十四話 天使
早速だが、皆さんに説明しなければいけない事が発生した。現在俺はベットの上。
そして、隣には真紅の瞳をキラキラに輝かせた背中に羽の生えた天使二人がベットに顔を乗っけてにんまり笑っている。その後ろには執事服を纏った見るからに執事な人間? が二人を見守るように立っている。
俺は未だに理解出来ていないが理解しなければいけないのだろう。そんな気持ちを抱えつつ彼女達の相手をいつも通りする。彼女達はまだ精神的にまだ子供、いや子供に戻ってるのか。...突然だが子供は何をしたら喜ぶ? 何かをプレゼントする? それともお話を聞いてあげる? 子供という過程を過ぎた人には喜ばれるかも知れない。だが子供の本業とはなんだ。まだ何も知らない子供たちが無意識にまず第一にしている事とはなんだ。こんなつまらなく、だらだらと長い説明をして言いたい事は。
...つまり遊んであげるのだ。偉いだろ? でも、遊ぶ内容は常にいつも必然的に決まっている。
「お兄様!そんなに遅いと死んじゃうよ!」
一人は狂喜的かつ残酷的な笑みを浮かべて、魔弾と炎の剣を振り回し。この世で最も怖い遊び『コロシアイ』を毎日半強制的に俺にやらせてくる。
「フランばっかり楽しそう! 今度こそ私もやるんだから! 」
そして、もう一人は俺とフランと呼ばれた少女の『コロシアイ』を椅子とテーブルを並べて紅茶を飲み優雅に鑑賞しながら、悔しそうに嘆いている。恐らくこのあと自分が何もして遊ぼうかと考えているだろう。だが大抵100%その想像は叶わない。彼女も能力的にも分かっているだろう。そして、非常に不本意ながら自分でも分かってしまう。残念ながらこのあと俺は必ず死ぬからだ。もちろん本当に死ぬ訳では無い、正確に言えば瀕死だ。身体的にも精神的にも...
さて、皆さんには今の現状を最も簡潔にかつ正確に説明したわけだが、そもそもなんで俺がする必要も無いこんな説明を長い間するほどにも困り、そして狂ってしまっているのか。それは麗奈のアレを事故にも触ってしまった次の日に遡る。
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〜博麗神社〜
「麗奈〜許してくれよ。わざとじゃないんだって! 」
「どうかしら? 信用出来ないわ」
「そんな〜!」
「でも、一つお願いを聞いてくれたら許してあげなくもないけど...」
「なんですか!何でもします!」
麗奈はウキウキしながら、自分の服の中に入れていた紙を出して突き出してきた。
「これ、人里で新しくでたお団子なんだけどこれを買ってきたら許してあげる。もちろんアンタのお金でね! 」
「まぁ大体予想してたけど、そんな事で許してもらえるなら.....」
「じゃあ決まりね! 早速買ってきてちょうだい」
「え〜、今じゃなきゃダメか? 」
「当たり前でしょ! 」
「へいへい、じゃあ買ってくるから待っててくれ」
「いってらっしゃ〜い」
和也は渋々人里へ向かった。
その途中で...
