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「お、お手柔らかに?」
鈴のその言葉など聞かぬ三叉槍の少女。
その少女は鈴を襲い始めた。
「うへええ!容赦なしかよォ!」
鈴が間一髪で避ける。
「リン!戦うのよ!」
エフィーが叫んで助太刀に入る、と。
「行かせない」
今度は仮面を付け、サファイアのドレスを着た三叉槍の少女と同じくらいの者がエフィーの前を阻む。
「っ!」
絶句丸と変わらないくらいの刀を持ったその少女(?)がその刃先をエフィーに向ける。
「君がエフィレスじゃないのは計算ミスだけれども、サスケリンの仲間なら邪魔者と変わりない」
仮面を外した。
「殺してやる」
その顔は、ガブリエルのあのSNSの双子の顔と一致。
レチルだ。
「リン!レチプラよ!」
エフィーが叫んだ。
「え!?まじかよっ!」
鈴がそれを聞いて相手を見る。
「……兄様が外したのね」
なら、と。
相手も外す。
その顔はプラムの顔。
「うわまじかよ、いきなりご対面んんん!」
鈴が次々と攻撃を仕掛けてくるプラムの槍先をギリギリで避けながら言う。
「負けそうなんだけど…!」
陽日を投げる。
プラムが陽日を避けるべく、遠のいた。
「ふう、これで距離は開けれるか」
ぱしり、と陽日を受け止めてからプラムの方へと走り始める。
「俺の反撃開始!」
鈴が陽日を首にかけ、(陽日を首輪のようにすれば鈴には害のないことが分かった)陰月と白菊をそれぞれの両手に持ってプラムに斬りかかる。
そのままプラムを斬る!というわけには行くはずもなく。
ひらりとかわされる。
「思った通りですわ、まだまだ」
弱いッ!
プラムが三叉槍を器用に使って体制を整えた。
幼女に馬鹿にされる男子高校生。
この双子がガブリエルの手によってこの力を手に入れたのがいつ頃かは詳しくは覚えていないけれども、鈴よりは少なからず先に手に入れている。
だからこそ、こんなに差があるのか。
鈴は己の弱さを自覚していたがより強く自覚した。
「今までのノリじゃ、俺死んじまうな」
鈴も気合を入れ直した。
「俺、集中します」
「くっ!」
エフィーがレチルの攻撃を絶句丸で受け止めた。
キィィィン、と、刃のぶつかり合う音が響く。
「なかなか強い人だね」
レチルはそう言い、再び攻撃をしようとする。
「あなたこそっ、そのドレスでよく動けるものね」
エフィーも言う。
「このドレスはガブリエル様からの頂き物なんだ。だから大切にしないといけない」
だからあまり汚したくない。
「だから君を早く殺さなきゃ」
だんだんと攻撃速度が上がっていくレチル。
「どこまでついてこられるかな?」
時に絶句丸で受け止め、時に自身が避ける。
その繰り返しがだんだんと早くなっていく。
「僕は体力には自信がある。だから、僕は負けないよ」
レチルが刀を大きく振りかざす。
エフィーは真後ろに避ける。
「ははっ、無駄だよ」
笑いながらレチルは振りかざした刀を振り下ろす。
その威力はすざましく、地をも斬り進んでいく。
そうして、その斬り具合は真っ直ぐエフィーへと向かう。
「しまっ―――」
ドゴン!と。爆発が起きた。
モロにエフィーはレチルの攻撃を受けてしまった。
『エフィーッ!』
絶句丸から虎緒が叫ぶ。
カラン、と絶句丸が落ちる音。
エフィーが真っ二つ、ということはなかったがしかし、爆発で散っていった砂や岩等が彼女の体にぶち当たり、傷がたくさんできていた。
「ぐ……」
こふ、と。
少量の血を吐き捨てた。
レチルがからから笑う。
「口の中でも噛んじゃったかな」
「余計な…お世話っ、よ…」
エフィーがよろよろと、絶句丸を持って地面に突き刺して立ち上がる。
「そんなに?そんなに傷付いたの?」
レチルが挑発気味に言う。
