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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第5章:死の縁
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137.まんまと掛かってくれたのか



 洞窟から訪れるであろう足音の主を殺すため、入口付近の地面に爆破魔術を仕掛けて身を隠す。



「何人だ…3人はいると思うが…」



 いつでも魔術を行使できるようにして待ち続ける。



……


………



「なんだこれッ!?死んでるぞ!!」



「死ね」



 爆破魔術を行使するのと同時に凄まじい爆発が巻き起こり、聞こえていた声はそれ以降何も聞こえなくなった。


 人間が爆散した事により血やら何やらが周辺にまき散らされてしまったがここは街中でも無いので気にすることは無いだろう。


 …こうもバラバラだと何人殺したのかわからないのが少し悔やまれるが、人間相手に手加減して生き残れるなんて甘い事は言ってられないので仕方がない。



「…」



 というか急がなければならない。


 ジオネの身が心配だ、何をされるかわかったもんじゃない。


 もう一度索敵魔術を行使して内部の様子を探る。


 …こちらに向かってきている反応が2…か、爆破の瞬間を見られていなければもう一度同じ手が仕えるかもしれない。


 急いでもう一度洞窟の入口付近に爆破魔術を仕掛ける。


 その際に洞窟の中を少し覗いてみたが、どうやら洞窟の入口から少し中の方に入るとドアがあるようだ。


 これならばきっと先ほどの魔術は目視されていないだろう。


 まぁ普通に感づかれる可能性もあるが。



「……」



 足音が聞こえてきた。


 このまま気づかれずに出てきてくれれば楽だな。




……


………



「どうなってんだ!?…!?やべぇ!逃げ」



 爆破魔術を行使する。


 またしてもすさまじい爆発音が聞こえ、その後物音ひとつしなくなる。



「まんまと掛かってくれたのか、運がいいな」



 念のため索敵魔術を行使する。


 …どうやらしっかりと絶命してくれたようだ。


 だが、洞窟の内部にある魔力反応は流石に異常だと気が付いたのか入口の方へやってくる気配はない。


 恐らくこれ以上ここで待っていても効果は薄いだろう。



「気を引き締めなければな……ッおっと」



 危うく転びそうになった、もしかすると俺にはもうあまり時間が残されていないのかもしれない。


 これ以上血を流すのは危険だな。


 …いや、今は自分の事を心配している場合ではない。


 ジオネを助けに行かなければ。



//////////////////////////////////




「オイイイイッ!!!むし、虫がいるってえええ!!うわうわうわうわ!!きもちわりぃいい!」


 洞窟内に侵入し、殺せるやつを殺しながら進んでいるとジオネの声が聞こえきた。


 良かった…まだ無事の様だ。


 索敵魔術を行使して部屋の中にジオネ以外の人間が居るか確認する。



 …反応は…3人!?流石にジオネを守りながら2人を殺すのは厳しいだろう。


 …どうするべきだ。


 くそ…俺が防護魔術を覚えていればまだ可能性はあっただろう。



「オイ…やめろ!まさかお前ッ…!い、イヤ…」



 少しどうするべきか考えていると、ジオネの泣きそうな声が聞こえてくる。


 こんなことをしている場合ではない、もう突撃だ。



「ジオネ!」



 ドアに体当たりして部屋の中に飛び込むと、そこには…



「ギィヤアアアアアアア!!!!」



 ぐるぐる巻きにされた見知らぬ女性2人と、おでこに虫を乗せて絶叫しているジオネだった。



//////////////////////////////////



 ジオネのおでこから虫を取って3人の縄を切って外す。



「ありがとうよ…カロン…」



 ジオネは珍しくしおらしくなっており、心なしかいつもより口調が優しい。



「無事でよかった…いや無事なのか?なにもされてないか?」



「アアァ、無事だよ。というかお前こそ大丈夫なのかよ…」



 ジオネは俺の傷を撫でながら心配そうにしている。


 こういう時は心配をかけないようにしろ、と父上から習っているのでそうする。



「ああ、問題ない。…そこの君たちは?」



 二人のうち、緑色の髪の女性が口を開く。



「私たちも問題ないです。あと一日遅かったら心臓を食べられるところでしたが」



「心臓を…?何故そんなことを…?いや、そんな事より早く逃げ出さなければ…歩けますか?」



 ジオネは意外とピンピンしている様子で、首をコキコキ鳴らしながら準備運動をしているので大丈夫だろうが…。



「…頑張って歩きます」



 先ほど話した女性とは別の、青髪の女性が返事をして立ち上がった。


 最悪歩けなければ俺が背負っていくのだが、そうすると大変動きにくくなってしまうので自分で歩いてくれるというのならそれが一番良い。



「ではもう行きましょう、ここに長居する必要はありません」


「オイオイ…もういっちまうのかぁ?」



 !?いつの間にか部屋の入口に男が立っている、クソ…索敵魔術をもっと頻繁に行使するべきだった。



「っ!…貴様だけは許しはしないっ!」



 俺が動く前に緑髪の女性が男に飛び掛かった。


 そして…



「…!?」



 すれ違いざまに、なびく緑髪のすき間から通常より"長い"耳が見えた。






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