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「レスっちが―」
多少の殴り合いにまで発展していた鈴とレイマの喧嘩は、レイマのそのぽつりと呟いた言葉で終わる。
「エフィーが、どうかしたかよ」
鈴が聞く。
「弱っちいクズに教えるのはすごく忍びないけど教えてあげるよ」
「てめえ、虎緒よりムカつく」
そんな鈴の言葉など聞かんという風にして小さな手で鈴の顔をがしりと掴んだ。
「ふぁ!?」
鈴が手を離せというようにもがいた。
しかしレイマはそれには何も触れず、ただ―
「レスっちが、本気出して戦ってる」
「とんでもない。あなたと正々堂々戦ってすぐ終わるなんて、思ってない」
絶句丸を器用に扱い、攻撃を仕掛けながらプラムに言った。
「それは良かった。甘く見られては、つまらないですもの」
しかしそれを見事に交わしながら答えるプラム。
プラムは強いのだ。
鈴相手で苦戦した理由は単純に、手を抜いていた――わけではない。
鈴が初心者故に、慣れない事で苦戦しただけである。
武道の初心者が、意外と強いーとかよくある話だと思う。
それは、不慣れな武道を、知っているだけの武道をするからであって、ルールなんてものをあまり知らず、時に経験者の予想を超える技の出し方とかをするからなんじゃないかと。
それと似たようなものだと、プラムは勝手に思っていた。
柄でしか攻撃してこないとか、逆に少し油断してしまうわ、不覚。
そう考えると、それより今は目の前の敵と戦う、ということに集中を開始した。
絶句丸とレチル、エフィーとプラムがそれを使いながら激しい音や風と共に剣の打ち合いをしている。
未だに、どちらかに剣で打たれたり刺されたり斬られたり等の傷は見受けられない。
どちらも無傷である。
「このままじゃあキリがない…っ」
エフィーがぼやく。
「キリ?そんなものつかないなら―」
プラムがまたニヤリとした。
「自分でつければいいのですわ!」
と、エフィーに蹴りを入れる。
見事みぞおちにヒットし、腹を抑えながら倒れるエフィー。
「ほら、キリなんて、あっという間につきますもの」
エフィーに向かってレチルの刃先を突き立てるように刃を向かわせる。
プラムは顔に誘うとしたのだがギリギリそれを察知したエフィーは避ける。
しかし、間に合いはせず、頬に微かに当たった。
「ッ!」
薄く裂けてそこから血が伝う。
それを拭って少し不安定だが、立ち上がるエフィー。
しかしプラムは容赦しない。
「正々堂々、ですので」
レチルを強く握ってプラムはエフィーに駆け寄る。
そして、右手を一刺し。
「ッッッ―――――!!!」
耐えられない痛み。
エフィーは手を抑えながらその場にうずくまった。
絶句丸を落とす。
「ふふふふ。ふふふふふふふふふ。ふふふふふふふふふ!!」
プラムが笑い狂う。
レチルを抜いた。
エフィーの右手には穴が開いている。
そこから血が、止まることを知らぬように溢れ出る。
「耐えられませんか?痛み、耐えられませんか?ふふふふ!」
プラムはまだも笑いながらエフィーに問いかけた。
エフィーは答えず、絶句丸を左手で握る。
「ふふふ!次はどこを刺しましょうかしら!左手?右足?左足?ふふ!ああそうだ、右腕を痛めつけてあげますわ!!」
再び、レチルを握って駆け寄った。
そして先程と同じ様に、今度は右腕を刺そうとした。
しかしそれはかわされて、エフィーは絶句丸をプラムの背中に切りつけた。
『プラム!』
レチルから伝わる。
「ふん、これくらい…私には問題ないです、わ」
プラムは殺気立った様子でエフィーに向かい合う。
「次で! 殺しますわ! あなたを!」
そう叫んでいやらしく笑うとプラムはレチルの刃先をエフィーのお腹に向けて突進する。
「―――私はッ!」
エフィーの腹にそれは刺さる。
吐血。
その血は、プラムの髪の毛にかかった。
「負けないッ!」
痛みを懸命にこらえながらエフィーは絶句丸を持ち直す。
「キリは…自分で付けるものね!」
と。
絶句丸が、プラムの胸を貫いた。
ありがとうございました。
英語ってどうやったら身につくんだ……!




