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家を出てすぐに入らないと行けなくなった理由。
なんか家の目の前に半袖セーラー服を着た横髪だけ長くして後は首より少し上の長さに切りそろえている髪にちょこんとふたつくくりにしている、まあ中学生であろう女の子が、物凄く真顔で家の目の前(2回目)にいたからである。
「だ、だだだだだっ、誰あいつ…!」
鈴が『あばあば』という感じで自分の家、玄関をきょろきょろしながら言う。
「いや、きょろきょろしても家の中にはいないから」
エフィーがつっこむ。
「リンリンの知り合い?」
大きな三つ編みをぽわんぽわん、と跳ねさせながらラウラは聞く。
「いや、俺はあんな奴今さっき初めて見た」
いやマジで、と。
「元カノ?」
「おまえは黙ってろ時雨」
にしても、誰なんだろうか。
なんて考えているひまもなく、鈴がもたれかかっていたもの、即ち玄関のドアが外からによって開かれた。
「うおっ!?」
当然、後ろ向きに倒れていく鈴。
そのまま後ろに仰向けでどたーっと倒れる。
「い、いたい…」
今日は早速災難ばかりな鈴である。
「大丈夫か?」
レイレが鈴を遠くからのぞき込むようにして聞いた。
「大丈夫、じゃな――――」
目を開けるとそこには。
「…ねこたんぱんつ……」
顔をねこたんぱんつの主により踏まれた。
「サイテー!リンの馬鹿!」
『Rin様!
思春期の行動もご控えに!
あ、失礼な発言でしたね…!てへぺろっ☆(´>∂`)』
「鈴様…いけません……」
「リンリン変態さんなんだねぇ~」
「………なんてはしたないパンダだ」
女子組に罵声を浴びさせられまくる鈴。
「ごめんなさいごめんなさいほんと、ほんとにわざとじゃないんですごめんなさいごめんなさいまじごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ねこたんぱんつの主、即ち家の目の前にいた半袖セーラー服の少女――美少女も含め、結局鈴の家に全員戻る形となった。
そんな美少女の前で鈴は頭を床にゴンゴンぶつけながら土下座をしている最中である。
まあ、ねこたんぱんつの主は真顔、無言。
やっべ、怒ったかなぁ…。
なんて考えているとねこたんぱんつの主は鈴を指さした。
そして小さく口を開く。
「パンダ「キモイ「笹食ってろ「死ねばいい」
殴りたくなった。
すごく殴りたくなった。
「…あのさ、俺、パンダじゃないんだけど?」
「…」
「俺、佐介鈴というんだけど?」
「………」
「オイてめえクソガキよォ!」
〔けけけ、ムダだぜ、兄ちゃん〕
美少女相手に変態男子高校生がブチ切れるとどこからか声がした。
「…へ?」
〔そいつヨォ、基本的に喋らねーんだぜ。俺様がだいたい代弁係なんだがよォ〕
そう言って、何もわからない奇妙な声の主はけけけと笑った。
「誰です」
虎緒が低い声で聞いた。
〔けけけけけ、手元をよく見せてやれ〕
美少女は右手をこちらに見せてきた。
かさり、と。
そこには、袋。
スーパーのビニール袋。
中には空気がいっぱい入って、それを持ち手の部分で縛っているような袋。
そしてさらに良く見ると、黒いマーカーで下手くそを思わせる目と口(?)
「…はいぃ?」
レイマが見下す様子で袋と美少女を見た。
〔俺様〕
「は」
〔だから、俺様だぜ〕
袋に書かれた顔は動く事はないのだがしかし、声だけは確かにその奇妙な袋から聞こえてくる。
〔俺様は大野狐、牙櫻だ〕
「いや知らんし」
〔何ィ、知らないだと!?〕
「おう、知らないぜ」
〔ふぐう…〕
「牙櫻「無名「ただの野狐」
〔うるせぇ…〕
美少女曰く、野狐だという。
「ちなみにそちらのお嬢さんの名前は?」
虎緒が牙櫻に言うと。
美少女は、虎緒の袋の襟をつまんで持ち上げた。
「な、なななっ…!?」
「こいつかッ!」
鈴が美少女の前髪を掴む。
「リン、やめなさい!」
「あ、悪い…」
エフィーに叱られ、ぱ、と手を離す。
「で、でもよエフィー、こいつが、多分ガブリエルに作り出された禁法じゃねぇか?」
〔違う。それは断じて違うぜ、兄ちゃん〕
珠來が笑う。笑うというか、ただ袋がカサカサ音を立てているだけであって、実際は声色で珠來の感情を掴んだ。
〔こいつはよォ、佐與拍依と言ってな。こいつはあれだ〕
〔生まれ持ってして妖怪が見える世界を手にしている奴だ〕
ありがとうございました。
ねこたんぱんつ……。




