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残酷描写有りです。気をつけてください…?
人間組一行が迷路に迷い始めて実に1時間くらいが経過しようとしていた頃。
「そろそろ着くんじゃないかな…もう疲れた……」
麗千流が疲れた様子で頭をうなだれながら弱音を吐いた。
「残念ながら、今が半分といったところでしょうね」
斗喩が淡々と言った。
「ながぁ…」
レイマもかなり疲れた様子だった。
「それで今度は鉄球とかが追いかけてくるのね…」
「いやそれは…」
エフィーは疲れた様子ではないが、もう罠は勘弁というふうに言った。
「にしても、なんで契霊で迷路が作れるんだ?普通、契霊って武器に成るし」
鈴が斗喩に聞いた。その後
「あ、聞いちゃやばいやつかな」
悪ぃ、と言った。
「いえ、お答えします」
斗喩は答える。
「主には私と藍彌を含め六の契霊がおります。その中で武器に成れるのは私と藍彌のみ。その他は皆武器に成れないのです。故に、彼らは特殊であり、迷路を創り上げた」
「特殊すぎんだろ!」
武器に成れないから迷路を作った武器に成れない特殊な契霊達と初華は契んだという。童女に近い彼女は。
「それでも主は受け入れてくれた、だからこうして、大きな迷路を創れるのです」
「すげえ奴らだな」
「まあ、彼らは犬猫ですけどね」
「だからか! でもちょっとプリティだな、羨ましいぞおい!」
斗喩曰く、事故で死んで人間に恨みを持った犬猫達らしい。そいつらを従わせるにはどんなことをしいるんだ、彼女は。
「危害は加えませんから大丈夫です」
「加えられたら困るよ」
麗千流がやはりため息混じりに言った。よく幸せを 逃がすやつ。
そんなことを話していると再び分かれ道だったが今度はどちらもすぐ行き止まりだった。
「どっちも壁蹴ってく?」
「乱暴すぎる案を出すレスっち最高だね!」
相変わらず…。
「壁蹴りながらって有りなわけ?」
「無しでしょう。完全に危害加えてますよ。トラップ以外の壁や床は全部彼らの神経に届きます。だから多分今はくすぐったいと思いますよ。歩かれてますし」
「ははは…そう考えるとちょっと気持ち悪いな……」
一行はとりあえず先に右の道を、注意深く壁を見ながら歩く。そして、トラップ等は特に見受けられなかったので左を進んだ。また、左も無かった。
「まじかよ、今度はどんな罠だよ」
鈴が疲れ果てた声を出す。
「うーん…」
全員で考えていると突然拍依が手を挙げた。
「どうしたの?」
エフィーが聞くと、拍依は何も反応しない。
と思っていたら、鈴の手を引っ張ってどこかへ、右の道へ歩いていく。
「わ、ちょ?」
「拍依ちゃん!」
一行もその後を追う。
そして、右の道を再び行く。
そして一番奥に来た。
「何があるんだ」
レイマが疑うように拍依を見ながら言う。
「全員「固まる」
そういうと同時に、両手を大きく広げ、ちょいちょいとまるで「ここに集合」とでも言うようにみんなに見せる。
仕方ない、というようにみんなは集まる。ラウラは楽しそうにしていたけれど。
「で、どうするんだ、こんなに集まって…」
鈴が拍依に聞くと拍依がジャンプしていた。
「は?――――うわ!!」
拍依のジャンプをみんな見ていて、「何してんだコイツ〜」なんて思っていると当然拍依は着地。べキッという床にしてはなんだかんだ不思議な音がしたと思うと一行は落ちた。
床が壊れて下へ落ちたのだ。
「ひゃあっほお! レイレ! 楽しいねぇ!」
「ラウラ! 落ち着け!」
「ちょ、というかどこまで落ちるの!? 地の果てまでとかほんと嫌だよ!?」
「迷路内です。地の果てなど絶対ございません」
「例え地の果てまで行こうとぼくはレスっちのそばに居るからね!」
「私は地の果てまで落ちるなんて言ってないから落ちるとは思っていなかったわよ?」
「お前ら騒がしぃ!!!!」
わいわいとしながらも着地点が見えてきた。
「痛い、絶対痛い!」
鈴がぎゅっと目をつぶった。
「ご安心を。主はきちんと考えております」
斗喩の言葉通りである。
着地点にはふわっとした何かがあった。
つまりそのふわっとした何かによって衝撃など少しもなく、怪我もなくで事が終わったわけだ。
