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死霊CONTRACT  作者: 椎名むに
VS双子、レチルとプラム
33/72

 プラムの手には小刀が1つ。

 レチルの成りだ。


「ああ、兄様。美しい」


 プラムはまずその小刀で自身の三叉槍に傷をつけ始める。

『うっああ、や、やめてくださいッ、プラム様…』

 しわがれた老人の声。

「や、やめてっ!」

 エフィーが思わず叫んだ。


「無意味だよ。レスっち」


 レイマがエフィーの前に立ちながら言う。

『契霊殺し、ね』

 金髪の方の少女が言った。

『どっちが契霊殺しかわかんないねぇ』

 黒髪の方の少女の、のんびりした声。

 しかしエフィーは自身のおもいを抑えきれずに、絶句丸を持っている手に力が入る。

「見てられない」

 そう言って、エフィーはプラムの方に走る。

「あっ、レスっち―」


「エフィー!」


 レイマが叫ぼうとすると同時に鈴が起き上がってそのあとを追う。

「っ、お前!いつから正気に!」

 レイマがそのあとを追う。

 そしてすぐ追いついた。

「あんまり、寄るな!レスっちにも、敵にも!」

 と言って鈴の服を引っ張る。

「っ、は、な、せぇ!ガキンチョ!」

「い、や、だ!弱っちいクズ!」

「なんだと!?」

「やるか!?」

 小さな口論が始まった。


「なんですの?」

 近づいてきたエフィーに向かって言葉を放つ。

「…やめて」

「は?」

「あなたの契霊でしょ!?なんで傷つけてるの!やめて!」

 一生懸命に伝えようとするエフィーを見てプラムは笑い始めた。

「馬鹿みたい。あなた馬鹿です。簡単でしょう?こいつは、兄様を傷つけた」

「でもそれはあなたがやったじゃない!」

「でも、この汚らわしい刃で、兄様に触れた」

 それが許せない!

 そう叫んで三叉槍を蹴り飛ばした。

『う…』

 苦しげな声。

「ああ兄様、ごめんなさい。汚らわしいものをより汚らわしく在らせるために使ってしまって…こんな愚かな私をどうぞ許してください」

 プラムは顔を真っ赤にして、小刀を抱きしめた。

『大丈夫だよプラム。僕は』

 レチルの声が伝わってくる。


「ああ、兄様はお優しい」


 でしたら、もう少し付き合ってください。

 と、プラムは小刀の刃先をエフィーに向けた。


「まずは1人です。兄様を次に汚したあなたから――」


 プラムが刃先を向けたまま突進してくる。

 それを絶句丸でエフィーは受け止めた。

 キィン!と、大きくぶつかりあった音が辺りを鳴らす。

 エフィーは無言のまま絶句丸でそれを跳ね飛ばした。

 プラムが吹っ飛んでいく。

 やはり、鈴との戦いの傷は何故か癒えているとはいえ、それなりに疲労があるのだろう。抵抗が軽いのだ。

 エフィーが絶句丸を握る手に力を入れる。

『エフィー、落ち着きなさい』

 絶句丸がその様子を感じ取り、なだめるようにする。

「許せないの」

 エフィーが怒りの表情で答える。


「契んでいる相手にあんなことをして平気でいられるプラムを、私は許せない」


 だから、少しだけ暴れさして、と。

 エフィーは静かに、怒りを抑えるようにして絶句丸に言い聞かせた。

『……ふう』

 絶句丸からそんな声が。

『好きになさい。ただ、周りの草木を傷付けないようにするのですよ』



「ありがとう」

 一瞬だけエフィーは絶句丸に微笑んで、すぐさま力を入れた。

 プラムはその会話を聞いていたようで、

「あなた、何様のつもりですの?」

 と言う。

「私は何様でもないわ」

 エフィーは構えた。




「私は私。私はエフィーよ」


 いつになく静かな声色でそう言うとエフィーは左足で強く地面を蹴った。


「正々堂々、戦いましょう」


 絶句丸を振り上げて、プラムを斬らんとする。

「決着を、付ける!」


「正々堂々戦いますわ。その意志は、あなたと同じですのね」


 プラムは小刀、レチルで絶句丸を受け止めた。

「くっ!」

 エフィーはすぐさま後ろに下がる。



「正々堂々の勝負、まさかそう簡単に終わるなんて思って?」

ありがとうございました。

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