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四章一節

「証拠は手に入れたが、どうしたものかな」

ディーンは訓練所を離れ、今後の事を考えていた。

(ガルバルドが黒だということは確定した。後はどうするかだ)

証拠は自分がここに持っているのである。

国王に渡せば間違いなく奴を罪に問うことは出来るだろう。だが・・・

(牢屋に入れられる程度で済むかもしれない。確かに私腹は肥やしている、だが俺達を襲わせた証拠はどこにもないからな)

ならば・・・

(この手で果たす、仲間達の復讐を、絶対に!)

ラズニールをはじめとした仲間達。皆、騎士としての誇りに満ちていた。

それを身勝手な理由で命ごと奪われたのだ。

その無念、晴らさずにはいられまい。

ディーンは目を閉じると、魔剣を鞘から抜き、天に掲げた。

魔剣は鈍く光り、その黒さで全てを塗りつぶしそうなくらいである。

「エミリアから預かったこの魔剣、復讐に使いたくなかったが、すまない力を貸してくれ」

そう言って語りかけると、魔剣を鞘に戻すのであった。

「さて、まずはこの証拠を隠すとするか。隠し場所はあてがあるからな」

ディーンは何処かに向かって歩き出す。

(まあ、あそこならバレることはないだろう)

そんなことを考えながら足早に向かうのであった。



【深夜の王城】

ある場所に証拠を隠し終えたディーンは、王宮へと繋がる門の前に姿を現した。

ガルバルドは王宮内に専用の自室を持ち、王城を出ることはない。

また自身の安全の為、常に配下の神官騎士に周りを護衛させており、奴を斬るのも一筋縄ではいかないだろう。

「帰ってきた・・・か。このような事の為に帰ってきたとは、聖神リーファ様も大変お怒りだろうな」

聖騎士が復讐の為に黒騎士となって戻ってきたのだ、許されることではなかろう。

(まあ、許される必要もないけどな。それよりも問題は・・・)

ディーンの目線の先には、二人の見張りの騎士が立っている。一人は聖騎士、もう一人は従騎士だろう。

当然だが顔を見られれば即、ギルであることはバレるだろう。

だからといって兜をつけたまま、すんなりと通してくれるはずなどない。

(・・・仕方ない)

ディーンは堂々と、見張りの騎士達に近づいていく。

騎士達はディーンに気づくと、すかさず剣に手を掛ける。

「このような夜更けに何用か?」

聖騎士がディーンに問い掛ける。

「緊急の要件にて、ガルバルド司祭長にお会いしたい。通してもらえないだろうか」

ディーンの返答に、聖騎士は訝しげに眉をひそめる。

「司祭長に?内容を教えてもらえるかな。申し訳ないが、はいどうぞと簡単には通せないのでな」

そう話す聖騎士に、ディーンは頭の中で「まじめだな。まあ、だからこそ聖騎士になれるんだよな」と思った。

考えている様子のディーンを見て、聖騎士はことばを続ける。

「悪いが話せないなら無理だな。内容は話せない、しかも黒騎士のように真っ黒な鎧、しかも兜まで着けて顔がわからないときた。怪しすぎて通しようがない」

ごもっともだな、とディーンもそう思った。

とはいってもここで引き下がるわけにはいかない。兜に手を掛け、するりと兜を脱いだ。

ディーンの顔を見て、聖騎士が驚いた表情を浮かべる。

「ギ、ギル!?ギルなのか?生きていたのか?それにその格好は・・・」

驚きながら話す聖騎士に、ディーンが近づいていく。

「話せば長くなるが、とりあえずただいま、それとすまない」

そう言って素早く当て身を食らわせ、聖騎士を地に沈めた。

「え、なぜ?ギルさ・・・」

後ろで成り行きを見ていた従騎士にも、同じように当て身を食らわせ、ことばを言い終える前に地に沈んでもらう。

「すまないな、これしか方法が思い付かなかったんだ」

そう言って、二人を門の壁にもたれかけさせた。

「さて、行くとするか。ガルバルドのところに」

ディーンは見張りの居なくなった門をくぐり、城へと入っていった。

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