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プラムの手には小刀が1つ。
レチルの成りだ。
「ああ、兄様。美しい」
プラムはまずその小刀で自身の三叉槍に傷をつけ始める。
『うっああ、や、やめてくださいッ、プラム様…』
しわがれた老人の声。
「や、やめてっ!」
エフィーが思わず叫んだ。
「無意味だよ。レスっち」
レイマがエフィーの前に立ちながら言う。
『契霊殺し、ね』
金髪の方の少女が言った。
『どっちが契霊殺しかわかんないねぇ』
黒髪の方の少女の、のんびりした声。
しかしエフィーは自身のおもいを抑えきれずに、絶句丸を持っている手に力が入る。
「見てられない」
そう言って、エフィーはプラムの方に走る。
「あっ、レスっち―」
「エフィー!」
レイマが叫ぼうとすると同時に鈴が起き上がってそのあとを追う。
「っ、お前!いつから正気に!」
レイマがそのあとを追う。
そしてすぐ追いついた。
「あんまり、寄るな!レスっちにも、敵にも!」
と言って鈴の服を引っ張る。
「っ、は、な、せぇ!ガキンチョ!」
「い、や、だ!弱っちいクズ!」
「なんだと!?」
「やるか!?」
小さな口論が始まった。
「なんですの?」
近づいてきたエフィーに向かって言葉を放つ。
「…やめて」
「は?」
「あなたの契霊でしょ!?なんで傷つけてるの!やめて!」
一生懸命に伝えようとするエフィーを見てプラムは笑い始めた。
「馬鹿みたい。あなた馬鹿です。簡単でしょう?こいつは、兄様を傷つけた」
「でもそれはあなたがやったじゃない!」
「でも、この汚らわしい刃で、兄様に触れた」
それが許せない!
そう叫んで三叉槍を蹴り飛ばした。
『う…』
苦しげな声。
「ああ兄様、ごめんなさい。汚らわしいものをより汚らわしく在らせるために使ってしまって…こんな愚かな私をどうぞ許してください」
プラムは顔を真っ赤にして、小刀を抱きしめた。
『大丈夫だよプラム。僕は』
レチルの声が伝わってくる。
「ああ、兄様はお優しい」
でしたら、もう少し付き合ってください。
と、プラムは小刀の刃先をエフィーに向けた。
「まずは1人です。兄様を次に汚したあなたから――」
プラムが刃先を向けたまま突進してくる。
それを絶句丸でエフィーは受け止めた。
キィン!と、大きくぶつかりあった音が辺りを鳴らす。
エフィーは無言のまま絶句丸でそれを跳ね飛ばした。
プラムが吹っ飛んでいく。
やはり、鈴との戦いの傷は何故か癒えているとはいえ、それなりに疲労があるのだろう。抵抗が軽いのだ。
エフィーが絶句丸を握る手に力を入れる。
『エフィー、落ち着きなさい』
絶句丸がその様子を感じ取り、なだめるようにする。
「許せないの」
エフィーが怒りの表情で答える。
「契んでいる相手にあんなことをして平気でいられるプラムを、私は許せない」
だから、少しだけ暴れさして、と。
エフィーは静かに、怒りを抑えるようにして絶句丸に言い聞かせた。
『……ふう』
絶句丸からそんな声が。
『好きになさい。ただ、周りの草木を傷付けないようにするのですよ』
「ありがとう」
一瞬だけエフィーは絶句丸に微笑んで、すぐさま力を入れた。
プラムはその会話を聞いていたようで、
「あなた、何様のつもりですの?」
と言う。
「私は何様でもないわ」
エフィーは構えた。
「私は私。私はエフィーよ」
いつになく静かな声色でそう言うとエフィーは左足で強く地面を蹴った。
「正々堂々、戦いましょう」
絶句丸を振り上げて、プラムを斬らんとする。
「決着を、付ける!」
「正々堂々戦いますわ。その意志は、あなたと同じですのね」
プラムは小刀、レチルで絶句丸を受け止めた。
「くっ!」
エフィーはすぐさま後ろに下がる。
「正々堂々の勝負、まさかそう簡単に終わるなんて思って?」
ありがとうございました。




