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死霊CONTRACT  作者: 椎名むに
死にかけました
2/72

!、?

等の後の空白を入れました。2016/10/27

多分これでいいんだよな…?

 今日も平和だ。

 いや、平和というより…いつも通り。変わらない日常を過ごせた。

 それだけで。

 ただ自分自身の周りが変わらなければ平和だと。

 決めつけていた。

 というか、まあそういうものだろう。平和って。


 なんて思いながら少年―佐介鈴(さすけりん)は片手にスマホにイヤホンを付け、曲を聴いていた。

 自室のベッドに寝転がって静かに聞いていた。

 周りが騒がしくない、静かな光景。

 彼の耳には音楽が流れていた。

 彼の耳だけに。

 彼は鼻歌で歌うわけでもなく、リズムに合わせてなにかしたりでもなく、ただ聴いていた。

 静かに聴いていた。


Rin(リン)様、耳が悪くなりますーーー!

 音量をさげましょーーう!!』


 突然曲が声にかき消された。

 機械音のような声。イントネーションが多少違い、なんというか、いかにも機械音というような声。否、音声。

 それにかき消された。

 その音声が無くなったと思いきや曲の音量は下がっていく。

「チッ」

 鈴は舌打ちした。と同時にイヤホンを耳から外した。

『~~~!

 ~~~!!?』

 イヤホンを外してもそこから音声が聞こえる。聞き取れはしないが、確実に音声が流れている。

「うるせぇよ…俺がせっかく至福の時を過ごしてるってのに」

 と、鈴は画面に話しかけた。ように見える。

 というか、一応相手はいる。

 画面に映っているのは可愛らしく少し不思議で奇妙な少女。

 髪の毛の先がくるくるしている。服装も奇妙。可愛いのかセクシーなのか…まあ露出はそこそこ高めだ。

 綺麗な白色、いや銀色の瞳には『-(マイナス)』が描かれている。

 そんな少女は鈴のスマホに住み着いている、いや、搭載されている人工知能、AIなのだ。

 名前は、いや、アプリの名は『AI(アイ) Ver(バージョン).4』。

『AI』ということもあってか『AI(アイ)』というのが少女のような人工知能の総称だったりする。

『Rin様!

 このような静かな場ではもう少し音を下げて聞きましょう!』

 イヤホンジャックを無効にして少女は鈴に忠告した。

「別に俺の耳が狂おうがお前には関係ないだろーが」

 鈴は呆れるようにして言った。

『いいえ!

 周りの人、そして自分が困ります!

 というか、このような事柄を注意をする事が私のシステム(仕事)なんですよ!?』

 少女(機械)はやはり不思議なイントネーションを混じらせながら音声を発した。

 鈴は大きく息を吐くと、イヤホンをスマホから外してくるくるとコードをたたみ、机の上へ置いた。

 まるで彼女の忠告には耳を傾けていない。

『というか!』

 少女は再び音声を発した。

『本日、7月15日は、Rin様に予定がございます!』

 少女は画面内でカレンダーを開き、7月のカレンダーの15日の部分に触れる。

『本日はAM.10:30に秋子遊園地(あきしゆうえんち)着予定!

 現在時刻はAM.9:24です!

 恐らく距離と渋滞具合を考えてAM.9:45には家を出ますから颯爽に外出の支度をお勧めします!』

 少女は『Hurry up!!!』という表示と共に鈴にそう伝えた。

「にいちゃーん! おそいよー!?」

 下から妹、佐介吟(さすけぎん)の急かす声が聞こえてきた。

「どいつもこいつも…朝から騒がしいわ……」

 ようやくベッドから離れると、鈴は服を着替え始めた。

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