「ふわあ…! 気、気持ちいい! このふわふわ! 気持ちいいよレイレ!」
ラウラだけよりテンションが上がったようだ。
「この落ちる床ネタはなんなのよ…?」
麗千流が完全に疲れた様子で声を上げる。
「…主の身に何かが起きたのかも知れません。今の道は近道です。恐らく、何かが起きた故、途中の道を遮断し、近道を創ったのでしょう」
「次はもっとマシな近道を創ってほしいね…」
全員はゆっくりと立ち上がる。
「さあ、行こうか」
「ちょっと待って」
鈴の一声とともに再出発をしようとしたのだが、レイマがやけに真剣な表情で言った。
「レスっち、大丈夫?」
言われて気づく。
ふわっとした何かの、その中にエフィーがうずくまっていた。
「エフィー?」
鈴がエフィーに寄ろうとする。
「来なくていい」
レイマが低い声で言った。
「でも…」
「来なくていい!」
強くきつく。言われる。
「…悪い」
重い沈黙。
「レスっち…エフィ、大丈夫?」
レイマが、名を呼んで問いかけた。
エフィーは返事をしない。
「…エフィ」
レイマの呼び方はまるでエフィー、その名に慣れていない様子だった。
「………レイマ?」
エフィーが声を上げる。
「そうだよ。大丈夫?」
エフィーがゆっくり顔をあげる。
「…私、迷惑かけちゃってる? ごめんね」
そして、ゆっくり立ち上がる。
「む、無理しないで」
「大、丈、夫」
はっきり言う。
「さ、行きましょう」
少し無理した感じの笑顔のエフィー。右手で左手を痛そうに押さえている。
その後ろで、心配そうな顔をするレイマ。
みんなはうなずいて、エフィーに従い、先へと進む。
「ほんとだな。まだ少ししか歩いていないが…。もう出口が見えている」
レイレが眩しい先にある出口を目を細めて言う。
「凄いね拍依ちゃん」
麗千流が拍依に感心。
「気づいてもらわないと困るところでしたから。ありがとうございます」
斗喩もお礼を言った。
敵にお礼を言われるとは…。
「おー、やっと出れるなぁ」
そうこうしているうちに目の前に出口。
「せーのででようよ! ねぇ! 出口、広いしさ」
ラウラがニコニコしながら言った。
「やりたいやりたい」
麗千流も賛成。
「じゃ、横一列に並ぶか」
鈴も少しわくわくしながら言う。
そして一行は横一列に並ぶ。
「せぇの!」
一歩踏み出す。
そこは。そこにある現実は…。
「っ…」
さっきまでのあの明るい雰囲気ではなく。
完全に戦場だった。
「攻略、おめでとう。まあ、手助けしたけど。は、は。エフィー。残念だね、ごめんね。は、は、は」
童女の嘲笑。
不気味な、は、は、は、は、は、は。
初華は大きな弓を持っていた。
藍彌が成った姿である。
「射抜いたよ。ガブリエル様の命令はね、人間組と死霊組を全滅させること、なんだけど最低でも1人ずつ殺す事なんだ」
だから。
「小さな小さな平安貴族って言うのかな? 彼の頭と胸を貫いてやったよ」
そんな言葉と共に、初華は彼の小さな身体を持ち上げる。持つ。
小さなその身体に合わない大きな矢が無残にも彼の頭と胸に刺さっていた。
貫いていた。
串刺しだった。
「あ、ああ、ああああああ、あ、あ、あ、ああっ…」
小さな身体からは、血が溢れ溢れ。空っぽに。
「い、いや…」
「最期、もう終わったけど。どうぞ」
初華がそう言うと、その身体を持ちながらゆっくりと歩み寄る。
ゆっくりと
歩み寄り。
「はい、どうぞ」
彼女の目の前に、ゆっくりと、優しく、静かに
小さな彼の小さな亡骸を寝かせた。
「…っ」
鈴はその様を見て絶句。
レイマは何かの感情を抑えている様子。
麗千流は口を押さえ、目を背けた。
拍依は相変わらず。
いつの間にか、死霊組にいた牙櫻、その袋は拍依の頭の上にいた。
優花は小さな顔に、大きな涙を流して。
時雨は黙り込んだまま。
ラウラは棒立ち。
レイレは悔しがっている表情をしていた。
エフィーは泣いていて。大泣きしていて。
「と…とらぉ…………………っ」
目の前の無惨な亡骸の小さな彼―――――虎緒を呼んでいた。
ありがとうございました。
ようやくタグの意味が…!
正直虎緒の死は書きたかった話です。
本当は優花だったのですが、よりショックを与えるには虎緒たんかな、と思って。
虎緒にしました。