「っ.....誰かに見られてるな」
長い間警備の仕事をやっていたおかげか、相手の敵意には敏感に反応してしまうようになった。まぁそれなりに仕事で役立つスキルなので別に困ってない。だけどその度に嫌な感じがする。
(さて、俺のこと見て何してんだか。何もしてこないならいいか)
和也はとりあえず相手の尾行を無視して、目標の新しくできた和菓子屋に急ぐ。
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「うーん、大体この辺にあるって書いてあるんだけどな」
和也は麗奈から貰った紙を手がかりにお店の場所を探している。お店の場所は人里の外れにあるあまり人が来なそうな所にあった。そんな場所にある和菓子屋なんてすごく怪しい感じがするが麗奈的には『きっと隠れた名店的な場所なのよ』だそうだ。
.....さっきからの尾行がしつこい。それより数が多すぎて、もはや尾行にもなっていない。わざとこちらに姿を見せている節がある。
そんな感じでやっと目標のお店を見つけた。だが、それは完全な空き家で物を売っているような感じではなかった。
「これは完全に騙されたな。犯人は大体予想がつくけど.....」
さっきからの尾行に加えて目の前の空き家からもはっきりではないが複数人の気配を感じる。そして、和也に尾行していた数人は和也の後ろに移動した。
(見事に包囲されたな。この空き家から人里の主要道までは一本道、ここで少しやらかしても大して大事にもならない。この人数からすると一人で突破するのは難しいか)
和也が打開策を考えていると姿を隠しもせずに空き家から五人出てきた。
「.....メイド? 」
その五人組は五人全員が純白のメイド服を華麗に着こなし、品と華あり、このメイドを従えている主人の格が窺える。
「まぁその手に持っているナイフが無かったら良かったんだけどな」
後ろにいた奴も姿を現し、その手にはナイフ、ナイフ、ナイフと物凄く野蛮なメイド達らしい。
「和也様ですね? 別に我々は貴方の命を取ろうとは致しません。ただ少し眠ってもらいたいだけです」
「それはありがたい。命を取らず永眠させてくれるんですね」
「はい! そうです! 」
メイドさんに素晴らしい笑顔でそんな事を言われた日には、嬉しすぎて寒気が止まらないね! ...うん、やばいなこれは。
何か少し揺らぎそうな心を抑えつつ、背中の剣を鞘から抜き構える。
「目的はなんだ! 俺なんかを殺しても得はないぞ! 」
「いえ、あります。ありますとも! 執事以外の男性をお嬢様達に近づけさせません! 」
「は? お嬢様? 何のことだよ」
「貴方が知る必要はありません。今ここで貴方の命は尽きるのですから! 」
さっきまで話していた前にいるリーダーメイドが和也にナイフを一本投げたのをきっかけに周りのメイドも一気に和也に襲いかかる。
(一応命を狙われてるけど、メイドだし、女の子だし、殺さないようにしないと)
まず飛んできたナイフを剣で弾く。別に避けてもよかったが流れナイフが周りのメイドに当たる事を心配してナイフを弾く。
背後にいたメイドAとメイドBがナイフで同時に切りつけてくる。和也はリーチの少ないナイフ二振りを剣一本で防ぐ。それと同時にメイドCが跳躍しAとBの上から和也に向けてナイフを放つ。
和也は受け止めている二人のメイドのナイフを弾き飛ばし、少し後方へ下がり、Cのナイフを弾く。
弾くと同時にナイフを弾き飛ばしたメイド二人を剣の柄で腹を打ち、気絶させる。
「.....がはっ!」
「.....痛かっただろうが少し寝ててくれ。.....どうだ、まだやるか? 」
現在戦闘可能なメイドの人数を確認する。今気絶した二人を除くとあと八人。
(この調子なら、あと八人やれないことも無いな)
メイドリーダー「何やってんのよ! 本気でやりなさいよ! 」
メイドA「そんな事言われても.....」
メイドD「全然報告と違うじゃない! 普通の人間なんじゃないの? 」
和也を取り残して、メイド会議が勃発している。置いてきぼりの和也はこのまま帰ろうかと考え始めていたら、どうやら会議は終わってまとまったらしい。
メイドリーダー「よーしお嬢様の為に殺るわよ!!」
メイド達「おお!!!! 」
メイドたちは知らぬ間に団結力を深め、狂戦士のようになっていた。集まる彼女達の目は炎のように揺らぎ、体中に熱気が伝わってきた。
(この人たちをこんなにさせるお嬢様何者!?)
