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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第5章:死の縁
127/226

127.視線を



「…生まれた…ですか」



 言葉が詰まる。


 本当は、敵なのか味方なのかを聞きたかったのだが…なんでも聞いてばかりでは失望されかねない。


 どう話すのが正解なのだろうか?


 その生まれた存在か人間として生まれたのか、はたまた魔族・モンスターとして生まれたのか…


 どちらにせよ俺は姫様に敵対する者を排除するだけだが………そうか。


 答えは出ていた、簡単な話だ。



「…その者が例え元仲間だろうと姫様に敵対するようでしたら私は躊躇致しませんのでご安心下さい」



「…ありがとう、それなら…安心ですわね」



 どうやら姫様を少し不安にさせてしまっていた様だ。


 何があろうとも姫様だけは守るという言葉はまだそこまで信用されていないのかもしれない。


 例え何が敵になろうともこの決意は揺るがないと信じてもらえるまでは…まだ少し時間が必要なのかもしれない。


 

「すいませぇん、話に割り込んでしまって申し訳ないんですがぁ~…街が見えてきましたよぉ~」



 前方をよく見ると魔動車のフロントガラス越しに小さな街が見える。


 小さい割に外壁は高いが、よく見るとその外壁はボロボロであり少々不安にさせる見た目をしていた。


 行軍時に寄っていないが大抵の街を記憶しているのでわかる、恐らくあそこはタルデという街だろう。



「本当ですね、今日はもう遅いですからあの街…タルデで休みましょう」


「ええ、良くってよ。魔力の反応については…またの機会に話しますわ」



 姫様はニッとほほ笑まれると暗くて何も見えない外の景色へと視線を移された。



「えぇ~と…じゃあこのままあの街に向かいますねぇ」



/////////////////////////



 しばらく走行し、タルデの正門前に停車すると門番がこちらへ小走りでやってくる。


 

「そこの魔動車、安全確認のため降車願いたい!」



 外から掛けられた声は車内にいるせいで少し聞こえにくいが言っている意味は分かるので俺が降車する。



「安心してくれ、私は騎士だ」



 俺の姿を確認した門番は声をかける前にほっとした表情になっていた。


 まぁ…この鎧を見れば騎士だとわかって当然か。



「騎士様でしたか、なら問題ありませんね。ご予定を聞いてもよろしいですか?」



「今晩だけ休んでいくつもりだ、明日の昼頃には此処を発つ」



 門番は俺の話を聞くと頷く。



「なるほど、わかりました。また出発される際にはこちらの正門にお越しください。通行よし!開門!」



 そういうと正門は大きな音を立てながら開かれ、街の様子があらわになる。


 門から見える街は特段栄えている様子はないが、外を出歩く住民に絶望の表情は無く、それなりにたくましく生活していることが分かる。



「あの…それともしよろしければなのですが…」



 門番が俺を引き留めて話しかけてくる。


 

「握手して頂けませんか…?」



 何かと思えばそんなことか。



「ああ、勿論だ」



 門番と握手する。


 そこまで若く無い門番の手は少しごつごつしており、良く訓練していることが分かる。



「ありがとうございます!良い時間を!」



 俺は門番に軽く手を振り、魔動車に戻る。



「これ入っていいんだよねぇ~?」



「はい、大丈夫です」



 俺がそう伝えるとスタンは魔動車を運転して正門を通る。


 そして…丁度、正門を潜り抜けた瞬間。



「…?」



 俺は何かの視線を感じた。

 

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