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死霊CONTRACT  作者: 椎名むに
少女と野狐と、あと禁法
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エピローグ

 電話が鳴る。

 主から持たせていただいた電話。


「はい」

 肩より少し下まで伸びている桃色の髪をゆらゆらと風に靡かせて、なんだかメイド服にあるふりふりの部分や鎧など、いろいろなものが混じった服を着た少女。

 大きく自分よりかなり長い鉄の棒を軽々と手にしている。

『もしもし、ミカエルだよん』

「………それ、やめたほうがいいのよ。ちょっと腹が立ってしまうのよ」

 平坦な喋りをする少女である。

『すまない、怒らないでくれ、メル』

 メル、と呼ばれた少女は空を見渡す。

「それで…何のようなのね?」

 電話越しに、ミカエルはふう、と息をつく。

『まだ、私の頼んだ場には着いていないようだね』

「そうね。ちょっと、予想外の事態が起きてしまったのね」


 メルの目の前には大量の妖怪がいた。


「…とても申し訳ないのだけれども、ちょっと遅れてしまうのね。どうやらメルは、溜場(たまりば)に迷い込んでしまったようなのね」


『…やれやれ。ただの真っ直ぐな道に迷う君には本当に呆れてしまう』

 電話越しにミカエルのため息が聞こえた。

「そんなに落胆しないでほしいのね…ピンチなうなメルを少しくらいは心配してほしいのね」

『何がピンチなうだ。君ならたかが溜場の妖怪くらい、すぐに消してしまえるだろう』

「…信頼されている、ということでいいのかしら」

 メルは電話を切った。勝手に切るな、とは言われているが勝手に切るのがメルである。


「ふう…全く騒がしい奴らなのね…メルは本気なんて出したくないのね。だから多少の手加減はしてあげるのね」

 妖怪全てに言いつけるようにメルは言った。



「ただ、メルの手加減にあなた達が負けてしまうなんてこともあるかもしれないのね。覚悟はあるかしら?」



 メルは片手で鉄の棒を振り上げた。





「帰ってください。本校に用がないならばどうぞお帰り下さい」

「そ、そこをなんとか…!」

「だいたい知り合いが本校にいるかもしれない、というのはなんですか?何故、かもしれない、なのですか。確定事項でないならば、ここにいないかもしれないのでしょうが?分かりますか?貴方学生ですよね?そもそもこんな所をこんな夜遅くにふらふらと何をしているだ。馬鹿じゃないのか?だいたい――」

 くどくどくどくどくどくどくどくど…。

 気がつけば夜の7:00になり、最後の学校に来たらその教員により説教が始まったのである。

 めんどくさい先生。

「すみません、今日はもう家に帰りますから」

「あんた、どこの学校」

 もはや相手は我で怒っているようだ。

 さすがに、隣町の高校ですとかは言いたくない。

 隣町に行って騒ぎを起こしたなんて言われたらとんでもない。それなりの優等生の鈴は冷や汗をかきながら

「もう家に帰りますから!」

 と言って全力で逃走を始めた。


「待て!クソ坊主が!」


 なんとか逃げ切った。


「くっそ……ほんともう無理…」

 元陸上部はもう体力が落ちていた。

「だいたい…手がかり無しで行くとか無謀すぎるよな…俺………」

 どこの学校に行ってもこてんぱんにされた。時間が悪かったのか?