どうやら彼女達は一斉攻撃に出るらしい。和也は集中して剣を構えた。
「やめなさい! 」
その時、草むらから一人の女性が出てきた。
身長が高く、髪は水色ロング。そして、最大の特徴が背中の羽だ。その羽はまるでコウモリのように漆黒で勇ましい王者の風格を放っていた。
「全くメイドが一斉に居なくなったと思ったら、こんなところで何してるの! 」
「ソフィア様! 止めないでください! 」
「いやダメです! 人間一人を大勢で殺すなんて、それを主人に知られたら大変な事になりますよ。知られる前に早くお帰りなさい? ね?」
それを聞いた途端メイドたちは戦意をなくして、とぼとぼとどこかに気絶した二人も連れて立ち去った。そして、和也は助けてくれた女性と二人きりになった。
「ありがとうございます。おかげで助かりました! 」
「いえ、いいんですよ。元はと言えば私達のせいなんですから」
「それはどういう事ですか?」
「その辺を含めて、お話しがしたいので着いてきてくれますか? 和也さん」
「.....はい」
(なぜこの人が俺の名前を知っているか分からないが、とりあえずついて行ってみよう)
「メル、まだいますか? 」
「はい、ここに」
ソフィアと呼ばれていた女性が呼ぶと、さっきのメイドが出てきた。どうやら彼女達はこの人に仕えているらしい。
「この手紙とお菓子を博麗の巫女に...」
「了解いたしました」
何やらバケットに白い紙とお菓子のようなものを入れたようだったが、和也には二人の会話がよく聞こえなかった。そして、メイドは一瞬のうちにいなくなりどこかに行ってしまった。
「あの〜、彼女は一体何を? 」
「少し挨拶に行かせました。まぁあまり気にしないでください」
「.....分かりました」
「とりあえず歩きましょう? 」
「はい、そうですね」
和也は羽は生えているもののすごく美人のお姉さんと一緒に歩くのにすごく緊張していた。
(麗奈とはまた違った魅力がある人だな。なんて言うか惹き込まれる。でもこんなこと麗奈に言ったら怒られるかな? )
「和也さん」
「はいぃ?! 」
変なことを考えていたせいか変な声が出てしまった。だが、ソフィアは気にせずに聞いた。
「和也さんは以前私とどこかで会いませんでしたか? 」
「いや、あってないと思いますけど。最近幻想郷に来たばかりだし、それに俺は記憶が曖昧でここに来る前の記憶があるないんですよ」
「.....そうですか」
ソフィアは何かの違和感を感じているようだったが、『気のせいね』といい、また和也の道案内に戻った。
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和也とソフィアがそろそろ目的の場所へ着く頃。博麗神社ではひたすら和也の帰りを待っていた女の子がいる。
「あ〜、アイツまだ帰ってこないのかしら」
お茶を啜りながら、和也が帰ってくるのを心待ちにしている女の子、博麗麗奈。
麗奈は自分の胸を触ってしまったお詫びに何でもすると言った和也にお菓子を買いに行かせた。そして、それっきり帰ってこない。だんだん心配になってくるのは道理である。
「お詫び...もっと違うのにしとけばよかったかな〜。アイツ何でもするって言ってたし、例えば...」
麗奈は想像する。自分の本当に和也にしてもらいたかったことを。そして、想像して赤面する。
「いやいや、ないない! そ、そんなこと絶対ないわよ。うん.....絶対ないんだから.....」
何故か落ち込む麗奈。
そして、そういう気分になるとつい昔を思い出してしまう。昔、母さんがまだいた頃の記憶.....忘れたいと思っても染み付いて絶対に拭えない記憶。
麗奈が様々な感情にイヤイヤしている時。玄関が開いた音がした。でも和也ではない事が霊力的に分かった。
「さて、いったい誰かしら? 」
麗奈が玄関に出てみると、そこには綺麗なメイドがいた。メイドの手には小さなバケットが握られている。
「メイドが神社になんの用よ。全然服装があってないじゃない」
「いえ、我が主からの贈り物を届けに来ました」
「え? 何? この私にプレゼントなんて爆弾とかじゃないでしょうね? 」
「.....それでは」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 何なのよ一体...」
メイドからバケットを受け取り、怪しみながらも中を開けてみる。するとそこには、麗奈が食べたがっていた和菓子が入っていた。
