三話 アリス邸宅
和也「今回はアリス登場だな!」
アリス「まぁ嬉しいわね。…ところで和也?」
和也「何だ?」
アリス「この投稿者は、何でリメイク版なんて出したのかしら?」
和也「これは苦笑いしか出ないな。まぁ取り敢えず作品をどうぞ!」
「やばい……迷った」
ああ、どうしよう。
白玉楼を出た俺は、直感的に博麗神社に行くと言ったものの、肝心の場所が全然分からないでいた。妖夢から貰った地図を見ながら行ってるだけどな……俺って方向音痴なのか?
「そんなことよりもこんな気味の悪いとこ早く抜けたい!」
地図にはこの森を通った方が早いと書いてあるのだが、その森というのがどうも様子がおかしい。ただ虫が多いとか、熊が出るとかその程度ならまだ良かったんだけど……。
草木達が妙にざわついている。ざわついているというのはただの比喩表現ではなくて、人間のように言葉を発しているのだ。
「ん?そういえば、なんか前に見たことがある場所だな」
思い出した!ここは俺が一番最初に紫と話した所だ。やっと最初に戻ってきたらしい。
少し状況を理解し、安心したのか腹の虫が鳴き声をあげる。和也は、腹を摩った。
「あー、腹減った。こんな事なら幽々子達にお弁当ぐらい作ってもらえばよかったな」
親切にしてくれたといっても幽々子も妖夢も初めて会った人だ。流石に迷惑だと思って頼まなかったのを今更後悔している。
「どっかに、休める場所ないかな?」
辺りを見渡しても休まる所なんか当然見つかる訳もなく。でも、本当に不気味だなこの森……というかこの森に入ってからだいぶ歩いているけど一向に進んでいる気がしないんだけど、気のせいか?
「さっきも通ったぞ.....この分かれ道」
やっぱり、何も進んでなかったらしい。見覚えのある大きな木がこの分かれ道を強調するように生えている。そして、この違和感を確かめる為に付けた傷もしっかり残っていた。どうやら、俺は今この道をずっとループしているらしい。最初は気づかなったが、この木を三回見たぐらいから疑いだし、四回目に入る時傷を付けておいたのだ。
さっきはこの分かれ道を右に進んだから、今度は左の道に進むことにした。そして、嫌な予感と共に早歩きで歩いていくが……。
「………………どうしよう」
またさっきと同じ道だ。一寸違わず同じ位置に同じ気持ち悪い植物が生えている。これは誰かのイタズラか?それにしてはタチが悪い。くすくすと、笑い声が聞こえてくる。
「めんどくさい……」
俺はだんだんイラつき始めた。こっちは一時間近く歩いている。体も心もヘトヘトなのに、何回やってもまた戻ってくるし、草木風情に笑われるし、これを何かの罠だと知りながらなんにもできない自分にイライラする。
「何がなんだか分からんが、いい加減進ませろッ!」
俺は声に怒りを乗せて叫んだ。大声を出すのはストレス発散にもってこいだ。だけど、叫んだ所で状況が変わるわけじゃない。
遠くに響く自分の声が風に掻き消される。俺は大きな溜め息を吐きながら、また歩き始めた。どうせ同じ道を永遠と歩く事になる……そんな諦めに近い感情をもって。
だか、その気持ちはいい意味で裏切られる事になる。
「ん?あれってッ!」
少し遠くの方に家が見える。洋風でオシャレ感漂う感じの家が一軒だけぽつんと建っていた。さっきまでそこには何も無かったはず。そういえば、周りの景色も少し変わっている。
「なんでか分からないけどラッキー!これで休めるかもしれない!」
〜移動中〜
「や、やっとついた…」
浮ついた気持ちを抑えられず、走って来たものの思った以上に遠かった為物凄く疲れた。離れていたのは見えたけど、ここまで遠いとは……。
もう疲れた。早く休ませてもらおう。
「こんにちわー!誰かいますか?」
扉をノックして大声で呼んでみるが、それに応じる声は帰ってこない。窓から中を覗いて見ると、誰か住んでいる生活感はある部屋なのだが.....。
「お邪魔しま〜す……」
木造のドアが甲高い音を立てて開く。流石に勝手に入るのは申し訳なかったが、疲れているからしょうがない。