〔けけけけけ…もう駄目だなー、これからどーすんだ?〕

 牙櫻の言っている通りでこれからどーすんだ?だ。

「待つしかないようだな…相手を」

 レイレがため息をついた。

「まあまあ。とりあえず、メルりんが来るの待っとけばいいんじゃない〜?」

 ラウラが微かに不機嫌なレイレを宥めるようにしながらみんなに提案した。

「うん、確かにそうなんだけど」

 レイマが浮かない顔をする。


「…メルりん……方向音痴だからなぁ」


「そうだった。忘れてた」

 ラウラが舌をベーと出す。忘れてたー、と言うように。

「で、どうする?鈴君てば、指名手配みたいな感じになったしさ」

 時雨が笑いながら言う。

「面白いですな、さすが鈴さん」

「虎緒テメェ!」

 きゃっきゃと騒ぎ始めた。


「うるさぁい!」


 のも、エフィーの一声でやまる。

「夜中なんだから!静かにしとかないと近所の方々に迷惑かけちゃうでしょ!?」

 ……おかんエフィー。

「はあああああ〜レスっちサイコーぎゃんかわ!」

 レイマは相変わらずだった。

「にしても…どうするの」

 脱線しまくる会話を、そろそろ戻してあげなければ。

「む…どうしますかなぁ」

「うーん…」

「………」

「いつまでたっても決まらないねぇ〜」

 全員で試行錯誤するも、誰もいい考えを思いつきはしなかった。



「あ」



 レイレが声を上げる。

「どしたの?レイレ」




「パンダやエフィーやレイマが、私達契霊を武器に成らして装備して歩けば、つまり相手は見えているわけだから、目に付くだろう?特にパンダの陰陽日月は目立つ。ならばそれを装備して明日の朝からふらふら歩けばいいんじゃないだろうか?一日もあれば、ここらくらい、回れるだろう」




 なぜ誰も、今までこれを思いつかなかったのだろうか。



 結局野宿で過ごすことになってしまった一行。

 翌日の朝、鈴、エフィー、レイマがフル装備。


「これで完璧だな…これだと見えるやつはビックリするだろ…へへへ」


 と言ったのは、首輪が如く陽日を首にかけ、白菊と陰月の刃先を天に向けるようにして鎖に縛り付けている。

 見える人から見たら『変な人』だ。

『笑い方がマシでよかったね…』

『ぐへへへ、だったら一大事ですよ…』

 二人に揃いに揃って言われる。

「へっ、まあ、見つかりゃいーの」

 なんてそのままフラフラと歩き出す。

 がしゃりがしゃりと、重い鎧を着て歩いているような音がするが、これも一般人には聞こえていない。

 しかもその音はかなりうるさく、耳元で歩けば必ず耳を塞ぐだろう。

 まあ最も、耳元なんかで歩いたのならば、陽日の刃がものをぶった斬ることになるのだが。


 なんて思いながら歩いていると。



「おい、そこ。それを今すぐ外せよ。近所迷惑なんだけど」


 すぐそこの大きな家の2階から、声が少し高めの美形の男子(?)が鈴に向って文句を言った。


「…俺?」

「お前以外に誰がいる?」

 ああ、そこも、そこも。と、エフィーとレイマを指さしながらその男子は嫌そうな顔をした。


「…お前、なんていう名前だ」

「はァ?なぜ俺が名乗る必要があるのさ」

「いーから、教えやがれ」

「警察呼ぶぞ」

「うるせぇ、お前の苗字は知ってるぞ」

 表札に書いてあるし…。


上刀(うえがたな)、だろ」


「はっ、違うな。上刀(じょうとう)と読むんだよ」

  ごめんなさい。

「まあいいや、教えてやるよ。俺は上刀麗千流(じょうとうみちる)だ」

「可愛い名前してるな」

「なっ、う、うるさいっ」

 赤面になる麗千流。うわこいつなんか可愛い〜。

「で、俺に何か用か」

 改めて麗千流は問うた。少し顔は赤い。

「すぐ見つけれてよかったわ」

 エフィーがそういうと同時に、鈴、エフィー、レイマが武器と成っていた契霊達を人型に戻しはじめる。


「!」

「お前、これ見えるんだろ?」

「…」


 麗千流は無言を貫く。

「よかったね〜すぐ見つけれて」

 ラウラがのんびりとした口調で言った。

「俺は佐介鈴、こっちがエフィー、こっちがレイマ。こっちが佐與拍依」

 鈴が一通り紹介した。

〔俺様の声も聞こえるんだろうな?〕

「だ、誰だ!」

「麗千流?どうしたの?」

 大声で叫んでいたせいか、中から麗千流の母か祖母かの声がする。

「な、なんでもないよ…ごめんなさい」

 麗千流はしゅんとなりながらどこかを見つめていた。

〔けけ、これでホンモノってことが分かったな〕

 牙櫻が嫌らしく笑う。

「悪いがちょっと降りてきてくれないか?話があるんだ」

 鈴が言う。

 麗千流は少し考えた後、頷くと、窓を閉めてそれから少しして門から出てきた。

 和風のお屋敷のような家をしている。

「なんだ?」

 薄着の半袖パーカーに半ズボン。

 すらりとした白い手足が印象的で、間近でその美貌を見ると惚れてしまいそうである。

「こんな所で話をするのもなんだし、どこか公園かなんかに行かないか?それから話そう」



 という訳で、公園に来たわけである。



ありがとうございました。なっげえエピローグだなオォイ!


メルりんは適当に描いたオリ子から生まれた女の子です。

恐らく、今までのキャラで一番マシでしょうなぁ(方向音痴を除く)。

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