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東方剣録伝 〜幻想郷最強剣士の物語〜   作者: 黒井黒
第一章 何だかんだで怒涛の日々
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六話 イライラの原因

クロ「何とか書けた……疲れた」

和也「しょうがないな。お前が悪いから」

クロ「ちょっと書く形式を変えてみたけど、あんま分かんないかな?取り敢えず見てください」



和也は今は博麗神社の鳥居の前に居た。


会う相手は博麗麗奈。


だけど一度人里で命を助けられた相手に何と声を掛けたらいいのかわからない。取り敢えず、少しでも印象を良くする為に黒いローブのシワになっているところを叩いて伸ばす。


和也は緊張していた。


何しろあの博麗の巫女だ。幻想郷に来てから日は浅いが博麗の巫女の噂なら多少なりとも聞いてきた。人間や妖怪から『鬼』そう呼ばれている彼女、あのお爺さんが言ってた通り全くそんな要素はどこにも無いのだろう。


長い石段を息を切らしながら登りきった。そして、緊張し強ばった身体で鳥居をくぐる。


するとそこには、桜が咲く境内で一人お酒を呷る女性。


ーー博麗麗奈がいた。


その姿は美しくまだ幼い容姿を残しつつも、大人の風格を帯びている。だが、その表情は安心しつつ、どこか上の空。ずっと桜を見つめている。そんな桜の似合う彼女の事を俺はどう思っているのか、それは分からない。

でも、確実に言えることは、『あの娘を笑顔にしたい』ただそれだけだった。

和也が麗奈に見とれていると、彼女もこちらに気づき、お酒の入ったお猪口を置き、こちらに近ずいてくる。


「あなたは人里の……お礼をしに来たなら、いらないから。そもそもお礼を言われることして無いし、貴方を助けよう何て思ってないから。あれは全部自分の為にやった事なんだからね。だから貴方が感謝する必要が無い。イコールお礼は必要ないわよ」


腕を組みながら、早口でどこか怒り口調で喋る彼女。だけど言っていることはどこかおかしい。お礼を言ってもらいたくないのか、言って欲しいのか分からず矛盾している。でも、俺はここでお礼を言わないほど恩知らずじゃない。


「ありがとう」

「貴方、さっき言った事聞いてたの?お礼はいいって言ってるでしょ」

「そう硬いこと言うなよな。俺らの中だろ?」

「私はあなたに図々しく喋られるような関係にはなってない筈なんだけど」


不機嫌さを和也が分かるぐらい露わにする麗奈。でも、こんな事では和也はめげない。何がなんでもこの娘を笑顔にする。それがさっき慧音に任されたことだ。


「まぁまぁ、そんな事言わずにさ?ほら、お酒でも飲んで」


和也は置いてある皿いっぱいに入ったお酒を麗奈の前に差し出す。嫌悪感を表情に出す麗奈だったが、諦めたのか和也の差し出したお猪口を肩を落としながら受け取る。そして、和也への嫌悪感を紛らわすかのような豪快な一口。


「これが女子の飲み方か…。ちょっとは恥じらいを持った方が…」

「うるさいわね!何なのよさっきから!急に来てお礼を言ってもらえるのかと思ったら、バカにされるし、何なのよアンタ!」

「.....ボロが出てんぞ?お前」

「ッ!?」


急に黙り込んで座り出す麗奈。何を思うかまた酒を一杯飲み干す。


「……言わないで」

「ふぇ?」

「この事は誰にも言わない!分かった!」


他言無用、つまりこの麗奈の性格を含めて人物像のことを言っているんだろう。素直になれなくて、本当は褒められたくて、誰かに認めて欲しくて、そんな歳相応の性格と言えるのだろうか。彼女には悪いが、これを利用しない手は無い。


