6【過去編其の肆】
『オオウアアアアアアアアア!!』
その怪物は、今まで相手にしていたのとは格が違う相手。
怪物は荒れ狂いながら襲ってくる。
「今回はやばい…! レスっち…大丈夫…?」
「私は大丈夫! だけど、ヨルクが!」
エフィレスのさす指の先、そこには怪物の手と奮闘するヨルク。
「くっ…ぐあっ!」
ヨルクは叫ぶ。
「ヨルク!」
エフィレスは名を呼んだ。
「来るな……! エフィ! 来るなよっ! ここは俺が殺る!」
ヨルクの声は、それが最後。
エフィレスとレイマは自身が戦った怪物を倒し、ヨルクの様子を見に行く。
途中、レイマはヨルクの右腕らしきものが転がっているのを発見したが、エフィレスには何も言わなかった。
「ヨルク…―――!」
「…」
絶句。
2人は絶句した。
そこには、裂かれに裂かれたヨルクの―――死体。
「いや!」
エフィレスはそう言ってそこに駆け寄った。
「怪物にやられたなんてことはないよね? そんなわけない」
「レスっち、ヨルクは誰よりも強い。そんなわけないよ………!」
「ないわよ! そうよ、ない!」
「そうだ! ない! ないけど……だけど………ッ!」
目の前には、死んでいるヨルク。
「いやだよ…ヨルクッ!」
「あまてん」
閻魔が様子のおかしい天照大御神を呼んだ。
返事はない。
やがて
「死んだ」
そう言った。
「死におった。ヨルクが」
「ヨルクが?」
「ああ、ああああああ!!!!!! あああああああああああああああああ!!!!!!」
天照大御神は荒れ狂う。
「あまて…っ! あまてらす! 天照!」
閻魔は荒れ狂う天照大御神を止めようとするが、天照大御神は止まらない。ただ泣き叫び、暴れる。
「儂の! 儂の子のような存在じゃったよ! ヨルクは! それが、それが! なぜっなぜ死におったのじゃ!!?」
天照大御神は荒れ狂う。
「分かっているだろう? 理由くらい」
ミカエルが天照大御神の真意をつくように言った。
「………本当かい? それは」
閻魔は問う。
「……ああ、そうじゃ…。ヨルクは疲労で死んだよ。それだけじゃ」
天照大御神は大きなため息をついた。身体中の息全てを吐き出すように。
「死んだ後、ヨルクの契霊は――主を失った下僕は怪物と化して、ヨルクを裂いた。裂いた後はたまたま死霊を回収していた神によって、滅されたよ」
天照大御神は倒れ込む。
「天照!」
「もう、もう嫌じゃ…エフィレスもレイマもいつかはそうなるんじゃよ、そんなのもう、儂は見とうないわ……!」
「落ち着け、天て―」
「殺せ! あの二人を殺すのじゃ! さすれば、もうこんな思いはせんよ…閻魔、ミカエル」
沈黙の時が流れた。
やがて
「殺さないよ」
閻魔が言う。
「殺さない。最期まで彼らには使命を全うしてもらう」
「閻魔ッ…」
「当たり前だろう? 死ぬべき人を生き返らせてしまったのは我らの方だ。人は死ぬ時に死ぬ。それを邪魔したのは我らだ。それなりの罪を背負うんだよ。それなりの罰を受けるんだよ。あまてんには早めに罰が下ったってわけでさ」
だから、殺さないでよと。閻魔は言った。
「もし殺したら、お前を殺す」
ミカエルが最後にそう言って、2人はその場を去った。
「ヨルク………ごめん…………ごめんね……」
ありがとうございました。
ヨルクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
次回から現在へ戻ります




