1.騎士は歩く
初投稿です
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ーー俺はいつから戦っているのだろう…?
魔力はもう尽きた
血を流しすぎて意識が朦朧とする
首に突き刺さった矢の痛みはもう無い
足元を埋め尽くす死体と同じくこのまま死んでしまおうか…きっと その方が楽だろう
だが……まだ…死ぬ訳には行かない…重い鎧を着た身体を無理矢理動かす
「まだ 俺は生きてるぞ」
まだ、死んで無い
決して直剣と盾を手放さないように気合いを入れる
「誰もいなくなるまで殺してやる」
ぐしゃり
仲間だった死体の上に立っている…許してくれ。今は、戦わなくてはならない
「次はどいつだ、早く俺を殺してみろ」
誰も声を上げない…辺りを見回す
「次は………っ!?」
そして、やっと気付いた
「……俺しか…いないのか…!?」
もう誰もその戦場において、俺の問いに答える者は存在しなかった
「馬鹿な…俺だけ生き残ってしまったのか」
果てしない孤独に襲われる。
孤独という穴に落ちていく気がした
だが…
「俺はまだ生きている」
まだ生きている…という事はきっと俺にはまだ神に与えられた役目があるのだろう
「はぁ…先ずは、王国へ戻り…報告しなくては…」
生き残ったからといって、気を抜くことは出来ない気を抜いてしまったら、きっとこのまま死んでしまうだろうから
「…」
この場を去る前に仲間達への別れを告げた
すまない仲間達よ
きっと戻る頃には誰が誰かも分からないほど
時間が経ってしまうだろう
だが、必ず皆の勇姿は俺が報告してみせる
殺し、殺され。
大量の屍を戦場に残し
騎士は歩く
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