「あ、あれ?おっかしいな〜?外から人影が見えたような気がしたんだけど……?まさか、幽霊ッ!?」
そんなくだらないことを本気で考えていると、キッチンの方からガタッと音がした。
「ふぇ?まさか本当に出たの?」
すると黒い影がチラッと現れた。
「ギャー!?幽霊ッー!?」
びっくりして飛び上がって、壁に張り付く。
「失礼ね。幽霊なんて」
みっともなく壁に張り付いている和也はその声に反応して振り返ると、そこには吸い込まれそうなぐらい深い碧眼でウェーブのかかった金髪ショートの綺麗な女の子がいた。立ち姿から醸し出される上品な雰囲気は、都会のお嬢様的な雰囲気感じられる。
「それにここは私の家なのよ。勝手に入ってきて、幽霊とは何よ!幽霊とはッ!」
「す、すいません!」
「まぁいいわ……それより何か用なの?」
持っていたティーカップをテーブルに置いて、椅子に座る彼女。この香りからしてカップに入っているのは紅茶だろう。彼女はそれを一口啜る。
「別に用ってことじゃないんだけど、森の中を歩いていたら、この家が見えたから寄ってみたんだけど…」
「じゃあ帰ってくれる?私も暇じゃないの」
彼女の言葉を一つ一つに怒気を感じられる。やっぱり何か怒られせたかな?まぁ心当たりは沢山あるけど。
俺も折角休める場所を見つけたから、なんとしてでもここに居たいが、家主に帰れと言われると何も言えない。でも、やっぱり引き下がれないので必死に理由を考える。そうして、俺が黙っていると。
「ところで……どうやって、私が張った結界を破ったの?結構いい出来だったんだけど」
彼女は唐突にそんなことを聞いてくる。
「えっ?結界?そんなのあったっけな?」
俺は身に覚えが無かったけど、ものすごく鋭い目つきで彼女は睨んでくる。でも、俺が答えたら訝しげに首を傾げる。
「あれ?あなたがやったじゃないの?だったら誰が?」
ブツブツと独り言を話し、完全に俺がいることを無視している彼女に、自分の存在をアピールするために質問してみた。
「ところで、その結界にはどんな効果が?」
「ん?えーと、それはね?《迷いのルーン》が仕込まれた設置型の結界なんだけど、その効果範囲に入ったらどんなに移動しても同じ場所に戻ってきてしまうのよ」
「お前かー!!」
和也は凄い勢いで彼女に詰め寄る。彼女はびっくりして目を丸くする。
「な、何よ?」
「俺はな、その結界とやらのせいで長い時間!同じ道を!ぐるぐる回る羽目になったんだぞっ!」
鬼気迫る勢いで彼女を糾弾するが、彼女はそれを聞くと逆に嬉しそうに立ち上がり、顔を近づけてくる。
「あれどうだった?私の自信作なんだけど!そんなに怒っているってことは凄く出来が良かったってことよね!良かったもう少し話を続けて欲しいのだけど!」
さっきまでの怒り顔と打って変わって、幼い子供のように嬉しそうな笑みを浮かべて詰め寄ってくる。
俺は、意識的に顔を背けて無視するように質問した。
「ど、どうしてあんなものを?」
俺がそう質問した刹那、彼女の瞳が鋭く吊り上がる。
「どうし…」
「静かに!」
そう俺は言葉を止められ、彼女は窓に向かって短い金色の髪を揺らしながら走り出し、辺りを見回した。
「これが結界を張っている理由よ……こうでもしないと危ないのよ」
「なるほど……よく分かったよ」
彼女の必死の表情で分かったが、彼女がいった結界というのは妖怪避けの意味があったみたいだ。それほどまでにここは危険という訳だ。最初に来た時だって、何かの視線を感じたし、ここは色々と危ない。今まで襲われなかったのが奇跡だ。
俺は突然の出来事で整理出来ずに、少しの沈黙が続いたが、彼女が先に口を開いた。
「それと……」
彼女その言葉の後でこう続けた。
「最近変な奴が来るから困っているのよ。だから、道迷いの魔法を付与したに……まぁ、壊されたら仕方ないわね。また一からやり直しね……」
少し残念そうな彼女を見ると、被害者にも関わらず何故か罪悪感が湧いてくる。俺は被害者なんだ!べ、別に何も意識する必要は無い!
