15.危険では無くって?
「まぁ!料理の経験がありましたのね」
「はい。今回のは…見様見真似でしたが」
…調理を終えてからすぐに姫様を呼んで来て今に至る。
「どの食材も毒は入っていませんよ、安心して召し上がって下さい」
「毒の解析魔術が使えますの?」
姫様は何処からかナフキンを用意して膝にかけている。
「いいえ。調理する際に全て毒味しました」
「…危険ではなくって?」
真っ直ぐとこちらを見つめながら問い詰められるが。こちらに向けられている底の見えない海の様な深い瞳に黄金の長い睫毛が美し過ぎて全く緊張感を持てない。
「…状態異常を治す魔術なら使えますので」
「一口で致死量だったら死にますわよ」
姫様の表情は変わらない。
「しかし…毒がないか確かめない事には姫様には出せません」
「確かにわたくしが死ぬ訳にも行きませんわ。でもねカロン。貴方が死んで良いと言う訳でもありませんのよ」
「…姫様」
「次から毒味は別の方法を試してみましょう?」
姫様はニッと微笑む。
「…かしこまりました」
ー〜ー〜ー
その後姫様と共に朝食を取った。…まさか姫様と2人きりで食事する事になるとは…人生わからないものだと思う。
「見た目だけではなく味も良かったですわ。美味しい料理をありがとう、カロン」
姫様のペースに合わせて食事を終え、神に感謝を捧げていたところ姫様に話しかけられる
「姫様に喜んでいただけたようで何よりでございます」
「カロンは料理が上手ですのね」
姫様はナフキンの裏で口を拭うと拭ったナフキンを魔術で燃やした。
「お褒めに預かり光栄です」
「さぁて、お腹も一杯になりましたし。沢山歩きますわよ」
…忘れてた。これから歩くのか…
使った食器を洗いながらこれからどうするかをしばらく考える事にした。