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「おかおかりんちゃん」
「お前もうざいな」
広谷峨がいちいち構ってくる。
かまちょかお前。
今日「うざい」しか言ってない気がする。まともな言葉喋ってないし。
「あー、なんかもうだるい…早く学校終わらねぇかなぁ」
と、一人で呟いた。
とりあえず、と思ってあたりを見回す。
すると、一人だけ、見覚えのない生徒がいた。
「ん……?」
あんな奴いたっけ?
顔だけ見れば絶対と言ってもいい、性別間違われるだろうなぁーという感じの男子生徒。
鈴は今まで見たことがなかった。
まあでもこのクラス、実は結構不登校多いし。
今まで来てなかったですとかあり得るわなぁ。
と、ひとりでに納得していた。
なんとか6時間終わり、下校時刻になった。
あの後、折正が構ってくるわけでもなく、妖怪とか死霊がいたとかもなくで。
平和だった。
さっさと帰ろう。そう思い、颯爽に学校を出る。
「いやはや…疲れた疲れた」
鈴がそう呟いた。
「そんなに疲れるものでしたか」
虎緒がポケットから頭を出して言う。
「まあ、疲れたよ」
鈴は頭をかきながら言う。
「……あ」
鈴が声を上げた。
見覚えのない男子生徒、クラスメイトが前を歩いていた。
なんとなく、話しかけてみよう。
そんな気になったので、早足でその元へ行き、
「よっす」
と、声をかけた。
「うわあ…えっと…?」
その男子生徒は驚き、戸惑う。おろおろ。
「はは、悪い。俺、お前と同じクラスの佐介。佐しゅけり」
噛んだ。
「佐介鈴」
言い直した。
「佐介くん…」
男子生徒は言う。
佐介くん、その呼び方に引っかかりを覚えた鈴は
「鈴、って呼んでください」
と言う。
「分かった、鈴君でいいかな?」
「ああ、お前は?」
「僕は、時楽木新世」
長ったらしい名前だ。
「時楽木か、よろしくな」
「うんっ、よろしく」
可愛らしい人だなー、とか思いながら、さりげなく隣を同じペースで歩く。
ちなみに今更言うのもなんだが、徒歩通だ。
「時楽木の家もこっちなんだな」
「うん、駅の向こうだよ」
「うわーっ、遠っ!」
俺は駅よりだいぶ前ーと、(笑)を含んで言う。
「あ、あのさ。時楽木ってさ、今までクラスにいた?」
と、ストレートにぶちかます。
「えっと、僕転校生なんだ」
「え、まじで?3年なのに?」
「うん…なんかごめんね」
「いやいや、しゃーないって。いいよいいよ」
それに、3年になって転校して来た生徒はもう既にいる。
名前は確か変わった読み方をしている苗字だったはず。
天神照光。
名の並びがめっちゃ神々しいし、天照大神に似ている名前。凄い奴もいるもんだ。
だからあだ名は『天照様』とか『あまてら』。
彼女は3年になった4月に転校してきてうちのクラスに来る―――はずだったのだがここに来る途中に交通事故に遭ったらしく、6月まで入院していた。
そして、6月のいつからか忘れたけどひっそりとやって来た。
あまり目立つ人ではないし、転校生だけどクラスメイトとして忘れてしまうくらい意識が届かない彼女だがしかし、頭にはぐるぐる巻きの包帯、左頬と右の二の腕の方に近いところにガーゼを貼っていて、『THE☆怪我人』といったところだ。
「でも、俺ら紹介されてねぇよな…なんでだろ」
「あっ、それはね…」
時楽木曰く。
日にちを間違えたらしい。
「そんなことあんのかよ」
「はは…僕ちょっとこういう所抜けててさ」
「ははは。まあ間違いは誰にだってあるさ。誰も責めやしないぜ」
本当は明日学校に来る予定だったらしいので、明日こそ本当にクラスメイトとして認められるそうだ。
なんか悲しい。
「なんで帰らなかったんだ?」
「なんとなく、授業だけ受けてようかなって」
「あーなるほど」
体験入学かよ。
なんてしている間に鈴の家の近くに着く。
「あ、ごめん。俺ここ曲がるからさ」
駅はまっすぐだから。
「うん。ありがとう」
「いえいえー、じゃ、また明日なー」
鈴が手を振りながら曲がる。
「うんっ。ありがとう、鈴君」
時楽木も手を振り返す。少し黙った後
「明日は!よろしくね!」
と言った。
「おー、俺が一番の友達だからな!」
鈴も嬉しくなって笑顔で手を振りながら残りの帰り道を走っていった。
ありがとうございました。
ハッピーハロウィン!ですね。
ちなみにこれも予約投稿してました(笑)
お菓子をくれなきゃイタズラすっぞぉ〜?(笑)