少しの沈黙が続く。彼女は明らかに落ち込んでいるように見える。この雰囲気に耐えられず、和也は声をかけた。
「君の結界は凄かったよ!結界が壊れなかったらずっとぐるぐるしてた。見事に引っかかったよ。ほんとよくやってくれたな!」
俺は少しヤケクソで笑顔混じりにそ 言った。そして、彼女が頭をあげて、くすりと笑った。
「私はアリスよ」
「え?」
「名前よ名前!あなたの名前は?」
「俺は、和也って言います」
突然名前を聞かれたので咄嗟に敬語になってしまったが、アリスは笑っていた。
「結界が壊れて貴方が来たのも何かの縁だし、少しの間休んでいってもいいわよ」
「ほ、本当に!?じゃあ、お言葉に甘えて少し休ませてもらおうかな」
こうして、俺はアリスの家で少しの間だけ、休息を取らせてもらうことになった。
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私は今、突然家に上がり込んできた人と話している。さっきから雑談を交わしているけど、どうやら彼『和也』は外の世界の人で記憶喪失になってるらしい。最初は結界を破られたせいで妖怪なのかと疑ったけど、そんな事もなかった?
ある一点を除いては……。
でも、私が淹れた紅茶を飲んでまったりしている人が危険な人なわけない。私はそう勝手に決めつけてしまったが、私は人を見る目がいいから多分そんなことはないと思った。
そして、私は気になることを聞いてみた。
「和也さんは何の用で、こんな森に来たの?」
「別に和也でいいよ。それでここに来た理由は、博麗神社に用があっだけど、ある人に貰った地図でこの森を歩いていたら、……後は分かるよな」
ちょっと睨んでくるあたり、まだ根に持ってる感じね。
細かい人だわ・・・私のせいだけど。
「でも、誰がどうやって結界を破ったのかしら?何か心当たりないの?」
「そう言われてもなぁ〜、あっ!でもここに来る途中に気になる事があった!」
「気になること?何か見たの?」
「いや、何度も何度も同じ道を歩いてちょっとイラつき始めた時に叫んだんだけど、その時にパリンって何かが割れた音がしたんだ。でも、そんな大きな音じゃなかったから気にせずにそのまま同じ道を歩いていたら、アリスの家がいきなり現れたんだよ」
「何かが割れる音ねぇ……その時に結界が壊れたんだと思うけど……ねぇ和也?貴方何か能力とか持ってる?」
何かによるけど、和也がもし結界に対する何らかの能力を持ってるとしたら、この事に説明がつくんだけど……。
「詳しいことは分からないけど、一応能力を持ってるらしいぜ?それが何かは分からないけど」
「やっぱり、能力持ちだったのね。私としては貴方がどんな能力を持ってるか知りたいとこだけど、貴方が何者かも知らないし、やっぱり博麗の巫女の所で見つけてもらった方がいいんじゃない?」
それだ!と和也は立ち上がり私に指を指してきた。私がそれに対して困惑した表情を浮かべると、「ごめん」と言ってすぐに席に座って謝った。
アリスはくすりと笑った。
正直私は、人との関わりはほとんどない。それも数少ない男の人。
これまで、結婚してください。なんて言われたこともあるけどそれは私が特殊だから。
毎回言い寄ってくる人は下心か私の魔法が目当てでしかない。でも、この和也はここに来て間もないからかも知れないけど見ず知らずの私に優しくしてくれる。
少しこの人に興味が沸いた。
「それじゃあアリス、博麗神社の位置を教えてくれる?」
