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騎士と狂姫は歩く  作者: 御味 九図男
第4章:金級冒険者
118/226

118.どこ卒よぉ~


「オラァッ!!」



「おっそイねぇー!」



 男の斬撃を躱して回し蹴りを繰り出す。



 ッガァン!!



「無駄よ!」



 だがまたしても防護魔術で防がれる。


 足がジーンと痛む。


 これ帯電して身体能力を底上げしてるせいで余計に痛いんだけど!


 とりあえずもう一度距離を取って考える。



「う~ん…ピンポイントで防いでくるなんてなかなかの実力だねぇ~」



 防護魔術は基本的に範囲が狭い。


 だがアマシアと呼ばれていたあの女はそれをピンポイントで行使して綺麗にワタシの蹴りを止めてくる。


 攻撃中に無理やり軌道を変える事は可能だけれど実際やると身体痛くなる。


 …いやまぁ我慢するしかないのか。



「降伏しなさい。私だってわざわざ人間と戦いたいわけじゃないの」



 人間と…ねぇ。



「へぇ、その胸元に光ってる銀色のバッチは冒険者証だったんだねぇ」



 人間と戦いたいわけじゃないのならモンスターや魔族となら戦ってもいいって事だよねぇ。


 ならモンスターや魔族と積極的に戦う集団で銀色のバッチを胸元につける事が決められてるのは冒険者ギルドだけだから必然的に冒険者っていう判断になるよねぇ。


 まぁ、一番の問題は銀級っていう事なんだけどね…



「ええ、そうよ」



「一応俺も冒険者だ。銅級だけどな」



 男の方も冒険者だったのかぁ。


 てかブラウン系の服に銅級冒険者証つけるなよぉ…目が悪いから見えなかったよぉ…



「う~ん、なかなかの手練れ集団って事だねぇ」



流石に銅級なんかには遅れは取らないけど銀級はなかなか接戦になるかなぁ…んでもって二対一だものなぁ…


 ………うへぇ…なにあの男…にやにやしてるぅ…


 ほめなきゃ良かったよぉ…



「ほら、わかったらさっさと降伏しな」



 男がじりじり寄って来るぅ…ぶんなぐりてぇ~!



「君たちさぁ…どこ卒よぉ~」



「ど…どこだっていいだろが!!」



 いや怒んなよぉ…ちょっと聞いただけじゃん。



「ガロバシア魔術学校よ」



 アマシアは〔どうよ!〕と言いたげな顔でこちらを見てくる。


 それにしてもガロバシアかぁ…あそこで流行ってた魔術なんだっけなぁ…昔魔術交流戦の際にめっちゃ下調べしといてよかったなぁ…まさかこんなところでも役に立つとはねぇ。



「へぇ~ガロバシアね。え~~と…水系統が流行ってたっけ?今はしらんけど」



 ワタシの知る限りでは水系統の魔術を多く使っている覚えが…ないでもない。


だからと言って水対策ばかりしていては危険だね、その魔術だけで銀級冒険者になったとは考えにくいからねぇ。



「…まさか貴方も私と同じガロバシア卒業生なの?」



 ………もしかしたら思っていたより簡単にこの状況から抜け出せるかも。



「…え…あっ!?まさかアマシアって…あのアマシア先輩なの?名前が同じっていうだけじゃなくてぇ?」



「アマシアは多分私しかいないと思うけれど…」



 一言一言に注意して話を聞く。


 声の音程・抑揚、実に重要だよね。



「じゃあ本当にアマシア先輩なんですねぇ!ワタシの事覚えてますかぁ!?ホラ!一回おしゃべりした事あるじゃないですかぁ」



「えっウソ!?本当にガロバシアの子なの!?」



 -かかった!



「嘘も何も一回お話した事あるじゃないですか!?覚えてないんですかぁ!?」



「え、ええぇ~!?ごめんなさいね!?本当に覚えてないわ!」



「お、おい!どういう事だよ?」



 アマシアはまだ本当に信じ切っていないはず。


 慎重に混乱させるべきだ。



「どうもこうもないですよぉ!なんで覚えていないんですかぁ!?」



「ほ、本当に悪いけどお覚えてないのよぉ!あ、名前!名前聞けば思い出せるかもしれないわ!」



 ええぇ~…名前かぁ…そういうの困るんだけどぉ…



「ナシアですよ!!思い出しましたか!?」



 アマシアは引きつった笑みになる。


 ヤバイかな?ミスったかな。



「あ、あ~~!ナシアね!?わかる、わかるわよ!一度話したものね…それで!何してたの?」



 …この人もしかして実はいい人なんじゃないかぁ~?


 これ覚えてないっていって傷つかないように気を使ってるんだろうなぁ。



「実は…ネイラさんの血を集めてくれたら換金してくれるって言う人がいまして…それで…」



 アマシアと男は驚いた顔になる。



「おい…アマシアそれって…!」



「ええ…黒幕はそいつかも知れないわね…私の後輩にこんな事させて……あと名前で呼ばないで」



 うわぇ…引くほどお人よしだなぁ。



「えっと…じゃあこの血ってなにか悪用とかされるんですかぁ…?」



「ええ、まだわからないけれどね。その小瓶を渡してくれる…?瓶になにか特徴があるかもしれないわ」



 ここはおとなしく渡すふりをしよう。



「…そうだったんですね。すいません…これは渡しますぅ」



 アマシアの元へ歩き、瓶を手渡ししようとする。



「ありがとう。…もしお金に困っているなら、いい仕事紹介できるわよ。勿論まっとうなしごごごごごおごごごごごごごごごごごお!?!?」



 アマシアの手を握り電撃魔術を行使する。


 これは流石に防ぐ方法なんてないからねぇ。




「おバカさんだねぇ~?」



「アマシア!?てめぇ!!」



 男がこちらへ特攻してくる。


 先ほどより速い、この女に思い入れでもあったのだろうか?



「オラァ!!」



「よっっと…そんなんじゃ銀級には成れないねぇ~?」



 余裕をもって斬撃を躱す。



「かかったな!」



 …かかった?何に?



「!?」



 足元から強い魔力の反応!?


 ヤバイ、よけられない。



「ぐぅっ…!」



 凄まじい爆発に飲み込まれる。


 最悪だぁ!耳が聞こえない!


 土煙で前もみえなぁい!



「----」



 あの男、なにか言っているけど何も聞こえないので無視しても仕方ないよねぇ!


 君のせいでこうなったんだけどねぇ!



「あぁ~もう…耳がキーンとしたじゃないかぁ~」



 いんやぁ~爆発で肝が冷えたけど大したこと無かったなぁ~


 いや、本当に大した事無かった。


 こっちがびっくりだわ!魔術の才能なさすぎでしょう!?



「まぁ…誘導はうまかったねぇ…って」



 土煙が晴れると遠くの方にアマシアを抱えた男が全力で逃げ去っているのが見えた。



「うぅわ…逃げた…まぁいいや血は手に入ったしねぇ~…はぁ…帰ろ…」





 

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