「ヤッター! でも何でメイドがわざわざ私に届けてくれるのかしら? 」
疑問に思い、麗奈はもう一度バケットの中を見る。すると、そこには小さな白い紙が入っていた。そして、手紙にはこう書かれてあった。
「 拝啓 博麗の巫女様へ
大変申し訳ないのですが、貴方の大切な和也さんを少し預かります。大丈夫、心配しないでください。別に危害を加えるつもりはありませんので。いや、でも勢い余って大ケガはしちゃうかもです。なのでそのお菓子はせめてものお詫びです。和也さんは三日後ぐらいに帰らせますのでよろしくお願いします。あ、でも寂しくなったらいつでも迎えに来てください。紅魔館で待っています。
ソフィア・スカーレットより 」
という内容の手紙が一緒に置かれてあった。
「別に寂しいなんて無いわよ! 誰が行くもんですか! お菓子も手に入ったし、これでお茶でもしますか。でも、ソフィア・スカーレットねぇ〜。ソフィア? スカーレット? 紅魔館? .........アレ、あそこってかなりやばいわよね? これって本当にまずいやつかも! .....でも危害は加えないって書いてあるし、大丈夫か! 」
麗奈は差出人の名前に少し気になる事があったが、何か手紙の内容にいらついたので無視して、貰った和菓子でお茶にすることにした。
「まぁ全然帰ってこなかったら行くかもしれないけど.....」
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〜紅魔館前〜
ー和也sideー
俺は話があると目の前にいる女性とどこかに向かっている。いや、どこかじゃなくてもう見えてるんだけど。
俺たち二人は前に見える大きな洋館に続く林道を歩いている。そして、右を向くと林道に沿って大きい湖が見える。湖には妖精が飛び回っている。
(麗奈来たらすごく気持ちよさそうだな。帰ったら麗奈に教えてあげよう)
「さて、着きましたよ」
「おぉー! 改めて近くで見るとすごく大きい館だな」
「そうでしょ? 紅魔館は私達自慢の家なのよ。それでは案内するのでついてきて下さい。それと美鈴早く起きなさい」
「ソ、ソフィア様? いや、今のは寝てたわけではないんですよ! そ、そうです! 瞑想...瞑想してたんですよ! いやー、やっぱり瞑想してると疲れるなー! 」
「分かったわ。そういう事にしてあげる。だからお客様の前では涎を拭きなさい? 」
「お客様ですか? 」
美鈴と呼ばれた人は涎を服のポケットからハンカチを取り出して拭く。
そうして、俺の前に右手を差し出してきた。
「紅魔館の門番をやっている、紅美鈴です。よろくしお願いしますね」
「俺は和也と言います。よろくしお願いします」
俺は美鈴の手をしっかり握って握手をした。握った瞬間に分かったがあまり女子の手とは思えない、なんというかすごく力強い感じがした。
「美鈴さんは何か武術でもやっているんですか? 」
「美鈴でいいですよ。敬語は私の性格的にむず痒いです。まぁ武術は人並みにやっていますよ。よく分かりましたね? 」
「いや、握手した時に少しそう感じて.....ごめん、女性にそれは失礼だったかな」
「あはは! いえ、逆に嬉しいですよ! 手を握ってもらうだけでそれを分かってもらえるのは武術者としては誇りです。それにしても、男性から女性扱いされたのはいつぶりでしょうか。優しいんですね、和也さんは」
「そう言ってもらえるとありがたい」
「そろそろ終わりましたか? 行きますよ」
「あっ!すいません! 美鈴、また今度話そう!」
「はい、また今度」
俺はソフィアさんについて行き、紅魔館の中に入った。
「うわー! 中もすごい豪華」
「豪華でもあり、すごく歴史がある建物なのよ。何せここが出来る前からずっと建っているんですから」
「へぇー、すごいですね」
「とりあえず客間に案内して、そこからお話をしますね」
「分かりました」
俺はソフィアさんに連れられて紅魔館の客間に向かう途中に後ろから小さい何かにぶつかられた。ぶつかられたのは間違えで引かれたの方が正しいのかもしれない。
俺は当てられた瞬間にぶっ飛ばされて通路の突き当たりの壁にものすごい勢いで衝突した。
俺は何が起きたか分からないまま前を見ると、金髪の小さな女の子が俺を覗いていた。
「貴方は人間? それとも妖怪? 」
どうやら推測するに俺はこの子にぶつかられてここまで飛んできたらしい。衝突でボロボロになった壁を見ながら俺はこの子の質問に答える。