「なら条件がある!それを聞いてくれたら言わないでやろう」

「巫女である私を汚すことを考えてるの!この変態!」

「いやなんでだよ!俺がそんなことしような奴に見えんのか!」

「見える」

「それはそれで精神的に来るもんがあるな……でも安心してくれ、俺の願いはただ一つ」








「.....博麗神社に住ませてくれ」


麗奈は一瞬呆気にとられていたが、和也の言葉がようやく理解出来たのか、表情が変わっていく。


「貴方馬鹿じゃないの?誰が見ず知らずの貴方を博麗神社ここに住ませると思う?」


まぁこの反応は予想どうりだった。ここからが和也の交渉技術の見せ所だ。和也は手を固く握りしめ、殺される覚悟を決めた。


「そんな事言っていいのか?このこと人里のみんなに言っちゃうぞ。それでいいなら俺は行くけど……」


意地悪だがこれぐらいしか、この状況を切り抜ける方法がない。知恵と勇気を振り絞って出てきたものが罪悪感が半端ない方法。

自分の浅知恵にため息が出そうになる。

そして、麗奈を誘うように鳥居の外に向かって歩く。

最後の一歩、鳥居を出ようとする一歩は何かに掴まれて阻まれた。後ろを見ると麗奈が赤面させて服の袖を掴んでいる。


「どうした?離してくれない?俺帰るんだけど」

「いいわよ……あぁ!もういい!ここの住んでいいからこの事は言わないで!」


こうなる事はほぼほぼわかっている結果だった。それだから罪悪感が半端ない。こうゆう事は二度としたくないと心に誓う和也だった。


「貴方を住ませるってことは監視って意味もあるんだからね!」


「監視?」


「だって貴方、外の世界から来たっていう人でしょ?だから一緒に住んでれば貴方が何かしでかす前にぶちのめせるでしょ」


「まぁ表現が少し怖いな。でもそれで済ませてくれるってなら別にいいだろう。これからよろしくな」


「ハイハイ、よろしくよろしく」


麗奈はそそくさと神社に戻っていく。和也はそれを無言で追いかけ続ける。神社の縁側をグルグルと一周、二周と周り続ける。そして、急に麗奈が立ち止まった。


「何なのよ!聞きたいことがあるなら早く言ってよ!こっちも暇じゃないのよ!」


今まで貯めてきたイライラが痺れを切らして、飛び出してきた。だが、麗奈を追いかけ回して怒らせた張本人である和也は神社の境内にある桜に見入っていた。麗奈もそれに気づいたのか、またため息をつき、和也の隣まできた。


「あの桜綺麗でしょ?私が生まれた時からあそこ一人でずっと生きているのよ。そう、一人で……」


色々と含みのある言い方だか、彼女の事を知らない俺としてはこんな事を思うのは失礼だと思ったが、はっきりいって麗奈は相当のかまってちゃんだと思う。

今の含みのある言葉もそうだが、彼女は自分を理解して欲しいと思っていると節がある。それと今の年齢との性格上素直になれない点だと、俺は推測する。


「まぁ、麗奈のかまってちゃんが発覚した事だし、中に入って、お茶会と洒落こみますか」


「いきなり何言ってんのよ!かまってちゃんじゃないわよ!それとどさくさに紛れて名前で呼んでるし。まぁいいんだけど……ちょっと待ちなさいよ!」


二人は神社の中へ消えていく。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「所であんた……何で図々しく私の隣でお茶啜ってるの!」


俺は博麗神社の中に入り、キレられながら麗奈から入れてもらったお茶を飲んでいた。麗奈は和也が隣に座っているのか不愉快で仕方がないらしい、和也は座布団を麗奈の向かい側に移動させて、ゆっくりと座った。


「そんな怒ってばかりだと血圧上がるぞ」


「その原因はあんたなんだけど……本当に何なのかしら」


そこから無言が続く。お互いのお茶を啜る音しか聞こえない。


「無言はきついんですが……」


「……別に話すこと無いじゃない。ん?いやあったわね」


「なになに!俺に質問したいなら何でもしていいよ!」


和也は前かがみになって麗奈を見つめる。そして、急に距離を近づけてきた俺に少し引いたのか麗奈は横目を向き、和也に聞いた。


「あんた……紫の彼氏ってホント?」


俺は思わず固まってしまった。そして、我に帰りそれを全力で否定する。


「いやいやいや、絶対にないから!断じて違う!神に誓う!俺はあいつに助けてもらっただけだから!」


「そ、そうなの?またあの天狗はデマ情報ばっかり……ところで何か服が膨らんでるんだけど、なにか入ってるの?」


和也が服の中を確認する。そうすると中にはアリスから貰った人形があった。


「あっ忘れてた!はいこれプレゼント」


「何この汚い人形?これ渡されても困るんだけど」


人形は人里での妖怪との戦闘で布の所々が切れて、砂を被っていた。


「これアリスから貰ったんだけど、アリスにも悪いな。麗奈、裁縫道具あるか?」

「あるけど何するの?」


麗奈が裁縫道具を持ってきてくれて、俺は針を持ち、糸を針の間に入れる。


「ちょっと切れてるところ直すんだよ。これくらいならすぐ直るし?」


そうして、和也は人形を繕っていく。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




何なのかしら、こいつ。

いきなり来た和也という少年、は人里で妖怪にやられそうになっていたところを私が助けた。そのお礼に博麗神社に来たというが、何で私はこんなにイライラしているのだろう。

こいつは来て早々私をバカにするし、私のイメージを崩す発言を言われたくなかったらここに泊めろって脅迫するし、いきなり人形を縫い始めるし、少し上手いのが癪に障る.....。


モロモロ含めて何なのよこいつ!