「え?いいけど……何でそこまで博麗神社に行きたいの?」
「少しな...博麗の巫女に興味があるんだ。それにあそこに行けば何かと便利かなぁーなんて思ってな」
「そうなんだ…じゃあちょっと付き合ってくれない?」
私は少し強引に和也を引っ張った。和也は困惑しながらも抵抗せずに付いてきてくれた。
やっぱり優しい人だなと私は思い、和也に一体の人形を渡した。
「なにこれ?人形?」
「見ればわかるでしょ」
「それでどうすればいいの、貰っていいの?ん?ここ、ほつれてる?」
「貴方にはそこを直してもらいたいの。言っとくけど、めんどくさくて適当にやったら怒るからね!私は何年も人形作ってるから手を抜いたら分かるんですからねッ!」
和也は何も言わずに、「はいはい」と言ってテーブルに置いてある裁縫道具を手に取り、なんの迷いもなく縫っていく。作業は、綺麗とは言わないが普通の男の人よりは上手い。まぁ、及第点というところだろう。
「イテッ!やっちゃったよ」
笑いながら私に顔を向けてきた。和也の指先には血が流れている。結構深く刺さったみたい。
「しょうがないわね……待ってて」
そして私は棚の引き出しから、最近幻想入りした絆創膏?というやつを取り出し和也に渡した。
「これの使い方、私分からないけど、記憶なくしても貴方なら何となく分かるんじゃないかしら?」
「まぁこれくらいは分かるよ」
和也は絆創膏のシールを剥がして、自分の指に巻く
「ありがとうアリス、助かったよ」
「そう、なら良かったわ。それじゃあ、早く直しなさい。神社行きたいんでしょ」
私は和也の隣の席に座って、あれこれ和也の裁縫の仕方を直しながら、雑談をかわした。そして、作業は順調に進んで……。
「や、やっと直ったー!!」
「おめでとう。まぁ、よく出来た方じゃない?」
「もっと褒めてくれてもいいんじゃないか?俺頑張ったぞ?」
「はいはい、よく出来ましたー」
「ひでぇな!?まいっか、じゃあはい!」
そして、人形を渡された。私はこのまま受け取ろうとも思ったけど、そうはしなかった。
「いいわ、その人形貴方にあげる。それを博麗の巫女への手土産にでもしたら?」
「……でも」
「イイわよそれぐらい。直すの手伝って貰ったし、そのお礼よ」
それならと、和也は人形を渡そうとした手を引っ込めて自分の胸に引き込んだ。
「それじゃあ、約束通り……」
「分かってるわよ。はい、地図に書いてあるわ」
「ありがとう、それじゃあ、博麗神社に向かうな」
「はいはい、いってらっしゃい。それと……」
「ん?なに?」
「ま、また今度ここに来なさいね!」
「分かってるよ!また今度な!」
バタンといってドアが閉まる。行ってしまった。けど、寂しいより楽しみという感情の方が今は大きい。そして、つい笑ってしまった。
「本当に面白い人ね。あの人」
「外の世界の人ってこんなにも面白い人が多いのかしら?興味があるわ」
そして、私は食べ損ねていたお昼ご飯の準備を始めた。
アリス「教えてよ!和也!」
和也「まだ覚えていたのかよ!しつこい奴は嫌われるぞ」
アリス「ッ!もう知らないわよ!!」
和也「おい待てって!……はぁ、いきなりですがこれを読んでくれる読者の皆さん、この作品はハッキリ言ってクソです!そんな作品を見てくれて、感謝感激感動です」
クロ「クソは無いだろ…これでも一生懸命なんだよ。と言うわけで皆さん!面白かったらブックマーク登録、コメント、評価してくれるとありがたいです!それじゃあ……」
和也「バイバイ〜!」クロ「俺のセリフ……」