エピローグ
!、?等の後に空白を付け足しました 2016/10/28
だったら、と。
「だったら、死人が生き返れない理由もなんとなく察せたよ」
と、鈴は呟いた。
「あ、分かってくれた? 良かった良かった。じゃあ私が答え合わせしてあげます、さあ答えは?」
「うん、要するに『生き返る』っていうのはないわけでな。その、なんだ、俺も自分の語学力にゃ呆れちまう…いやそうじゃなくてな、その、あれだ。『魂』無き生き物には例え俺が願って『神』が生まれようが、その、『魂』無き生き物の肉体と繋がんなきゃいけない『魂』が既に死界に来ちまってるから、その…つまり『肉体』と『魂』が繋げられないから生き続けることができない、そういう事じゃないか?」
俺は、佐介鈴はかろうじて『肉体』から『魂』がそんなに離れていなくて、『神』の繋げれる範囲で離れていただけだから『神』は己の使命(願い)を叶えれた。死人は『魂』がもう『肉体』と繋げれないくらい離れていたから例え佐介鈴がお『願い』して『神』が生まれていたとしても、叶えられない『願い』だったから。
鈴はそう結論づけた。
「ふうむ」
閻魔は納得する様に言った。
「なんだよ」
「いや、私的に『なんで俺だけ生き延びたんだよォォォ!!!』とか言って荒ぶるかなって思ってたんだけど。荒ぶる鈴ちゃん。予想以上に冷静だしなんか正確な答え出してるしで、びっくりしたよう」
「なんか俺のこと低く見てない?」
「低く見てるよ」
「あ、そうだろうな。だってな……うん」
ちょっと悲しくなった、とは言わなかった。
「でもなぁ、見たかったなぁ。荒ぶる鈴ちゃん」
閻魔はどうやら『荒ぶる鈴ちゃん』というワードにハマったようで何回も復唱していた。
その度にケラケラと笑っていた。
その姿はまるで童女のようだった。
「でさ、えんちゃん」
鈴は話を切り替えるように言った。
「どうしたんだい」
「俺はこの先どうすればいい?」
「―ぷっ」
閻魔が吹き出した。
「は、ちょっと……何がおかしいんだよ」
「何って…その発言」
あははははーと笑う。またツボった。
「普通に生きればいいよ?君は普通に生きれれるからね。別に生活に支障はない」
支障はないのは嘘かもなぁ、とか密かに閻魔は思ったが、あえて言わなかった。
「でもよ、身近な人間が「そうだねぇーたくさん死んだね。君の家族は、父、母、妹。みんな死んだね」
それがなんだ、と。
閻魔は鈴の言葉を遮ってそう言いたげにして見やった。
「…」
鈴は何も言い返せなかった。
「……分かった」
「なにが?」
「わかんね」
「だよねぇ」
二人の間に長い沈黙。
しばらくして。
「まあ、頑張ってね」
と、閻魔は言った。
「ああ、頑張るよ」
鈴も返した。
「だからえんちゃんも、仕事頑張れよ」
「ウッ」
ははは、と二人は笑いあい。
「…そこのドア開けて。ちょっとしたら君の家の前に着くようにしてるからね」
と言った。
「いろいろ迷惑かけてすまんな」
鈴はドアノブに手をかけた。
「私は仕事を果たしたまでさ、迷惑なんてこれっぽっちも…あー、これっぽっちは思ってるかもね、なんて、冗談だよ」
ギイイッ―
鈴はドアの先を進んだ。
歩いて歩いて。
瞬きをした。
気がつけば、いや、目を開けば。
目の前は空っぽの自分の家だった。
次回に続きますよ。エピローグだけれども。次回があるんです。
ありがとうございました。