「一応人間だけど、この壁どうすればいいの? 」
「あー、その壁ならいつの間にか直ってるよ」
「へぇーそうなんだ」
「そーなんだよ」
俺は金髪少女と一緒に壊れた壁を見続けていた。そうすると、ソフィアさんが駆け寄ってきた。
「壁なんかを見て、衝撃で頭がおかしくなったんですか? 」
「やられた側としては頭おかしくなっても仕方ないと思いますが、一応奇跡的におかしくなってません」
「それは良かったです。あと、フランちょっとこっちに.....」
「なに? お母様? 」
ソフィアさんと金髪少女は俺が見えない通路に入っていった。そして、そのあと大きな衝撃音のあとに戻ってきた二人。ソフィアさんはニコニコ笑顔、金髪少女も笑顔だけど涙目になっているのと頭に大きなたんこぶが出来ていた。
「それでは、行きましょうか。.....フランもお行儀よくついてきて」
「.....はい」
(あっ、これ魔璃さんと同じ人種だ)
金髪少女ことフランに優しいお説教をしたらしい。とりあえずそういう事にしておこう。
そうして、仲間が一人増え客間へと歩き出す。後ろからはドスドスドスと走ってくる音がする。嫌な予感がする。
後ろを振り返ってみると水色の髪をしたまた小さい少女がいた。
「貴方、和也でしょ! ずっと会ってみたかった! ねぇねぇ私の部屋に来てお話しない? ねぇいいでしょ?」
水髪少女は俺の服の袖を引っ張り、無理やりどこかに連れていこうとしている。
「あらあら、和也さんは人気ですね。レミリア、ちょっとこっちに.....」
「なに? お母さん? 」
この先の展開読めたよね?
また激しい衝撃音と共にニコニコの二人が通路から出てきた。まぁ一人は涙目にたんこぶつきだけど。
フランもさっきやられたのを思い出したのか、小刻みに震えている。どんだけ怖かったんだよ.....
「それでは、行きましょうか。.....レミリアもお行儀よくついてきてね」
「.....はい」
こうして、また一人優しいお説教で仲間を増やしたソフィアさん一行はついに客間へと到着した。
客間はお客様の部屋だけあってすごい高そうな装飾品や絵画が飾られて、彩られている。
ソフィアさん達と俺は部屋に一つだけあったテーブルと四つのイスを出して座った。
「ごめんなさいね、何も説明せずにこんな所まで連れてきてしまって」
「いや、気にしないでください」
「ほら、二人とも言うことがあるんじゃないの? 」
すごい笑顔で脅迫じみたことを言っているソフィアさん、マジすごいです。
「「さっきはすいませんでした」」
「いや、大丈夫。気にしてないから」
「そうよね! あんな小さい事で気にしないわよね! 」
俺が簡単に許してあげると、水髪少女のレミリアは調子に乗りはじめた。だが、あの人がいる前で調子に乗るということはまさに自殺行為である。
「レミリア〜、分かってるわよね〜」
「ひぃっ! すいません! 」
「分かればいいのよ」
どうやら今回は穏便に終わったようだ。
「それで俺は何で連れてこられたんですか? 」
「そうそう、その事なんだけど。少しの間だけレミリア達のおもち.....遊び相手になって欲しいの」
「おい、今何を言いかけた」
「まぁ気にしないでください。この事は博麗の巫女に了承を貰ってるので安心してくださいね」
「いや、全く安心できないんですが。それに、遊ぶとは一体何をしたらいいんですか?」
「この子達の世話をしてほしいの」
「.....うーん」
俺はこの頼みを受けるか困っていた。そうして、ソフィアさんの隣に座っている二人を見ると、レミリアはさっき怒られていたからしゅんとしている。フランは遊びたい気持ちを抑えきれないのか棚の上にあったぬいぐるみに指先から弾幕を出して、木っ端微塵にしている。うん、俺絶対ぬいぐるみみたいになるよね。
「やってくれるかしら?」
「いや、残念ですが『あっ、やってくれるの。ありがとう! 私は用事があるから行くけど、何かあったら言ってね。案内はその子達にやってもらって。ここの部屋はあなたの自由に使っていいから、それじゃあ気をつけて〜』え? ちょっと待ってくださいよ! .....行っちゃった」
言いたいことを言い残し、ソフィアさんはどこかに行ってしまった。取り残された俺と幼女二人は互いを見つめ合う。そして、幼女二人のそのあとの笑顔は天使のように見えた。
「これって、絶対に死ぬやつだ」