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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第5章:死の縁
144/226

144.さしゅがだね



「姫様、そろそろ約束の時間になりますので合流地点に向かいましょう」


「あら…もうそんな時間ですの?」



 若干姫様の表情が残念そうだったが約束は約束なので向かうしか無い。


 まぁ…姫様が向かわないと仰るのならば向かわないのだが。



「ではよろしくお願いしますわ」


「はい」



 俺は魔動車に魔力を流し込んだ。



//////////////////////////////////////




「おお~きたきたぁ~!」


「やめろはしゃぐな恥ずかしい」



 街の中心部にある大きな噴水前に車で行くと、まだ5分前なのにも関わらず二人とも居た。


 街の中心部であるだけあって人が多いのだが、スタンの青髪は良く目立つのですぐに見つけられたのだ。


 彼らの前に車を停止させて彼らを乗せる。



「駐車場は見つけておいたからな」


「助かる」



 段々と分かってきた事だが案外ドルティは慎重派なようだ、自分だけだとミスがあるかもしれないのでこういう人間が居ると助かる。



「そういえば搭乗券は買えたぁ~?」


「はい。しっかりと人数分購入してきましたよ」


「さしゅがだね」



 …綺麗に噛んだな…可哀想だから何も言わないでおこう。



「お前今噛んだだろ」


「…かんでないよぉ」



 うむ、普通にドルティが追及したな。


 こいつはもしかすると加虐心の塊なのかも言知れない、まぁ若干スタンはつつけばつつくほど面白い奴なのでそうしたくなる気持ちもわからなくは無いんだが。



「なんで嘘つくんだ」


「うぅ…いいじゃん噛んでもぉ~」


「噛んだことは別にいい。でも嘘をつくのは駄目だぞお前」



 段々とスタンの表情が暗くなっている。


 そろそろ助け舟を出す頃合か?



「お前サリン様にもそうやって噓つくのか」


「なっ!それはしないよぉー!」


「じゃあなんで仲間には嘘つくんだ」


「そっそれはぁ~…」



 ドルティが声音を強めるとスタンの声音が弱まっていく、まるで天秤のようだな。


 そろそろ助け舟をだそう。



「まぁそれくらいにしておいてやれ」


「でもお前もコイツに噓をつかれているかも知れないんだぞ」


「む、たしかにそうだな…」



 すまないスタン、面白そうだからつい乗ってしまった。



「ちょ、ちょっとぉ!騎士君に噓ついたりなんてしないよぉー!」



 助手席であたふたしながら否定しているスタンは大変顔色が悪く、何というか恐怖しているように見える。



「ぶっ…ダハハッハハハ!!おま、おまえダハハハ!!もうだめだこらえられねぇ!」



 ドルティが大爆笑するのを見てスタンが何とも言えない表情になっている。


 こっそり姫様の方を見ると口元を隠しておられるものの、少し笑っておられるようだった。



/////////////////////////////////



「人がすごいですね」



 車を駐車場に止めて商店街まで歩いてくると、ものすごい人の量に圧倒される。


 様々な店や旨そうな匂いがここまでの人間を集めているのだろうか。



「こちらへどうぞ」


「ええ」



 大盾を腕に装着して、姫様に盾の内側へ来ていただく。


 こうしていればいつでも守りやすいので安心だ。


 ちなみに反対側の腕はスタンとドルティにつかまれている。


 まぁこんな事をしなくとも俺が歩くと自然と人々が道を開けてくれるのだが…その代償としてサインや握手を無限にすることになる。



「服屋を探しましょう、きっといい服が見つかりますよ」


「そういえば騎士君は何か必要な物ないのぉ~?」



 さっきまでの表情が嘘のように楽しそうな顔をしたスタンがそう尋ねてくる。


 そういえば装備を手入れするにも魔術をつかっているし、基本的には全て魔術でなんとかなるのであまり道具を必要としないな…まぁこれは俺が騎士だからこそなのだが。


 本来であればもっと生活必需品というものはある、ただ単に騎士という存在が万能すぎるだけなのだ。


 必要に応じてその場で魔術を構成することもあれば、生活必需品そのものを魔術によって生成することもある。



「そうですね…趣向品程度でしょうか。基本的な生活必需品は騎士にとってあまり必需品…と呼べる程のものではありませんので」


「騎士すごぉ…って趣向品っていうと煙草とかぁ~?」



 煙草か…いいかもしれないな、前に持ってきたものは随分と前に切らしてしまったから最近は吸えてなかった。


 

「そうですね…最近はあまり吸っていなかったので買ってみようと思います」



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