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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第5章:死の縁
146/226

146.よい旅を!


 姫様がお気に召した服を何着か購入した後、早々に商店街を抜けた俺たちと姫様は大型飛行艇に搭乗する為に魔動車で移動していた。



「いんやぁ~最近の流行ってすごいんだねぇ~」



 相当研究所に籠っていたのだろう、出なければ俺でも知っているような物を知らない筈が無いのだから。


 それにしても研究者というのはもっと新しい情報に詳しいものでは無いのだろうか?…いや、あの様子を思い出すに俺の思い込みだったのかもしれないな。



「なぁ」


「どうした」



 そんなことを考えているとドルティに話しかけられた。



「今更なんだが、今回のフライトで何処まで行くんだ?」


「マガラナだ。聞いた事はあるだろう?」



 マガラナは王国に近く人通りの多い街だ、勿論人間だけでなく他の種族も多く暮らしている。



「って事は大体2日ぐらいかかるのか」


「いや、明日には着くだろう」


「へぇーそんなもんなのか」



 天候が悪かったり、モンスターに襲われれば2日程掛かるときもあるが、基本的にその可能性がある場合はそもそも大型飛行艇のフライトは延期される為2日掛かることはほぼ無い。


 しばらく走っていると、大型飛行艇に魔動車を乗せる場合に通るゲートが見えてくる。


 そのまま進みゲートを潜るとその先に受付が立っている、看板を読む限りここで搭乗券に印をつけてもらわなければならないようだ。



「4人と1台です」



 魔動車の窓を開けて搭乗券を受付に渡す。



「おおっ騎士様!搭乗券を確認致します!」



 受付が搭乗券に魔術を行使したのが分かる。


 勿論怪しい行動では無く、正式に搭乗したという印を搭乗券に刻んだだけである。



「これで大丈夫です!それでは騎士様よい旅を!」


「ありがとう」



 受付から搭乗券を受け取り、一応自分でも受付と同じ魔術を行使して、間違いが無いかを確認する。


 本来専門職の者くらいしか行使することの無い魔術ではあるが、騎士である俺は一応専門職のような物なのでこの魔術を行使できるのだ……正直に言うとただ単に騎士は万能でなければならない為、必死に覚えただけである。



「それでは行きましょう」



 魔動車で道を案内通りに進んでいくと、大型飛行艇の前に到着する。


 大型飛行艇には魔動車を何台も空輸できるスペースがあるため、意外と空の旅は快適だったりする。


///////////////////////////////////



 魔動車を預けて船内へ皆で入った後、目的地到着まで各々自由行動という事になり俺は姫様の傍に控えることにしていた。


 まぁ自由行動と言っても飛行艇の中ではやれることは限られているし、それに俺自身が姫様をお一人にしたくない、であれば俺が姫様の傍に控える…うむ簡単な話だ。



「姫様、お飲み物は如何ですか?」


「ありがとう。頂きますわ」



 姫様がお飲み物を御飲みになられる事を予測して予め温めておいたポットに茶葉を適量入れる。


 そこに沸騰した湯を注ぐ、そして蓋を閉めて良く蒸らす。


 今回使用している茶葉は細かい物なので大体2分半程度待てばいいだろう。



「カロン」


「如何なさいましたか」



 浮き沈みする茶葉を眺めていると姫様に声をお掛け頂いた。



「もし…良かったら貴方も一緒にお茶を…いかがかしら」


「はい、喜んでお供させて頂きます」



 姫様の紅茶が蒸らし終わるのを待つ間に自分の分も用意する。


 丁度自分の紅茶に湯を注ぐタイミングで2分半経ったので先に姫様の良く蒸らした物をスプーンでひと混ぜし、茶漉しで茶殻を漉しながら注ぐ。


 そして自分の物より先に姫様に紅茶をお出しする、ちなみに保温の魔術は行使してあるので冷める心配はない。 


 その後少し遅れて自分の分をいれた俺は機長のアナウンスと共に離陸する飛空艇の中で姫様とひと時の安息を味わった。


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