!?」
「うっわぁ…」
光だけでなく爆発でも起きたのか、雲が一瞬でラマルラ上空から消え去っていくのが見えた。
もしワタシ達が少しでも遅れて居たら…きっと死んでたなぁ。
「あいつ私達を逃がすために…流石にあんな場所にいたらあいつも…」
「どうせ大丈夫でしょ~、それよりワタシ達が無事に着地できるかどうかぁ」
「お前信用してるのか薄情なのかわかんないときあるよな…」
少しづつ車は降下し始めてるし…でもまぁほとんど直進してるしまだまだ地上に着くのは先になりそうだなぁ~…正直騎士君の防護魔術を破って飛行魔術を行使しようとか思ってたけど、この中で騎士君の防護魔術を破れそうな人はサリン様含めて居ないしぃ。
もう騎士君を信じて湖とかに着水するのを願うしかないよねぇ。
「はぁん…死にませんようにぃ…」
「まぁあいつがサリン様をそんな危険に晒す訳ないし何とかなるんだろうよ」
もはや何もすることが出来ないし諦めてこの景色を楽しむことにしよっかなぁ。