「思ったより、弱いなあ。ガッカリだよ」
「うる、さい」
絶句丸を構え直す。
「無意味だよ。痛々しい」
レチルは逆に刀を構えるのをやめる。
「だったら…手加減してくれたらいいのに」
「あはは、それは出来ない」
レチルが楽に構える。
刀身がきらりと光る。
「鬱陶しいよ。ボロボロになってまで立ち上がるその姿」
「ははは、ははははは!」
三叉槍を振り回すプラム。
それをひたすら避けまくる鈴。
「ああ、全く。あなたが私の相手でよかった!」
プラムが笑いながら言う。
「だってだって、兄様の相手がこんなに弱くては、兄様が退屈してしまいますもの!」
「兄様!?れ、れち、なんだっけ!」
『レチルです!』
「あ、そう!レチル!、そいつの事か!?」
白菊の助けの元、何とかレチルの名を思い出す。
「そうですわ」
「なんでだよ!?エフィーは関係ない奴だろ!お前らの目的はッ…お、俺なんだろ!」
「そうですわ」
「じゃ、なんで…」
考えている鈴を見てプラムはくすくす笑う。
「馬鹿なのですね」
と言う。
くすくす。
「彼女がエフィレスでなかろうと、サスケリンの仲間であるのなら私達…ガブリエル様の邪魔者に変わりないのよ!!」
「うわっはああああ!!!」
鈴の叫び。
三叉槍の刃先が、彼の横腹をかする。正確には、先がちょんっと当たっていた。
そこから皮膚が薄く裂ける。
「いっ…あああ……」
横腹を抑えて鈴はうずくまる。
血が、血が。
自分の手に血がついた。
『大丈夫だよ鈴君っ!ただかすってるだけ…!』
『そ、そうですよ!ちょっと裸でこけて横腹にたまたまかすり傷が出来たと同じですよ!』
2人ともなんだか無茶苦茶なことを言っている気がするがそんなこと鈴には届かない。
血がぽたりと滴る。
鈴はただ、今自分に起きたことを冷静に理解しようとしている。
血がぽたりと滴る。
俺は今斬られたのかいや違うかすっただけだけど血がでてる裂けている大負傷?俺は死んでしまうのか?それは嫌だだけども傷が、傷が治らないなんで治らないのああ俺は吸血鬼なんかじゃないからだあくまでも俺は人間だわかっただけどまだ俺死にたくないよまた俺死にたくないまだ俺はあいつらと一緒に過ごすとかできない罪悪感で嫌だ嫌だまだもっといたいよエフィー、優花と時雨、虎緒お願いだよ助けてくれエフィーエフィーエフィーああまた俺は頼ってばかりだ使えない男だ目の前のたかが小学生のガキも倒せないなんてほんと使えないエフィーに捨てられるかもだったら倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ倒さなきゃ―
血がぽたりと滴る。
「ふう…」
鈴はやけに落ち着いた声色でそう言った。
「スッキリした」
「あら、どうされたの?降参ですか?」
プラムが嫌な笑いをしながら言う。
「や、別に。現状を確認してたのさ」
お陰でいろいろ落ち着いたよ、と。
鈴はゆっくりと立ち上がる。
「俺、もしかしてチート能力持ってるかも」
鈴は自身の腹を白菊で突き刺した。
『り、りりっ、鈴、様…っ!?』
白菊が焦った声を伝えてきた。
『鈴君っ!?なにしてんの!』
陰陽日月からも。
「は、ははは、なんかさ。これしたら俺、チート能力が使える気がしてさ」
『いやいや何言って―』
鈴が血を吐き出した。
ごばっと。
しかしその血は不自然に揺らめいていた。
「………」
プラムは不思議そうに見ていた。
「………」
不思議そうに。
「……!!?」
何かが分かったように。
でもその時にはもう遅くて。
「血……呪…」
ありがとうございました。
鈴も決まってませんね、そういえば。キャラデザ。
あ、ハルは決まってます。
案外吟や葵も。。
というか、前回からですけど決まってますというかはイメージがあります、かもしれない(笑)




