9
弱々しくプラムはレチルを持って倒れた。
『プラム…!』
レチルが、小刀が落された。
「強い、ですわね…お見事でしたわ」
かすれかすれになりながらも、プラムはエフィーを見て讃えた。
「あなたも、強かった」
傷だらけのエフィーが微笑んだ。
「ふ…ふふ…」
プラムは弱々しく笑うと、咳とともに血を吐き出す。
「はあ、私、死んでしまうのです…ね」
プラムは笑う。
「ガブリエルに、殺されかけた時点であなたは死ぬべきだったのよ……」
エフィーが顔を背ける。
「ねえ、プラム。お願いを聞いて」
エフィーはプラムに言った。
「…なんですの」
「レチルと、あの三叉槍、2人の契霊との契みを、断ち切って」
それを聞いたプラムは驚いたのか、目を大きく開けた。
「なぜ、ですの…?」
エフィーは少し悲しげな顔をした。
「主がいなくなった契霊は…何もなくなってしまうから」
「…欠片もなく?」
「ええ。何も無い状態になるの」
「…へえ……」
プラムは目を閉じた。
それを見てエフィーはプラムの肩を揺する。
「………………………分かりましたわ」
プラムが、2人を契霊の、まあちびキャラの姿に戻すと、自身の契みの証の少しできの悪い筆記体の『P』に触れる。
「………『断ち切る』、」
その言葉が発し終えると、2人から、契まれた文字は何もなくなった。
刹那、2人の小さな身体は、死んだ当時の姿になる。
先程のレチルと、老いた老人。
「プラム…」
レチルがプラムの顔に触れた。
「…兄様、どうか、悲しまないで」
プラムは涙を一滴、零す。
その涙は、レチルの手に落ちた。
「…兄様が、悲しんだら…私……わ、たくし―――」
空が、神々しく光った。
エフィーが、
レチルと老人が、
レイマが、
鈴が、
目を瞑る。
プラムだけ、目を開けていた。
その光から現れたのは、騎士。
「ミカエル様…」
そう、鎧を着たミカエルであった。
「感謝する、エフィー」
ミカエルはそう言うと、プラムを見やった。
「その禁法は、もう死んだね。魂が、もう天に行った」
ミカエルは、今度はレチルを見た。
「どうした?反抗はしないのか、禁法」
「僕は…今の僕は無力です」
だから、プラムの元に連れてってください。
頭を下げて、レチルは言った。
「…よく言ったな、禁法の少年」
ミカエルは、レチルの頭を鷲掴みにすると、少し手荒に頭を撫でる。
「そこの老人、あなたは、どうされるか」
ミカエルは、老人に向かって言った。
「わしも、プラム様の所に行きます」
「そうか」
ミカエルは自身の腰から剣を抜く。
その剣を空に突き上げると、天から3つの光が降ってきて、レチル、老人、そしてプラムの遺体をそれらの光は包んだ。
「改めて、礼を言う。エフィー。感謝する」
ミカエルは少し微笑んで言うと、遠くを見やる。
「リンにレイマもいるだろうか、聞け」
その声は、静かであるが、響く声だった。
鈴とレイマは声の方を見る。
「みかちゃん…!」
「エルたん……!」
2人とも、まともな呼び方をしていなかった。
「ガブリエルがまた禁法を作り上げた。また、どうか頼む」
そう言うと、ミカエルは、3つの光と共に、6枚の羽を羽ばたかせて天に昇った。
「また敵が増えたのか…エフィーいないと死ぬな…俺………」
鈴が、能天気にぼやいた。
それを見事レイマに聞かれていたようで、殴られた。
ありがとうございました。




