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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第5章:死の縁
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136.ぶち殺すぞオラァァァ!!



「クッ…はぁ…はぁ…どこいった…!」



 俺はあきらめずにジオネを攫った馬車を追いかけていたが、森に入ったところでだいぶ距離を離されてしまい見失ってしまった。


 もちろん馬車の跡を見つけられないほど阿保ではないのだが…



「普通、馬車を乗り捨ててまで逃げるか…?」



 …いやまぁ、人さらいの普通なんて知ったこっちゃないのだが…馬車はそこそこいい値段しただろうに。


 とにかく今はそれどころではない、周辺に索敵魔術を無差別に行使してジオネを探す。



「…」



 引っかからないか…だがまだ遠くへは行っていない…筈だ。


 索敵魔術を行使しつつ森を探すしかない。



「…無事でいてくれよ!」



 走る。


 走って魔術を行使する。


 集中できない為、索敵という魔術構成を崩さないようにするのが精一杯で正確な位置はわからないが、少しでも反応があればそれだけでも大きなヒントになる。


 もちろん野生動物に魔術が引っかかる可能性はあるのだが、それであれば一度立ち止まって再度行使すればよいだけなのでとにかく今は走る。



「はぁっ、はぁっ…あれは違う、コレも違うな」



 ウサギや鹿ならばいいものの熊とかは少し厄介なのでやめてほしい。


 そういえば野生動物も魔力を纏っているが魔術は行使できるのだろうか?やはり調教すれば行使できたりするのだろうか?


…いやいや!今はそれどころじゃないな。



「…!なんだこの反応はっ!?」



 10…いや15、17くらいはあるか?野生動物がこんなに群れる事があるのだろうか?鳥類ならありえそうだが、そこそこの魔力量がある。


 反応があった場所へ走って向かうと、遠目に洞窟が見えた。



「…そうか、あそこがあいつらの拠点か」



 入り口には2人の男が立っている、そして二人とも武器を装備しているようだ。


 …だがまだ中にジオネが居るとは限らない、聞いたことは無いが冒険者達の仮拠点なのかもしれないしな。



「触んな!!ぶち殺すぞオラァァァ!!」



 ……どうやらジオネはここにいるらしい。


 よく得体のしれない人間にそんな暴言吐けるな…感心するよ。



「よし…いくか!」



 さっさと決意を固める。


 人ならさっき殺したし、1人も16人程も変わらず同じ殺人だ。


 一々迷っていてはどうしようもない事はあるものだ、さぁ行ってみよう。



「フッ…!」



 洞窟へと走る勢いそのままに二人の男に魔術を行使する。


 炎の魔術だ、あのしょぼい木製の盾ならば防げたとしても爆炎で視界を若干奪えるだろうしな。



「おい!あいつこっちに魔術撃ってきやがったぞ!構えろ!」



 炎の魔術が左の男の盾に直撃し、爆発する。


 爆発と同時に巻き起こった黒煙は範囲こそあまり広くないが人間一人分はあっさり覆い隠した。



「すまないっ!死んでくれ!」



 黒煙で見えないが、恐らく胴体を狙えば盾で防がれる為足を狙う。



「ぐぁっ!?」



 上手く足に斬撃を加えられた。


 勿論切断なんて強化魔術無しには出来ないが、体制を崩せればそれで十分だ。


 丁度風で黒煙が薄くなり、目の前で崩れ落ちる男が見える。


 すかさず強化魔術を行使して首を切断する。



「!?てめぇぇ!よくも!!」



 もう一人の男が薄くなった黒煙から首のない死体を見て、こちらに斧を振るってきた。


 避けられない。



「がっ…!」



 とっさに直剣で受けるが、斧の構造上飛び出た刃が俺の脇腹を浅く切り裂いた。


 そしてそのまま斧を掴んで男を思いっきり蹴った。



「おっと…!へへ、力が入ってねぇぜ?」



 俺に蹴られた男は斧を手放して2、3歩後退する。



「これはお返しする!」



 身体強化魔術を行使して本気で斧を男に投擲する。


 投擲した斧は男の盾を真っ二つに叩き割ってそのまま男の顔面に…



「おっと…!あっぶねぇ」



 当たらなかった。


 まぁ、そうだな…こいつも身体強化魔術くらい使うよな。


 だがもう武器も盾もない、さっさと殺そう。



「おわっ!クソ!」



 男を何度も切りつけるが、全て躱される。


 …出来るまでやれ、これは父上のお言葉だ…まさかここで役に立つとは。



「おい!まて!くっ…!」



 男の言葉を無視して切りつけ続ける。


 いつの間にか男は大きな岩まで追い詰められており、これ以上は後退できなくなっていた。



「ぐぁ…!くっそ!まてって!」



 ついに男の左足に斬撃が当たった。


 それを皮切りにだんだんと男の動きは悪くなり、男の傷は増えていった。



「はあぁっ…はああぁっ…!ッ!!ああああ!」



 ついに男の右腕を切り飛ばした。


 やっとまともに当たったか…やはり父上の教えは正しかったな。


 次に直剣を振るうと右足を切り落とせた。


 やっと2人目…いや3人目か、さっさと次へ行かなければならない為地面に倒れた男の首に直剣を振り下ろす。



「うわあぁッ!」



 男は身体を上手く翻してまたしても斬撃を避けた。


 そして大量に血を流しながら地面を這いつくばって逃げようとしている。


 うん…首とか狙うから避けられるんだな、当たりやすい胴体を狙った方が良かったか。



「よっ…と!」



 這いつくばる男の背中を切りつける。


 今回は避けらなかったようでしっかりと背中を切りつけることに成功した。


 よし、この調子だ。



/////////////////////////////////////////////////////



「よし…次だ!」



 ズタズタになって骨どころか背中から内臓が見えている死体を放置して洞窟へと向かう。





「オオオイイイ!!何怖気づいてんダア!?ぶち殺してやるから来いって言ってんだよオオ!!」





「…何やってるんだあいつは」



 なにやら洞窟の奥から物凄く汚い言葉が聞こえて若干安心する。


 縄でぐるぐる巻きにされたジオネが歯をガチンガチン鳴らしながら威嚇してるのを想像して少しわらってしまう。



「はは」



 いや、笑ってる場合じゃないか。


 洞窟の中から足音が聞こえる、きっと静かになったから様子を見に来たのだろう。


 いやまぁ戦闘音が聞こえた時点で助けに来るべきだとは思うのだが…。


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