そんな事を思っていたらいつの間にかこいつが人形を縫い終わったらしい。


「よし!出来た!はい、改めてプレゼント」

「あぁ……ありがとう……」


一応私はお礼を言う。


人形はアリスの上海人形だった。多分アリスはこの人形を通して、こいつと私の会話を聞いているのだろう。さすが人形使いと言った所だがそれでも私は胸クソ悪い。和也こいつとの会話なんて聞かれたらアリスに何言われるかわからない。


「まぁ取り敢えず、これを私の部屋に片付けてくるわね」

「あ、あぁ分かった」


そして、私は和也を置いて、神社の長い廊下を歩いている。ここで人形を通して聞いている金髪の人に文句を言ってやろうかしら。


「アリス……趣味が悪いわよ」

「シャンハーイ」

「誤魔化さなくていいわよ。和也いないから」


そうすると、人形の目の色が青色から赤に変わった。どうやら喋れるように魔力の流れを変えたらしい。


「まだ和也を疑ってるの?」


「…………」


人形の口が動いて言葉を発する。その口振りからしてどうやらアリスは気づいてたらしい。

私が和也を『幻想郷に仇を成す存在』なのではないかと思っているということを。


「博麗の巫女として人一倍責任感があるのはいい事だけれど。そんな気を張ってるといつか擦り切れるわよ」


「それは私が決めることよ。あいつが問題ないなんて言い切れないから」


確かに私はアイツを疑っている。でも、何が悪いの?異世界から来た正体不明の人間なんて何考えてるか分からない。


「とにかく和也は貴方が考えているような人ではないわよ。その内、気づくと思うけどね」


「あんたあいつに垂らしこまれたの?でも、それならそれでありがたいわね」


「それじゃあ、切るわね。大丈夫、のぞき聞きはしないから」


「本当かしら?まぁいいわ」


そして、人形の目が元の色の青に変わった。その時、居間の方で私を呼ぶ声が聞こえる。今の博麗神社に私を呼ぶ相手なんて一人しかいないけど。いや、一人に増えたって所かしら。


「もう少し、彼のことを見てみましょうか」


人形を私の部屋の棚の中にしまい、私は和也の元へ帰っていった。


でもそこで見たのは、私が大切にしまって置いたお団子を食べる和也の姿だった。


「ひゃゃゃゃゃあッ!な、何してんのよッ!!」


柄にもなく悲鳴を上げてしまったがそんな事今はどうでもいい。今は、ともかく私の大好物のお団子を食べたコイツは絶対に許さん!


「何で……何で!私の団子食べてるのよ!折角楽しみにしていたのに!」


「いやだって、人里で団子食べそびれたから。それにさっき麗奈のこと呼んだけど麗奈反応してくれなかったじゃん」


「さっきのはそういうことか……」


和也の再三の呼びかけに応じなかったのは私だけど、でもそれでも別に食べなくてもいいじゃない!

私が落ち込んでいると、和也が自分の服を探り始めた。


「何かあるの?」

「いや、確かこの辺に……あった。はいこれ」


何これ。キノコ?でも何この瘴気をたっぷり含んだ物は?


ーーキィィィィッ!


「叫んだ!?これどこで取ってきたの?」


「アリスっていう人がいる森で。でも安心していいぞ。こいつは比較的大人しいやつだから」


「大人しい奴!?こんなのが沢山いるの!?あの森!?」


さっきから泣き叫んでいるやつがあの森で取れるのか?これは覚えておかなきゃ死ぬわね。というよりこんなもの見つけたら普通取らないわよ。


「でもこれを私に渡して何するの」


「食べ...「ぶっ飛ばすわよ」...そこまで言わなくても……」


これを食べるなんて命知らずなやつがいる訳ない。いや、もし居たとしてもそいつは確実に死んでるわ。もし死ななくても植物状態になってる。うん、絶対。

アリスはもしかしたらこれ食べたことあるのかしら。いつか聞いてみよう。


「まぁこれは冗談で何か今度買ってやるよ。和菓子」


「ホント!嘘つかないわね!絶対だからね!」


「ハイハイ」


そう言って私は和也と約束を交わす。私は、何を買ってもらうか興奮気味で日課の境内の掃除に向かう。私は、甘い物には目がないのだ。さっきまでだだ下がりだったテンションが上がり始め、少し浮ついた気持ちで箒を持って外に出ると和也も何故か付いてきた。


「俺も手伝うよ。どうせ暇だし」


「別にいいわよ。貴方はゆっくりしてて」


「住ませてもらう以上、麗奈のやる事に手伝わないと悪いだろ?」


そう言って私の持っていた箒を取り、はき始めた。それをずっとお賽銭箱がある階段に座りながら見ていたが一応ちゃんとやってくれていたのでそのまま任せる事にした。


そして、そのままどうやら階段で私は寝てしまったらしい。薄ぼんやりだけど、誰かに運ばれ、どこかに置かれ、暖かい布団をかけられている夢?を見た気がする。


ーーあれは何だったんだろう。


その日の夕方に目覚めた時に私はひどく赤面させた。


麗奈「……/////」

和也「どうした?顔が赤い「アンタのせいでしょ!」俺何かしたかな」

アリス「あぁいう事平気でやるんだから。まったく羨ましい……」

和也「なんか言ったか?」

アリス「いえ、なーんも」

和也「そうか?じゃあこれで終わります。さようなら」

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