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「ウソツキ。鈴君ウソツキだよ」
時楽木は。あらせは言う。
「転校生は職員室に行けばいいって。僕行ったんだ。そしたらね。誰も相手にされないの。昨日は僕が間違ってたから先生はあえて相手にしなかったんだって思った。でもさでもさ。今日行っても何も相手にされなくて。『転校生はまだか?』って言ってた。いや、ここにいるんだけどさ。どうして、女の子が来て。時楽木さんって呼ばれて、彼女が来た。それで……彼女が転校生になったんだ!僕だったのに!転校生はッ僕だったのにィイッ!」
「僕だって時楽木だ…新しい世だァ…!」
「まずいです。鈴さん。彼は妖怪になりかけている、堕ちかけている」
「はぁっ!?まじかよ!どうしろってんだっ」
切ればいいのか?でも優花はいない。『白菊』を呼べば飛んできてくれるのか?
「契霊はある程度近くにいないと呼べませんよ」
心を読み取ったかのように。虎緒は言う。
くそぉぉぉぉ!!!
「とりあえず、話を聞いてくれ…時楽木」
「あああうざいうざい。その名前がすごく腹立つんだ。凄く苛立つ。ああいやだなぁ」
「あ、あらせっ」
「いいいいらつく!!むかかかつくくくく!!!」
荒れ狂うように鈴に言葉を投げるあらせ。
鈴は少しいらついた。
「お前は死んでるんだよ!ずっと死んでた!だからお前は今存在がないから相手にされなかったんだ!」
「馬鹿!それを正直に言っていい事があるとでも思う
のですかあなたは!?」
虎緒に叱られる。
自分は死んだ、死霊とは認識していない。
一気にそんな現実、叩きつけられても。
逆ギレするだけ、なんて、普通に考えたら出てくる答えな気がした。
「ぼ、ぼぼぼ―ぼく、は―死んでない――だって君とお話したじゃななな―いか」
「時楽木ッ…!」
鈴は周りを見る。大きく、悲しい妖怪だらけだ。
「彼が呼び寄せたのです。彼の放つ気で寄ってきた」
殺せ、と虎緒は言う。
「でも、優花がいないんだけど!」
「ああ!あなたは察しが悪い!」
「死霊が目の前にいるんです!契約して、妖怪を倒せばいいだけでしょうが!」
そう、単純な話なのだ。
目の前の時楽木新世は死霊。
契まれていない死霊だ。
契霊がいないのなら、つくればいい。
それだけだ。
「妖怪になる前に早く」
虎緒が言う。
「急かすなってば!俺は今考えてるんだよ!名前を!」
「何故です?優花のように『新世』と名付けたらいい」
「嫌だよ!」
いや、鈴だってそうしたい。
だけども。
「僕だって時楽木だ…新しい世だァ…!」
あらせのこの言葉が突き刺さる。
多分、新世にしたら、彼は荒れ狂うだけだろう。
そして下手したらあらよに手を出すかもしれない。あ、殺すって意味ね。
しかし。何かと『時』『楽』『木』『新』『世』のどれかは使いたかった。
消去法で『新』と『世』は使わない方がいいと思って消す。
『時』『楽』『木』『時』『楽』『木』『時』『楽』『木』『時』―――
「時雨!」
閃いた。やっぱりカタカナってとこ重要。
「良い名ですな」
虎緒も絶賛(?)
「よしっ、あとは契むだけだな!」
鈴はあらせの前に立つ。
「あ、馬鹿―――」
虎緒が言い終わると同時に鈴はあらせの周りにいた妖怪の1体に吹っ飛ばされる。
廊下故に狭いため、両壁にぶち当たりまくる。
そして、床に倒れた。
幸い、周りに人はいないようだ。
「いってぇ……」
骨折れたかな?
「折れてませんよ。丈夫ですね」
「へへっ…」
まあ元陸上部だし?
「寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るなァァァァァアア」
荒れ狂うあらせ。
「お、落ち着けあら……」
ぐっ、と。
あらせ、とはもう呼ばない。
タブーな気がする。なんとなく。
「もういいや!おい、虎緒!ちょっと距離あっても契めんのか!?」
「1m以内であればいけますよ」
「ウワーキッツイナァ!!!」
なんか、妖怪が少しでも減ればいいのになぁー。
「妖怪って、パンチとかキックとかの物理有?」
「腕やら足やらから取り込まれて死にますよ」
「ははっ、無理かぁー」
「ああ、でも」
眩しい光には弱いので、数秒はくらくらすると思います。
と。
「眩しい光……ねぇ」
ニヤリと。鈴は気持ち悪い笑いをする。
「ふふふ…エフィーがいない時、やっぱり俺が活躍すると思うじゃん?」
ポケットを漁る。
「違うんだよねぇ!そ、れ、が!」
てってれー!スーマーホー!
の電源をつける。ハル登場。
「ハルッ!カメラ部分からめっちゃ眩しい光出して!」
『かしこまりました!
懐中電灯アプリを起動します!
そして、その光を倍増しますよ!』
画面にパーセンテージが表示。
1、2、3、4、5、6、10、11、20、39…
だんだんと増えていく数字。
『54%
74%
76%
87%
91%
96%
97%
8、9』
ハルの音声が止まる。
『100%、完了です!
眩しい光が溢れ出るので目に
ご注意下さいっっ!』
きゃるーん☆みたいな効果音とともに鈴のスマホのカメラから光が出る。その光は、妖怪達を照らす。
妖怪が一時的に、動かなくなる。
「今だッ」
虎緒にスマホを持たせて、ライトを妖怪達に照らし続けさせる。
サイズ変わんねぇw
おっと、後ろ見ないようにしよう。眩しすぎて目が潰れるぜ。
目の前には眩しがるあらせ。
「あ、ら、せぇぇ!」
早速タブーを犯す。
「契むぞ!俺の名ァァッ!」
あーなんか聞いたことある台詞~。
気のせいしょ?
さらさらと、右手の人差し指で『鈴』の字を書く。
「時雨!契ませてくれやあああああっっっ!!!」
『鈴』の字を押しながら行くかのように、鈴はあらせにタックルをぶちかました。
ありがとうございました。
目にまつげが入るとつらいですねえ




