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〔なあ、おい。アンタ、冷たすぎやしねぇかよう〕
メルが1人、調理していると牙櫻が優花と共にやって来てそう言った。
「冷たい? はてはて、何が冷たいのかしら? メルは質問しただけなのね」
メルは振り向きもせずに調理を続ける。
〔けっ、分かんねぇのか。嬢ちゃんに対してだよ。冷たすぎんだろ〕
「知らないのね。自分で考えれるでしょう、意味くらい。メルには彼女が何を求めているかなんて分かるわけないのだから、彼女にしか答えを出せないのね」
しゅわり、と何かを揚げる音が途中途中聞こえてくる。
「優花、あなたはエフィーをここへ連れて来なさいな」
「え、あ、はい」
優花は牙櫻をそっと机の上に置くと、とてとてとエフィーの部屋へと向かう。
〔け、全く。勝手な奴だなぁ〕
吐き捨てる様に牙櫻が言うとメルは笑う。
「勝手なのはエフィーの方なのね。勝手に修行を無駄にしているのはあっちなのね」
〔………頑固なお方だァな〕
苦笑気味に牙櫻が言うと、カンッと音がした。
「さ、昼食ができたわよ。あとはエフィーと優花がここに来るまで待つのね」
「え、エフィー…さん」
優花は締まりきっておらず、中途半端に開いたドアの隙間からエフィーを呼びかけながら入室。
エフィーはぼうっと窓辺から外を見ていた。
木刀を握り潰した右手には、包帯。
一部、微かな赤色が滲んでいた。
その様子を見て優花はメルが呼んでいるということを伝えることに躊躇をおぼえる。が、言うことを決意した。
「その、メルさんが、呼んでます。食堂で、呼んでます」
エフィーは何も反応しない。
「食堂、ですけど…」
少し強めに言ってみたが何もない。動きすらしなかった。抜け殻のようだった。
だめだこりゃ、というふうに諦めがついた優花は静かにドアを閉めた。
「そう、抜け殻なのね」
机に料理を並べて座って待機していたメルは優花の話を聞いた。
「何も反応がなくて…」
「全く…食べない気かしら? メルの顔を見飽きたのかしら……? うーん、でもすぐに顔は変えられないのよねぇ」
〔いや単に見たくねぇだけだろ〕
マヌケなメルの発言に呆れ気味に牙櫻が訂正をいれる。優花は苦笑。
「でも、食べてもらわないと困るのだけれど」
〔なんだァ? 栄養をきちんと取るとか?〕
「まあそうなんだけれど…エフィーの分までメルが食べちゃうかもしれないのね」
〔………〕
俺様の分食えばいいだろ、と牙櫻が呟いた。
そうね、と返すメル。
「…さ、先に食べませんか? 後からエフィーさんも降りてくるかもしれませんよ」
優花が提案。
「全員で頂きます、しなきゃ」
「そこ、こだわるんですね…」
どうやらエフィーが降りてこない限りは食事ができないようだ。
「まあ、ちょっとメルがキツく言っただけで立ち直れない様じゃあ、今後壁にぶつかりまくるのね」
ため息混じりにメルは言う。
「ま、虎緒殿の死に合ってるのに今みたいに呑気に修行してるんだし、これくらい、普通にへっちゃらなはずなのね。まぁ、へっちゃらエフィーはこの後すぐ! へっちゃらな顔して降りてくるのよね!」
メルがやけに大きな声でわざとらしくそう言った。
ありがとうございました。
メルりんはスパルタなのかなーなんて思いながら書いてます。
メルりんの台詞を書く時は楽しいです。




